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2012年5月17日 (木)

教師のための時間術 2

【まず始めること】

 仕事を効率的に行うためには、時間を資本として捉えることである。ドラッカーは「成果をあげる者は、仕事からスタートしない。時間から出発する。」と述べている。これは、時間をマネジメントすることに他ならない。
 「忙しい」を連発している人ほど、むだな時間が多いのではないだろうか。たくさんの仕事をこなしている人ほど「忙しい」とは言わない。「もっと効率的に時間を使えないか」と考えているはずである。

 時間を効率的に使うためには、仕事が生じたら「まず始める」ことだ。単純なことなのだが、まず始めなければ仕事はすすまない。
 たとえば、5月に学校全体の研究計画を立てる段階で、自分が11月に研究授業を行うことになったとしよう。その場合、その時点ですぐに指導案を考える始めることである。とにもかくにも、その単元を考えたり、教材を検討したり、資料を収集しはじめることが重要だ。まだ、あと半年もあるから大丈夫、夏休みにじっくり考えて9月になったら本格的に準備しようなどと考えると失敗する。9月には9月の「仕事」が生じるからである。
 実際に始めてみると、その仕事にどの程度の時間が必要なのかといった見通しが立てられる。仮に一学期に別の仕事をしなくてはならなくても、見通しが立てられるので、時間の調整が可能になる。

 この「まず始める」ということは、小さな仕事にでも適用できる。掲示物の貼り替えや部屋の整理といった小さなものでも、気付いたらまず始めることである。原稿なども依頼された段階で、まず思いついたことを書き留めておくことだ。時間があるときにやっておこうと考えると、あらゆることが「先延ばし」になってしまう。

 私自身も、過去を思い起こせば、「まず始めること」ができていなかったがために、あらゆることが締め切りをすぎてしまっていた。そして、多忙感だけが増大していたのを多い出す。(つづく)

2012年5月16日 (水)

教師のための時間術 1

 先日、研究会の中で「先生方が夜の10時くらいまで残って仕事をしている。」ということを耳にした。
 この話を聞いて、「先生方はがんばっているな」と感じる人もいるだろうし、「そんなに遅くまで残って大丈夫かな」と感じる人もいるだろう。
 私は「それはまずい」と感じた。夜遅くまで残って仕事をやると、「遅くまで仕事をがんばった」という自己満足に陥りやすいからである。
 重要なのは、仕事の時間の長さではない。仕事の質の向上である。
 仕事の質の向上のためには、インプットの時間を確保しなければならない。具体的には、専門書を読んだり、資料を調べたりする時間である。また、その日の授業を静かに振り返って考察し記録する時間(省察)も必要である。
 夜遅くまで仕事をしていると、そのような時間が確保できなくなる。

 では、どうすればよいか。
 単純に考えれば、仕事の量を減らすか、仕事の効率を高めるしかない。
 仕事の量を減らすのはなかなか難しいだろう。ましてや、部活動を担当していると夕方の貴重な時間がそれに奪われることになる。(実際、教員が負担に感じている仕事のダントツトップが部活動の指導である。)
 となると、仕事の効率を高めるしかない。つまり、時間を効率的に使うための「時間術」を身につけることである。実際、書店のビジネス書コーナーには「時間術」の本は山ほどある。

2012年5月14日 (月)

教師のための思考術 39

【研究のための思考術7】

 最後に「効果的に表現する力」について述べたい。それは「問題を解決するために、分かりやすい文章、図、グラフ、映像等を駆使して、効果的に表現していく力」である。

 研究を問題解決に寄与できるようにするためには、その成果を他者に分かち伝えられるように表現しなければならない。分かりにくい研究ではその価値は半減する。よい研究紀要や教育論文は分かりやすくて役に立つ。

 しかし、長く学校の研究だけをやっていると「研究発表会」や「研究紀要の作成」を研究のゴールと考えてしまうことがある。これらは、問題解決のための「手段」にしかすぎない。
  研究の目的は、あくまでも問題の解決である。たとえば、「児童生徒のコミュニケーション力の向上」が研究テーマであるならば、研究の目的は「児童生徒のコ ミュニケーション力を向上させること」そのものなのである。その成果を分かち伝えて他者と共有できるようにする手段として「研究発表会」や「研究紀要」が ある。だから、その手段は様々にあってもよいはずだ。効果的な授業の様子を「動画」に編集して見せることもできれば、授業のポイントを「ハンドブック」と してまとめることも「効果的な表現」だと言えよう。
 したがって、端的で分かりやすい文章表現力はもちろんだが、信頼性を高めるための図、グラフ、映像での表現力を高めていく必要がある。また、スピーチやプレゼンテーションの技能も求められる。

2012年5月13日 (日)

教師のための思考術 38

【研究のための思考術 6】

 さらに、「論理的に思考する力」について述べたい。これは、 「なぜ」という疑問を発して、「結果」として扱われる現象と、その「原因」となる現象とを論理的に関係させる力である。((参考文献:高橋正昭著「創造の方法学」(講談社現代新書))

 たとえば、研究紀要などでは次のような文が書かれていることが多い。

 「子どもたちはデジタルカメラで撮影したので、意欲的に写真の説明を行うことができた。」

 この文は

 「子どもたちはデジタルカメラで撮影した」

という事実と

 「子どもたちは意欲的に写真の説明を行うことができた」

という事実を単純に並べただけである。

 結果と原因を論理的に関係させたわけではないので、「なぜ学習者は写真の説明を意欲的に行うことができたのか?」という結果に対して、原因を論理的に関係させたわけではない。

 だから、次のように「説明」をしなくてはならない。

「子どもたちが自分が撮影した写真について意欲的に説明を行うことができたのは、撮影することによって現実が子どもによって意味づけられたからである。」

 この場合デジタルカメラという要素は重要ではない。「撮影」という行為こそが、子どもたちを意欲的に説明できるようにさせた「結果」に対する「原因」であるということを主張する必要がある。

 ちなみに、事実を述べただけの「記述」で終わっている研究紀要の文が多い。だから、学校の研究は考察が不足しがちで、実践報告で終始してしまっている。(つづく)

2012年5月11日 (金)

教師のための思考術 37

【研究のための思考術 5】

 次に「計画的に記録する力」について述べる。
 これは、「一過性のものではなく、問題解決のために計画的・継続的に、数値、文章、映像等で記録をしていく力」である。
 たとえば、「情報活用能力の育成」のための評価規準を作成し、それに基づいた授業実践を行った場合に、それが効果的であったかどうかを検証しなければならない。そのためには、学習者の技能、認知、情意等を数値化したり、授業者自身が授業の省察を行い文章化したりしていく力が求められる。しかも、それらが継続的に行われるようにするために、効率的に実行される「仕組み」をつくる必要がある。
 「仕組み」については、もっと具体的に述べてみよう。たとえば、毎時間毎に児童生徒が記入する自己評価カードに「やる気をもって学習しましたか?」「グループ内でよく意見を交わしましたか?」「自分の考えをしっかりもちましたか?」といった評価項目をもうけることによって、「学習意欲」「協同思考」「個人思考」の毎時間毎の変化の記録ができるようになる。当然、統計的なデータにもなる。また、こまめにビデオカメラ等で学習の様子を撮影しておくと、具体的な児童生徒の姿を映像として残すことができる。さらに、授業が終わったら、その日のうちに教師の視点で省察し個人のノートやブログに文章化して残すといったことも効果的である。その時の「気付き」が後々の考察に役立つからである。
 とかく学校現場は忙しいので「授業のやりっぱなし」になりがちだ。「仕組み」をつくることで、計画的・継続的な記録が可能になる。(つづく)

2012年5月10日 (木)

教師のための思考術 36

【研究のための思考術 4】

 研究を推進するためには、「研究授業」だけの提案ではなく、「問題解決のために調べたり考えたりして明らかにした事実」を含めて提案していく必要がある。
 そのような提案をしていくためには、授業力とは別に「研究に関する力」が求められるのではないだろうか。
 そこで、それを「研究の基本力」と名付け、具体的に以下の4つを示すことにする。

【研究の基本力】
1、本質的に問題を捉える力
2、計画的に記録する力
3、論理的に思考する力
4、効果的に表現する力

 今回は、まず「本質的に問題を捉える力」について述べてみたい。
 それは、「問題をそのままテーマにするのではなく、その問題の原因となることを掘り下げて考える力」である。
 たとえば、「情報活用能力の育成」といった課題をそのまま研究テーマにして研究授業を行うのではなく、「そもそも情報活用能力とは何か。」といった本質を考え、その力の育成を阻害している原因を調査することから出発する。学校カリキュラムの問題なのか、あるいは評価規準の有無の問題なのか、効果的な授業方法の問題なのかといった具体的な課題に掘り下げて、問題解決の道筋を捉えていく力である。

2012年5月 9日 (水)

教師のための思考術 35

【研究のための思考術 3】

 そもそも、何のために研究をやっているのか、ということをあらためて考えなくてはならない。目の前にいる子どもたちの学力を高める研究であるとするならば、以下のようなことをまずはやらなけらばならない。
 ○ そもそも、その学力とは何なのか? → その学力の定義を文献等で明らかにする。
 ○ なぜ、力がついていないといえるのか? → 実態調査等で根拠を明らかにする。
 ○ その力はどうやれば高まるのか? → 先行研究を調べる。
 ○ その力が高まったということをどのように検証するのか? → 先行研究を調べる。
 このようなことを、研究のスタート時にやっておく必要があるだろう。
 学校の研究の場合、目的が「教師の授業力の向上」を兼ねていることが多いので、上記の部分が曖昧になってしまうことが多い。だから、研究授業の後の授業研究会では「児童生徒の学力向上」の論議よりも「教師の指導技術の善し悪し」を論議することが多くなってしまう。
 では、どうすればよいか。(つづく)

2012年5月 8日 (火)

教師のための思考術 34

【研究のための思考術 2】

 研究主任が、研究紀要のような「研究のまとめ」を書く段階になって、「主題設定の理由」を書くことがある。そのほとんどが、「現代社会は知識基盤社会とよばれる。・・・」などといった中教審答申や学習指導要領総則に書いてあるような文言から始まり、「前年度までの研究から」や「本校の目指す児童像から」といった文章が並ぶ。本当に研究主任は、そのようなことを理由に研究主題を設定したのだろうか。
 そもそも、研究主題を設定するのは、そこに「問題」があったからだ。「問題」が焦点化されていないので、「主題設定の理由」が後付けされることになってしまう。
 研究を「物事を深く調べたり考えたりして、事実を明らかにすること」だと捉えるのであれば、深く調べたり考えたりする「目的」があるからだろう。それが「問題解決」ということになるはずだ。
 だから、今、目の前にいる子どもたちのどこが問題であり、その原因は何なのかといったことを研究の最初の段階でとことん考えてみる必要がある。たとえば、「情報活用能力の育成」が研究テーマであるならば、「そもそも情報活用能力とは何か」「その能力は子どもたちに身に付いていないのか」「いないとすれば、それは何が原因なのか」「その原因はどのような方略によって取り除くことができるのか」といったことを掘り下げて考えてなくてはならない。それが「主題設定の理由」ということになるはずだ。(つづく)

2012年5月 7日 (月)

教師のための思考術 33

【研究のための思考術 1】

 学校の研究というのは、ある意味で形式化しているのではないだろうか。
 まず、研究主任は「研究テーマ」を提案する。「思考・判断・表現力の育成」とか「たしかな学力」といったものである。場合によっては、サブテーマをもうけているところもある。「〜言語活動を通して〜」とか「〜国語科を中心に〜」といったものだ。
 その後に、「研究の仮説」と言われるものを設定するだろう。たとえば、「豊かな言語活動の場を工夫することによって、子どもたちの思考・判断・表現の力が育つのではないか。」といったものだ。(「研究の仮説」については、言いたいこともあるがここでは深入りしない。)
 そして、「研究の構想図」と言われるものがくるだろう。たとえば、下の方に配置された「子どもたちの実態」が、「言語活動の工夫」といった横の方からの方略によって、子どもたちがスパイラルに向上していき、「目指す子ども像」に近づくといったものである。
 そこで、それぞれの教師の出番になる。通常は、年に一回は研究テーマに沿った研究授業を行うことになる。各教師は、「仮説に沿うために、言語活動を取り入れなくては・・・」と思ってしまうので、研究授業の中で小グループによる話し合いの場を増やしたり、振り返りの場を設けたりする。授業研究会では、その言語活動が効果的であったかどうかが協議されて、授業の善し悪しが評価されることになる。研究授業を行った教師にとっては「やれやれ、自分の研究授業は終わった。役目は果たしたぞ。」ということで終わってしまう。
 そうやって、研究授業が繰り返された後、冬休みあたりに、研究主任が中心になって「研究のまとめ」を行うことになる。このあたりになって、研究主任は、成果をどうやって文章にまとめればよいかと悩んでしまうことになってしまう。(つづく)

2012年5月 6日 (日)

教師のための思考術 32

【カテゴリー3 自律的に活動する能力】

 このコンピテンシーも三つに分類される。
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コンピテンシー3A:大きな展望の中で活動する能力
 このキー・コンピテンシーが個人に求めるのは、自分の行為や決定をいっそう広い文脈で理解し考える力である。つまり、自分たちが他のものとどのように関係しているかを考慮すること、たとえば社会的なルールや社会的、経済的な組織、そして過去に起こった出来事との関係を考えることが求められる。人は、自分自身の行為や決定がこうした広い図のどこにどのようにあてはまるかを知る必要がある。
 (中略)

コンピテンシー3B:人生計画や個人的プロジェクトを設計し実行する能力
 このコンピテンシーは個人の活動計画を考えるために役立つ。自分の実践をまとまった物語と見なし、バラバラになりがちな人生について、変化する環境の中でそこに意味と目的を与えることが求められる。
 (中略)

コンピテンシー3C:自らの権利、利害、限界やニーズを表明する能力
 このコンピテンシーは、高度に制度化された法的な事項から、個人的な利害の主張を含む日常的な事例にいたるまでの広い状況で重要となる。多くの権利や要求は法律や契約が作られ擁護されているが、他の人々のものと同じように個人がその権利や要求、利益を知って自ら評価し、また積極的に主張して守るのは、最終的には個人次第である。(中略)

「キー・コンピテンシーの定義と選択【概要】」(ドミニク・S・ライチェン ローラ・H・サルガニク編著 立田慶裕監訳「キー・コンピテンシー」(明石書店)より)
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 自分が社会の中にどのように関係しているのかをよく理解し、人生のプロジェクトを設計し実行していく力を指すのだろう。その場合、個人の権利や要求、利益の評価を行いながら主張していくことも求められる。
 教師の場合、「教師としてどう生きるか」と捉えてもよいし、もっと幅広く「自分は人生のゴールをどう定めて生きるか」と捉えてもよい。要は、漫然と生きるのではなく、「自分の人生の目的」を見つけて実行していく力だと考えるとよいだろう。

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