2017年5月26日 (金)

教師の成長7〜ノウイング〜

 松尾睦著『職場が生きる人が育つ「経験学習」入門』(ダイヤモンド社)の中に次の文章があります。

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 ストレッチ系の学ぶ力の背景には「ノウイング」という考え方があります。
 クックとブラウンという研究者は、知識は人から人へと移転されるのではない、と主張します。彼らによれば、人は、他者や書物の知識を「道具として」使用しながら、新しい知識を作りだしているのです。こうした知識を生み出す行為を彼らは「ノウイング(knowing)」と呼んでいます。
(中略)
 企業においてノウイングが危機に瀕しているということでした。具体的には、組織内のノウハウを共有し、業務を効率化するために作られた知識データベースの普及によって、自分の頭で考えなくなる人が増えているのです。
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 教師の世界でも当てはまるのではないでしょうか。効率化のためのマニュアルを作成することは必要なことなのですが、それが一方では「考えない人」を増やすことにもなるのです。誰かが考えた「発問・指示」をそのまま使ってみると、そのときの授業は良くなるのですが、結局は自分で考えなくなるのです。他者から学ぶことは必要なことですが、それを参考にしながら自分の頭で考えることは、もっと必要なことなのではないでしょうか。

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 授業名人とよばれる教師の授業を見て、表面的に見える「方法」をそのまま真似るのではなく、表面には見えない「理念」こそ学ばなければならないのです。これは、私自身が若いときに、表面的な方法論ばかりを真似して勉強した気になっていたという苦い経験があるからこそ言えるのかもしれません。

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2017年5月25日 (木)

教師の成長6〜「教えてくん」の誕生〜

 「教えてくん」という俗語があります。知らないことを自分で考えないで、すぐ誰かに聞いて解決しようとする人を意味します。通常良い意味で使われることはありません。知的な活動を行わないからです。
 「見習い」の時期に、著名な実践家の方法論を真似することが勉強だと信じてしまうと、自分で考えようとはせずに安易に真似をすることで満足してしまうことになりかねません。もっとも、実践家の真似をすることは必要なのですが、それが本当にうまくいったのかどうかを振り返ったり、その方法はどのような授業観でできあがったのかを考えたりすることが重要なのだと思います。
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 教師の世界でも、誰かが考えた「うまい方法」を知ることだけが常態化していくと、自分では一生懸命に勉強しているつもりでも、いつのまにか「教えて君」になっていきます。これは案外と深刻な問題で、何年たっても「教えて君」のままの人は、常に「うまい方法」を知りたがります。こういう人たちは、校内研修でも自分で考えることを好みません。外部の講師からの話を聞いてノートをとりながら、なんとなく分かったような気になって満足します。口癖は「それってどうやればいいんですか?」です。

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2017年5月24日 (水)

教師の成長5〜見習いの誤解〜

 教師向けセミナーなどで人気講師となるような教師には魅力があります。普通の教師にはない個性があり、実践もずば抜けているからです。著書や雑誌連載などがあれば、そのカリスマ性はますます高まります。このような教師は、多くの若い教師から「憧れの存在」となっていきます。
 見習いの時期には、自分にとって「憧れの教師」をもつことは必要なことだと思います。憧れの教師の実践を追試してみることが多くの教育技術の獲得につながっていくからです。一方、落とし穴もあります。
 教育技術を適用する条件が合致した場合は効果的に作用しますが、そうでない場合は、教育技術を使うことが目的となり逆効果となることもあります。

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 以前、一人の若い教師がある著名な実践家が行っている方法をそのまま真似している場面を見たことがあります。発達障害のある子どもたちにとっては良いとはいえない方法だったので、その若い教師にその旨を伝えたことがあります。彼は、怪訝そうな顔をし、私の意見を受け入れる様子ではありませんでした。彼の論理としては「あの著名な先生がやっている方法だから間違いない。批判をしている吉良先生のほうが教育技術を理解していないのだ。」ということなのでしょう。
 このようなことは往々にしてあるような気がします。「憧れの教師」を信じるがあまり、一つ一つの教育技術の妥当性まで検討しなくなってしまうようなことです。どんなに優れた教師であっても、完全無欠な人はいないはずです。ある部分は得意であっても、別の部分では不得意なこともあるでしょう。
 名言に「師の跡を求めず、師の求めたるところを求めよ。」という言葉があります。(原文は、芭蕉の「古人の跡を求めず、古人の求めたるところを求めよ。」という説があります。)師匠の安易な真似ではなく、師匠が理想としたものを見極めてそれに向かうことが必要なのだと思います。

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2017年5月23日 (火)

教師の成長4〜見習い〜

 前回で紹介した本の著者である松尾睦氏は次のように述べます。

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 ここでいう初心者とは、その世界に入ったばかりの新人で、職場で何が起こっているのかがわからない状態の人です。見習いになると、ようやく状況をつかむことができるようになりますが、まだ先輩や上司の指導が必要なレベルです。

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 教師の世界であれば、初任2年目3年目が「見習い」のレベルだと言えましょう。この時期はまだ初任1年目から同じ学校で勤務していることが多いので、初心者と同じ気持ちを維持できるでしょう。また、周囲の教師もまだ「新任の教師」として扱ってくれますし、指導もしてくれます。
 この時期の教師は1年の学校のサイクルが分かったので、見通しをもって仕事が進められるようになります。また、研究会や研修会、読書などで得てきた教育技術をそのまま適用すると自分の授業が改善できるので、勉強が面白く感じられます。まさに、どんどん吸収して、自分の成長を実感していく時期だと言えましょう。
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 教師向けセミナーや書籍、インターネット等で教育技術を獲得していくと自分が成長できることを実感していくので、「見習い」の時期では、このような学ぶ場と手段が必要となります。しかし、この「教育技術をたくさん身につけることが教師の勉強」だと思い込むことが逆に教師の成長にストップをかけてしまうことにもなるのではないでしょうか。(つづく)

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2017年5月20日 (土)

教師の成長3〜経験から学ぶ力のモデル〜

 松尾睦著『職場が生きる人が育つ「経験学習」入門』(ダイヤモンド社)という本があります。

 その著者松尾睦先生は以下のように述べています。
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 適切な「思い」と「つながり」を大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、経験から多くのことを学ぶことができる。
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 そして、松尾先生は「「挑戦し、振り返り、楽しむ」という三要素を「ストレッチ、リフレクション、エンジョイメント」というキーワードで表し、次のように述べています。

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 ストレッチとは、高い目標に向かって挑戦する姿勢を、リフレクションとは、「何かアクションを起こしている最中やアクション後に、何が良くて何が悪かったかにちて振り返ることを、エンジョイメントとは、やりがいや意義を見いだして、仕事を楽しむことを指します。
 これら三つの要素は、自分が持っていない知識やスキルを獲得することを促します。そして、三つの要素を高める原動力となるのが「思い」と「つながり」です。「思い」とは、仕事をする上で大事にしている考え方や価値観であり、「つながり」とは、他者との関係性です。
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 さて、初心者が基本的な仕事の進め方を獲得する時期だとすると、それ以降はまさに、挑戦し、振り返り、楽しむという学び方ができるかどうかにかかっているようが気がします。確かに、意欲とスキルに長けた人は、常に新しいことに挑戦していますし、その記録を残して省察しています。そして、それ自体を仲間とともに楽しんでやっています。だから、学ぶことが楽しくてしょうがないのだと思います。(つづく)

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2017年5月18日 (木)

教師の成長2〜初心者から先のステップ〜

  初心者は独身の方も多く家族のために時間をとられることも少ないので、がむしゃらに勉強ができます。学級経営や授業方法の書籍を読んだり、夕方や土日の研究会に参加することもあるでしょう。「やり方」を身につけないと、仕事そのものが成立しないからです。もしも、この時期に勉強をしないような初心者であれば、先の見込みはないと言えます。

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 事実、初任者研修に参加している先生方を見ていると意欲にあふれていまし、表情も明るい人が多いです。その意味では、初心者は皆同じレベルにいると言えるかもしれません。しかし、十年経験者研修の先生方を見ると、意欲とスキルに明らかに差がついています。十年の間に学び続けるための資質・能力を高めてきた人とそうでない人とでは大きな差が出てしまうのです。これは、初心者から先のステップが大きく影響を及ぼしていると言えます。(つづく)

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2017年5月17日 (水)

教師の成長1〜初心者〜

 こんにちは。吉良良介です。
 教師の成長について書き記しておきたいと思っています。まずは初心者から。
 ここでいう初心者とは、教師としての基本的な仕事の進め方について先輩や管理職から指導を受けているような段階です。1年目の時期がこれにあたります。この時期は、授業の進め方も問題への対応もよく分からずに学校の中で右往左往していることが多いものです。はじめのうちは失敗だらけですが、体験や指導によって、少しずつ状況が見えるようになって手際がよくなっていきます。

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 この時期に手本となるような優れた先輩教師に出会うと、教師の成長は加速します。先輩の「学び方」を学ぶからです。私自身も初任者の頃は、2年目3年目の先輩教師が同じ学校の中にいて様々なことを教えて下さいました。そう考えると、初心者が誰に出会うかということは極めて重要な要因となるのでしょう。初任者担当指導教諭という役職ができたのも、そのような理由があるのだと思います。その意味では、最近の若い先生方の授業技術は高いと感じています。
 しかし、その若い教師がずっと学び続けられるかどうかは別の要因が含まれます。(つづく)

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2017年5月15日 (月)

ワークライフバランス

 こんにちは。吉良良介です。
 最近、ワークライフバランスという言葉をよく聞くようになりました。この言葉は「無理しないように、ほどほどに働こう」「仕事を忘れて私生活の時間を増やそう」という意味ではありません。
 (株)ワークライフバランス代表取締役である小室淑恵さんは次のように言います。
 ワークライフバランスの言葉で言えば、『ライフ』の場でのインプットが、『ワーク』の場でのアウトプットのために必要不可欠なのです。にも関わらず、『ライフ』の時間をまったく確保できず、アイデアの引き出しは空っぽ、という状態の人が大勢集まって『ワーク』をしているのが、今の日本企業の現状です。」
(小室淑恵『6時に帰るチーム術』(日本能率協会マネジメントセンター))
 重要なことは、読書をしたり、勉強会に行ったりして、自らを磨くための時間は「ライフ」に位置付けてあるということです。つまり、「ライフ」を充実させることが、実は「ワーク」を充実させることにつながるというわけです。
 考えてみれば、私が新任教師だった頃は、午後6時過ぎには学校を出て夕食・入浴の後は教育書をずっと読んでいました。また、教材研究も深夜までやっていました。まさに、仕事のためのインプットをやっていたのですが、ちっとも苦しみを感じませんでした。勉強すればするほど、授業が充実するからです。
 今の学校は、あまりにもやることが増えており、教師のインプットに必要な「ライフ」の時間が無くなっています。しかし、「ライフ」の時間があったとしても、本人に「インプット」の意識が無ければ、精神的な充実感を得ることはできないのではないでしょうか。

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2017年5月13日 (土)

読書術 その10

その10:少し難しい本を読み切る
 自分にとっては少し難しい本でも最後まで読み切ることが重要だと思っています。もちろん、どの本を難しいと感じるかは人によって異なります。言葉が難しかったり、量が多かったりすれば、読む意欲が失せることもあるでしょう。だから、「少し難しい」というところがポイントです。
 読書会のように読まざるを得ない状況で、なんとか難しい本を読み切ってみると、高い山の頂上に立ったような爽快感があります。そして、高い山に慣れると低い山に苦痛を感じなくなるように、通常の本はすらすらと読めるようになるものです。そうなると、読む速さも量も増えていきます。
 その意味では登山も読書も似ているかもしれません。

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2017年5月11日 (木)

読書術 その9

その9:トニー・ブザン著『マインドマップ読書術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
 「まんで知る教師の学び」でも紹介されている本です。マインドマップを描きながら本を読むのがこの本のテーマなのですが、半分以上は4倍速で読書をする方法が書かれています。もちろん、本当にそうなるためには、それなりの練習は必要ですが、意識するだけでかなり速く読めるようになります。

 マインドマップ読書術は、キーワードを選んでメモするという方法をとりますが、これは読書に限らず、講義録でもアイデアメモでもあらゆる場面に使える方法です。今の私は全てのノートをマインドマップで書いています。

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