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2017年8月

2017年8月13日 (日)

忘れられない言葉10

 私がプロジェクト型の協同学習の理論と方法を学んだのは、1999年にサンフランシスコで行われたCampAppleという研修会です。一週間の研修の中には、コンピュータのスキルアップ講座はもちろん、多くの学習理論のレクチャーが含まれていました。また、最後は参加者全員がプロジェクト型の協同学習を体験するという充実したプログラム。
 参加費用は日本円で約9万円。これは宿泊費や食事代を含むので、決して高いとは言えませんが、日本での教員研修で9万円を超えるところはまれでしょう。サンフランシスコまでの往復航空運賃等を含めると、総額で30万円を超えた研修となりました。

 この研修を受けて以来、私の授業観は激変することになります。
 今までは、

 教師がいかに上手に教えるか

ということのみに興味が集中していたのですが、研修後は

 子どもを良き学習者に育てる

ということにも注目するようになったのです。

 もちろん、教師のパフォーマンスも重要であり、それを否定するものではありません。また、教師の指導技術は必要不可欠なものであり、現状の課題として、それに欠ける教師が多く存在することも事実です。

 しかし、日本の教員研修の多くが、教師側から見た「指導の方法論」に重点を置くのに対して、このCamp Appleでは、子どもたちの側から見た「学習の方法論」に重点を置いていました。
 私にとってCamp Appleは、そもそも授業とは何か、という根本の理念から考えさせられる研修となったのです。

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2017年8月12日 (土)

忘れられない言葉9

 発言しない子どものほうを見始めると、たしかに聞いているのは分かります。しかし、本当に理解しているどうかが分かりません。ノートに書かせると分かるのですが、授業途中の理解度が分かりません。
 以前の私の授業記録はT(教師)、C(児童)が交互に出てくる「TCTC型」でやっていました。この方法は、教師側の指示・発問とそれに対する児童の反応を記録するという点では意味がありますし、今でも基本的にはこの方法でやっている教師も多いと思います。一方、この方法だと、児童一人一人の理解度が把握できないのです。
Photo
 そこで、なんとか新しい授業形態を取り入れようと模索することになっていったのです。その一つがプロジェクト型の学習でした。

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2017年8月10日 (木)

忘れられない言葉8

 6年生の学級担任をしていた頃、PTA役員さんが二人学校に来られました。言いにくそうに、でもはっきりと私に言われた言葉があります。
「先生、うちのクラスの平均点を上げてください。」
 どこから得た情報かは分かりませんが、独自に実施した学力テストの平均点が学年平均点よりも低かったということを知っていたようでした。中学校の受験前で、かなり危機感をもたれていた様子です。私は動揺しながらも、全力でがんばります、と答えるのがやっとでした。

 当時の私の学級は、学力差が非常に激しくて、数人のトップクラスの子どもたちは、難関の私立中学に間違いなく合格できる学力をそなえていました。一方、数人の子どもたちは、市販のワークテストの問題は解けるのですが、ちょっと難しい問題になると分からない状態だったのです。
 当時の私の授業はいわゆる「できる子ども」の発言にたよっていたような気がします。発言数は多いので、一見授業は派手で盛り上がっているのように見えるのですが、おそらく数人の子どもたちはよく分かっていなかったのではないか。そんな気持ちになっていきました。
 そう考えるようになると、授業の見方も異なってきます。発言している子どもの方を見るのではなく、発言をせずに黙って聞いている子どもたちの方を見るようになっていきました。(つづく)

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2017年8月 9日 (水)

忘れられない言葉7

 2月の研究発表会では、雪舟の破墨山水図を使って授業を行いました。有田和正先生がやったように、私は黒板に雪舟の作品を貼るだけです。
 あとは、子どもたちが次々を「問い」を考えていきました。「何が描かれているのだろう?」「朝、昼、夕方のいつだろう?」「季節はいつだろう?」といった問いをグループでカードに書いていくのです。
Sesshuu

 私は、そのカードを、作品の回りに、考えやすい順番に並べて貼ります。それから先は、子どもたちが次々に「答え」を考えていきました。
 決して十分とは言えませんが、私が理想とする「子どもが問いを発して、自分たちで考えていくような授業」に近づいたという実感を得ることができました。

 振り返ってみれば、四月に教務主任から「こんな授業をしてほしくない!」と言われたおかげで、一歩前進したわけです。その意味では、本当に「忘れられない言葉」と言えます。

 きつい言葉には二種類あって、「人を成長させる言葉」と「人を傷つける言葉」です。しかし、それは受け止める側によっても変わるような気がします。同じ言葉にも、受け止め方次第では、自分を成長させることにもつながるのではないでしょうか。

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2017年8月 6日 (日)

忘れられない言葉6

 それからは、2月に行われる研究発表会に向けて、授業づくりをすることにしました。教師の発問に頼らず、子どもたち自らが問いをつくる授業をめざしたわけです。
 しかし、それはなかなか簡単にはいきません。子どもたちに問いをつくらせても、的を射てなければ意味がありません。かといって、教師が常に問いを発していては、今までと同じです。
 そこで、得た結論は、「教師が問いをつくる視点を子どもたちにも持たせる」ということです。たとえば、作品の情景を想像させたければ、「何が見えますか?」「どんな音が聞こえますか?」という問いを教師が発しつつも、少しずつ、子どもたちには「見えるものや音を想像する」といった鑑賞の視点をもたせるということです。これは、国語の時間にもできます。また、社会の時間では、子どもたちが問いを出して、それを解決するという授業を繰り返していきました。
 Photo
 矛盾するようですが、教師自身が良い問いを発しながら、子どもたちにそれができるような授業を教科を超えながら実践していったと言えばよいでしょう。
 半年はかかったと思います。そして、2月の研究発表会をむかえることになりました。(つづく)

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