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2009年4月

2009年4月29日 (水)

活用型学力とは何か6

【キーコンピテンシーって何なのだろう?】

 I先生から「研究通信出すのは大変でしょう。」と言われますが、そんなことはありません。そのほとんどが「引用」ですので、コピーアンドペーストです。自分の頭の中を整理するためにも、ちょうどよいのです。学級通信の方が大変だし、時間がかかります。

 さて、キーコピンテンシー(KEY COMPETENCIES)って何なのでしょう。KEYは「鍵になる」とか「重要な」「主要な」という意味があります。
 コンピテンス(COPETENCE)を英和辞書で調べると「能力」「力量」「適性」「手腕」「熟練」といった言葉が出てきます。どうやら、単純に「能力」だけではなさそうです。実は、コンピテンシー(COMPETENCY)の概念は、ハーバード大学教授のマクレランドが提唱したものです。

 1970年代に業績をあげる人とそうでない人との違いに興味を持ったマクレランドが高業績者(ハイパフォーマー)の特性を「コンピテンシー」と呼ぶことにした。
 (「コンピテンシーの正しい理解と使い方」 AGP行動科学分析研究所 所長 永井 隆雄
)
 (IT情報マネジメント http://www.atmarkit.co.jp/fbiz/cstaff/serial/competency/01/01.html)

 ですから、ビジネスの分野では、一般的にコンピテンシーは「高い業績を上げている人の行動特性」と定義されています。
 OECDは1997年から2003年にかけて、多くの国々の認知科学や評価の専門家、教育関係者などの協力を得てDeSeCo(デセコ)プロジェクトというものを組織しました。DeSeCo(Definition and Selection of Competenites)とは、国際的に共通する能力概念としてのキーコンピテンシーを理論的に定義付け、その評価と指標の枠組みを開発するプロジェクトです。
 DeSeCoは、「THE DEFINITION AND SELECTION OF KEY COMPETENCIES Executive Summary」という要約を公開しているので読むことができます。
 その中でキーコンピテンシーは3つに区分されています。
 
1、Use tools Interactively(「道具」を相互作用的に使用できる能力)
2、Interact in heterogeneous groups(異質な人々と相互に関わり合う能力)
3、Act autonomously(自律的に行動する能力)
(「THE DEFINITION AND SELECTION OF KEY COMPETENCIES Executive Summary」 訳:前田) 

 実は、ここに活用型学力形成のための授業づくりのヒントがあると私は思っているのです。(つづく)

活用型学力とは何か5

【「知識基盤社会」に必要な能力とは何か?】

 中央教育審議会最終答申の「現行学習指導要領の理念」の中に以下のことが書かれています。
**************************
 すなわち、平成17年の中央教育審議会答申(「我が国の高等教育の将来像」)が指摘するとおり、21世紀は、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、いわゆる「知識基盤社会」(knowledge-based society)の時代であると言われている。
 「知識基盤社会」の特質としては、例えば、①知識には国境がなく、グローバル化が一層進む、②知識は日進月歩であり、競争と技術革新が絶え間なく生まれる、③知識の進展は旧来のパラダイムの転換を伴うことが多く、幅広い知識と柔軟な思考力に基づく判断が一層重要になる、④性別や年齢を問わず参画することが促進される、などを挙げることができる。
(中略・前田)
 このような社会において、自己責任を果たし、他者と切磋琢磨しつつ一定の役割を果たすためには、基礎的・基本的な知識・技能の習得やそれらを活用して課題を見いだし、解決するための思考力・判断力・表現力等が必要である。しかも、知識・技能は、陳腐化しないよう常に更新する必要がある。生涯にわたって学ぶことが求められており、学校教育はそのための重要な基盤である。
(幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)p8)
**************************
 続けて答申は「共存・協力」「社会への貢献」の必要性や「自分自身を深めること」「開かれた個」の重要性を述べていますが、ここでは割愛します。さらに、答申は「次代を担う子どもたちに必要な力」を一言で示すとすれば、「生きる力」にほかならないと述べつつ、次のように主張しています。
**************************
 経済協力開発機構(OECD)は、 1997年から2003年にかけて、多くの国々の認知科学や評価の専門家、教育関係者などの協力を得て、「知識基盤社会」の時代を担う子どもたちに必要な能力を、「主要能力(キーコンピテンシー)」として定義付け、国際的に比較する調査を開始している。このような動きを受け、各国においては、学校の教育課程の国際的な通用性がこれまで以上に強く意識されるようになっているが、「生きる力」は、その内容のみならず、社会において子どもたちに必要となる力をまず明確にし、そこから教育の在り方を改善するという考え方において、この主要能力(キーコンピテンシー)という考え方を先取りしていたと言ってもよい。
**************************
 「生きる力」が漠然として分かりにくいものであったのに対して、キーコンピテンシーは具体的に定義づけられていそうです。では、キーコンピテンシーって何なのでしょうか。(つづく)

2009年4月27日 (月)

活用型学力とは何か4

【OECDが、なぜ学力調査を行うのか?】
 なぜ、このような研究通信を書いているかと言いますと、学校の研究の具体的な取組がはじまるのが、6月になるからです。ですから、4月・5月の段階で、活用型学力に関する基礎的な知識を共有しておき、6月前半で具体的な方法論を提案していきたいと考えているからです。
 さて、OECDなのですが、OECD東京センターの「OECDの歴史」には以下のように書かれています。
***************************
•1948年、第二次世界大戦後の疲弊しきったヨーロッパ経済を活性化、救済させるために、アメリカ合衆国によるヨーロッパ復興支援計画を目的としているマーシャルプランの受け入れを整備する機関として、ヨーロッパ16か国が参加してOEEC(Organization for European Economic Co-operation=欧州経済協力機構)が設立された。
•1950年、アメリカ合衆国とカナダが準加盟国として参加。
•1961年、ヨーロッパ経済の復興に伴い、欧州と北米が自由主義経済や貿易で対等な関係として発展・協力を行う目的として、発展的に改組され、現在の経済協力開発機構(OECD)が創立された。
•1990年代に入り、冷戦構造が崩壊すると、かつてマーシャルプランの復興支援の対象として外れていた東欧諸国や新興工業国が加盟するようになり、今に至る。
***************************
 つまり、第二次世界大戦のヨーロッパの経済復興を目的として立ち上げられたものであり、現在は加盟国と中心とした世界経済の発展を目的としているわけです。そのOECDが、なぜ学力調査(PISA)をやるのでしょうか。国立教育政策研究所所長矢野重典氏は次のように述べています。
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 今日、新しい時代に必要とされる知識を生涯にわたり獲得し、それを仕事や地域社会、個人の生活等で活用していく能力・技能を身に付けることは、知識基盤社会に対応する上で鍵となるという考え方が国際的な共通認識となっています。各国はこうした中で教育政策に取り組んでいますが、それぞれの教育においてどのような長所を伸ばしたら良いのか、あるいはどのような点を改善すべきかという点について示唆を与えてくれる客観的で信頼性の高いデータ・情報を必要としています。PISA調査はまさにこうした各国の政策的ニーズに応えるものであることから、2000年に実施された第1回目の調査以来、各国政府、専門家、マスコミ、学校関係者、保護者等の注目を集めるようになり、現在ではOECD非加盟国を含め約60カ国・地域が参加する世界規模の事業に成長しています。
 (国立教育政策研究所編「生きるための知識と技能2」(ぎょうせい))
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 経済の発展のためには人材の育成が必要不可欠であり、そのための教育政策は国家の重要な課題となるからなのです。では、高めるべき「知識基盤社会に対応するための能力」とは何なのでしょう。(つづく)

マッキントッシュ教育活用集中講座5月9日(土)

授業で役立つ音楽と音声の活用
マッキントッシュ教育活用集中講座 -iTunes,GarageBand09-

主催:熊本大学教育学部情報教育研究会 + D-project
日時:5月9日(土)9時-11時50分
場所:附属小学校3Fコンピュータ室
参加費:無料

■ 今回は音楽と音声
 運動会のシーズンが近づきました。ダンスや組体操のために,音楽CDの一部分を切り取ったり,二つの曲をつないだりすることも多いのではないでしょうか。 この会に参加するだけで,そのようなことが簡単にできるようになります。
 また,日常の音楽授業での活用や国語科の音読指導にもマッキントッシュは活用できます。現在のマッキントッシュに標準でついているiTunesやGarageBandを使うことによって活用の幅が一気に広がります。教師自身が授業づくりを楽しむためにも,ぜひおいで下さい。教材研究が面白くなります。
■ 準備物
 コンピュータの活用に興味がある方は誰でも参加いただけます。貸し出し用のマッキントッシュがありますので,気軽にご参加下さい。 音楽CDとイヤホンかヘッドフォンをいっしょにおもち下さい。USBメモリがあるとさらに便利です。申し込みは以下まで。(当日参加も大歓迎です。)
 熊本大学教育学部情報教育研究会 山口修一(yamashu2jp@yahoo.co.jp)
■ オプション研究「西オーストラリアの国語科授業視察報告後編」
 オプションとして,12時20分より14時まで昼食をとりながらの研究会もあります。今回は,西オーストラリアの国語科の授業(写真を活用した【見ること】の授業)の視察報告後編を前田康裕が行います。前編に参加していない人にも分かるよう復習も行います。これもどなたでも参加できます。興味のある方はどうぞ。

「mac-t090509.pdf」をダウンロード Dsc_0123

2009年4月23日 (木)

活用型学力とは何か3

【OECDって何なのよ】
 
 以前、大学生に話をする機会があって、朝日新聞の記事を配布して、「感じたことや疑問に思ったこと」を自由に言わせたことがあります。学生は「ゆとり教育に問題がある」とか「家庭教育にも問題がある」といった意見を述べました。私は「そもそもOECDって何なんですか。経済協力開発機構がどうして学力調査なんてやっているんですか。」と問い直しました。学生が「えっ?」という顔をしていたのが印象に残っています。
 答申や新聞などの文章は、「読者に一定の知識がある」ということを前提に論を進めていきます。ですから、読む側は、はっきりとは分かっていなくても、何となく分かった状態で読んでいくことになります。
 OECD東京センターのWEBサイトを見てみると以下の解説がしてあります。
***************************
経済協力開発機構(OECD)は、民主主義と市場経済を支持する諸国が以下の目的のために活動を行っている機関です。
  持続可能な経済成長の支持   
  雇用の増大
  生活水準の向上         
  金融安定化の維持
  他国の経済発展の支援
  世界貿易の成長への貢献
***************************
でも、何で学力調査をするのでしょう?(つづく)

2009年4月22日 (水)

活用型学力とは何か2

 Y先生から「前田先生も顔文字を使われるのですね。と言われました (^o^)。パソコンや携帯の辞書で「かおもじ」で変換すると色々出てきます。たとえば、(^_^)、(*^_^*)、(T_T)、(-_-)などです。携帯電話のような文字だけの情報では、相手の表情が分からないので誤解を与えることが多いですよね。そもそも「研究通信」などといったカタイ文書は誰も読みたがらないので、あえてやわらかくしてみました。
 では、前回の続き。「3.で示した子どもたちの学力に関する各種の調査の結果」とは何なのでしょう。
 「中央教育審議会最終答申」では、国立教育政策研究所が教育課程実施状況調査によると「基礎的・基本的な知識・技能の習得を中心に一定の成果が認められる。」と述べている一方で、「他方、国語の記述式の問題の正答率が低下するなどの課題が見られた。」と述べられています。
 また、続いて次の文もあります。
****************************
○ 他方、平成15年(2003年)に実施された国際的な学力調査(OECDのPISA調査及び国際教育到達度評価学会(IEA)のTIMSS調査)の結果からは、我が国の子どもたちの学力は、全体としては国際的に上位にあるものの、
・読解力や記述式問題に課題があること、
・PISA調査の読解力の習熟度レベル別の生徒の割合において、前回調査(2000年)と比較して、成績中位層が減り、低位層が増加しているなど成績分布の分散が拡大していること、
などの低下傾向が見られた。
 平成18年(2006年)に実施されたPISA調査の結果においても、読解力及び数学的リテラシーで成績低位層が若干減少してはいるものの、2003年の同調査と同様の傾向が見られるとともに、OECD平均より高得点のグループである数学的リテラシーは、成績上位層の割合についても減少し、平均得点が低下している。また、科学的リテラシーにおいては、2003年の同調査との同一問題での比較では変化はなかったものの、科学への興味・関心や楽しさを感じる生徒の割合が全般的に低いなどの課題が改めて明らかになった。(平成20年1月17日 中央教育審議会最終答申p12〜p13)
****************************
 私は、こういう文書を読んでいると、分からなくなってしまいます。「PISAって何なの?どう読むの?」「TIMSS調査って何を調べるの?」といった疑問が沸いてくるからです。同答申では、PISAを次のように解説してあります。
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Programme for International Student Assessment の略。「生徒の学習到達度調査」と訳される。OECD(経済協力開発機構)が実施。高等学校1年生を対象に、知識や技能等を実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを評価する調査。
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 これを読んで思ったことは、「そもそもOECDって何なのよ?」という疑問です。(つづく)

2009年4月21日 (火)

活用型学力とは何か1

【今年度の研究通信から】
 昨年度の反省を生かす意味で、今年度は研究通信を不定期に発行することにしました。はりきりすぎると続かないので、ぼちぼちいきます。全然出ないときもあります。 (^o^)「おひまなときに読んで下さい。」と言いたいところですが、「おひま」は無いでしょうから、おひまがなくても読んで下さい。(^_^;)
 まずは、話題になっている活用型学力の意味について考えます。
 新学習指導要領の「第1章総則」に次の文章があります。
*******************
 学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,児童に生きる力をはぐくむことを目指し,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で,基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かす教育の充実に努めなければならない。その際,児童の発達の段階を考慮して,児童の言語活動を充実するとともに,家庭との連携を図りながら,児童の学習習慣が確立するよう配慮しなければならない。(平成20年2月 小学校学習指導要領p1総則)
*******************
 「習得」「活用」「言語活動」という言葉が新学習指導要領のキーワードになっているのは、このためです。では、なぜ、これらのことが重視されるようになってきたのか、中央教育審議会最終答申を引用してみます。
*******************
3.で示した子どもたちの学力に関する各種の調査の結果は、いずれも知識・技能の活用など思考力・判断力・表現力等に課題があることを示している。今回の改訂においては、各学校で子どもたちの思考力・判断力・表現力等を確実にはぐくむために、まず、各教科の指導の中で、基礎的・基本的な知識・技能の習得とともに、観察・実験やレポートの作成、論述といったそれぞれの教科の知識・技能を活用する学習活動を充実させることを重視する必要がある。各教科におけるこのような取組があってこそ総合的な学習の時間における教科等を横断した課題解決的な学習や探究的な活動も充実するし、各教科の知識・技能の確実な定着にも結び付く。このように、各教科での習得や活用と総合的な学習の時間を中心とした探究は、決して一つの方向で進むだけではなく、例えば、知識・技能の活用や探究がその習得を促進するなど、相互に関連し合って力を伸ばしていくものである。 (平成20年1月17日 中央教育審議会最終答申p24)
*******************
 この答申を読んでみると、「活用型の学習」は教科の指導の中で行うことが述べられています。また、「習得」と「活用」と「探究」という三つの学習が、ばらばらに成立するものではなく、相互に関連していることが分かります。つまり、活用型の学習活動を充実させることによって、探究的な学習活動も充実するし、知識・技能の習得に結びつくというわけです。そう考えると、「活用型の学習」は、単に「習得された知識や技能」を使えばよいというわけではなく、総合的な学習のような「探究型の学習」の充実を目指したものでなくてはならないことが分かります。
 では、「3.で示した子どもたちの学力に関する各種の調査の結果」とは何なのでしょう。(つづく)

2009年4月17日 (金)

三つのお願い 3

 物語文の研究授業では,「解釈」の場面を取り上げることが多い。解読と違って,解釈では正解は一つではない。それぞれの子どもたちが自分の解釈を話し合うことによって,より深い解釈ができることができれば「よい授業」として評価される。「今日の授業は深まった。」とか「○○さんは,なかなか深い解釈をしていた。」などと言われることが多い。

 しかし,本当に全部の子どもたちが「深い解釈」のレベルまで達しているのだろうか。一部の「できる子」の発言だけで授業が流れていくことはないだろうか。解読のレベルまで達していない子どもたちまで「深い解釈」ができたと言えるのだろうか。

 発問は授業の骨格ではあるが,その発問をどのように子どもたちに考えさせるかで,授業の効果は異なるはずだ。

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 「三つのお願い」の第1時では,まず教科書を通読。その後,感想を5分間でノートに記入するように指示した。その後,子どもたちの感想を,みんなで聞いていく。面白かったのは,子どもたちはすでに「友だちっていいなと思った。」とか「『いい友だち』と答えたお母さんはすごい。」といった意見が出ているところである。最後に自己評価カードを書いて終了。

 第2時では,思い切って,プレテストの答え合わせをすることにした。子どもたちにはプレテストを返却する。そして,第1問から回答を求めた。たとえば,「お話を語っている『わたし』とはだれですか。本当の名前を書きましょう。」と問う。子どもたちはすぐに「ゼノビア」と答えた。そこで,私は「そう。『ゼノビア』です。しかし,この授業では,どうして『ゼノビア』なのか。その証拠となる文章を教科書から探し出しなさい。グループで協力しあって,メンバー全員が見つけてから手をあげなさい。」と指示する。グループで探させたのは,すぐに挙手・指名の方法をとると,探せる子どもだけが活躍する授業になるからである。私は,グループごとに話し合いの様子をほめながら,机間巡視をしていく。答えの出し方は「9ページの2行目に『わたしの名前はゼノビア。』という文章です。」というようにしていった。デジタル教科書で場所を確認し,子どもたちには教科書の文章の横にサイドラインを引かせるように指示していった。

 子どもたちの様子を観察していて感じたことだが,プレテストの点が高い子ほど,文章中から証拠をすぐに探し出すことができる。一方,そうでない子の場合,文章から根拠を探し出すのに時間がかかる。この差は大きい。

 解読レベルの基本的な内容を,授業中にしっかりと考えさせていくことが重要だと感じる。ここができていないと,文章中から根拠を探すという学習活動がないままに授業が進んでしまう。読解力に乏しい子にとっては,授業が面白くなくなってしまうだろう。

 最後に自己評価カードを記入して終了。ある子どもの次の自己評価コメントが印象に残った。
「今日,教科書でさがすときに学んだことが一つあります。それは,しっかり協力すればちゃんと答えが出ることです。答え合わせができてよかったです。」

2009年4月12日 (日)

マッキントッシュ教育活用集中講座 -iPhoto09-

 熊本大学教育学部情報教育研究会では,毎月マッキントッシュ教育活用集中講座を開催している。
 土曜日の午前中にもかかわらず,参加者は29名。会場のコンピュータ室は満員となった。
 まずは,自己紹介とiPhoto09のレクチャー。その後は,教育活用の実践報告を鳥越先生と山口先生にしていただいた。そして,最後は,参加者に「ベストショット撮影」または「10枚のスライドショー作成」のタスク(課題)を行ってもらった。

 毎回,思うことなのだが,この講座は本当に役立つ。
 鳥越先生のiPhotoの実践報告では,学級でのiPhotoの活用法のアイデアに納得した。子どもたちの顔写真を選んでおいて,「人々」機能で,特定の子どもだけの写真を抽出したり,誕生月ごとの子どもたちのカレンダーを作成したりするわけである。また,教科書全ページをざっとデジカメで撮影した後,「編集機能」で補正しておいて登録。いつでも,取り出して部分的に拡大すると,あっという間にデジタル教科書ができあがる。
 山口先生のPreview活用にも感心した。Previewはマッキントッシュに標準でついているソフトなのだが,画像サイズの変更もトリミングも自由自在にできる。拡大表示することも文字を入れることもできる。一覧印刷も可能である。さらに,PDFファイルにマーキングしたりリンクをはったりすることもできる。山口先生に教えてもらって,はじめて知ったことばかりだ。

 参加者の方が,さっそくその様子をブログで公開されているの紹介させていただく。

(復講)デジタル教科書をiPhotoで

10分でつくるスライドショー

「プレビュー」というソフトのすごさ

スライドショーの作り方(Mac講座の復習)

 教師が楽しまなければ,コンピュータは道具とはなりえない。仕事でしかたなく使っているうちは,創造的なアイデアは生まれない。使っていて楽しい状態のときこそ,脳が喜ぶからである。

 来月の講座は5月9日(土)。テーマは音楽と音声。運動会向けに二つの曲を合わせたり,長さを調整したりするテクニックや音楽や国語の朗読での活用方法などが話題となる。Mact0412

2009年4月 9日 (木)

西オーストラリア:viewingの記録5

【Winthrop Primary School】
 ここでは,Therese Cianfrini先生の国語。小学校3年生のviewingの授業である。面白いのは,advertisement(広告)をテーマにしているところだ。
 まず,子ども達を教師の前に座らせて,「おもちゃなどの宣伝広告は,どんなところで見られますか。」と問う。子どもたちは「お店」「ラジオ」「ポスター」「WEBページ」「テレビ」「雑誌」などと答えていく。
 Therese先生は,「今日は,テレビのコマーシャルについて考えてみましょう。」とよびかける。そして,「テレビコマーシャルには,どんなtrick(トリック)がありますか。」と問いかける。子どもたちは,それぞれに答えていき,先生がそれをカードにまとめていく。次のように分類されていった。
 ○colorful(派手な)
 ○Interesting Setting(興味を惹く設定)
 ○Fast Action(素早い動き)
 ○Exciting Events(刺激的な出来事)
 ○Lively Music(快活な音楽)
 ○Humour(ユーモア)
 次に先生は,「どんなタイプの人々がそれを見ますか。」と問う。ホワイトボードに「Target Audience(対象となる視聴者)」とはり,子どもたちの答えを以下のようにまとめていく。
 ○adult(大人)
 ○Younger Children(幼い子ども)
 ○Business People(働く人々)
 ○Seniors(お年寄り)
 ○Teenagers(若者)
 
 そして,先生はDVDを使ってテレビコマーシャルを見せる。最初は,Wii用のゲームソフト。典型的な派手なコマーシャルである。
 子どもたちは,それを見てワークシートに記入していく。ワークシートには,
 A FUNNY COMMERCIAL : Wii Computer Game
 What do you like best about this commercial ?(このコマーシャルの何が一番好きですか?)
 Would you buy this product?(この製品を買いますか?)Yes or No
Tick the boxes that best suit this commercial?(このコマーシャルに最もあてはまるものにチェックをしましょう。)
 □colorful(派手な)
 □action packed(いっぱいつまった動き)
 □exciting(刺激)
 □'trendy' people(今はやりの人々)
 □lively Music(快活な音楽)
 □well-known person(有名な人)
Colour to show how much you like the commercial.
(あなたがどれくらいこのコマーシャルが好きか色を塗りましょう。)

 最後の問いでは,10段階のマスが書いてあり,それに色を塗れるようになっている。

 同様に,先生は三つのテレビコマーシャルを見せていく。三つとも観光地(らしい)なのだが,ターゲットとなる人々が異なる。(1)は子ども向け遊園地。(2)は若者向けの派手な場所。(3)は家族向けのおだやかな場所だ。ワークシートには,表が書いてあり,その比較ができるようになっている。
 Product advertised(宣伝された製品)
 (1)Great Escape Party
 (2)City Beach Surf
 (3)Araluen Park
 ○Target audience(対象となる視聴者)
 ○Type of people used(使う人々のタイプ)
 ○'Catchy' words or phrases(覚えやすい言葉やフレーズ)
 ○Setting(設定)
 ○Music or sound effects use(音楽や音の影響)
 ○Most appealing point(最も心を動かすポイント)

 (1)(2)と(3)の間に,別のおもちゃのテレビコマーシャルも見せている。このワークシートには次のように問いが書かれている。
A TOY OR GAME
Product: Go Go's Crazy Bones
 ○What things does the commercial show the toy doing?(コマーシャルは,このおもちゃができることとして何を見せていますか?)
 ○What can it really do?(本当にできることは何ですか?)
 ○Who would like this toy?(だれが,このおもちゃを好きでしょうか?)
 ○Colour the bear faces to show how much you liked the commercial.(このコマーシャルがどれくらい好きか,熊の絵に色をぬりましょう。)

 Therese先生は,見てきたコマーシャルを再度見せる。子どもたちが一生懸命見ているのが印象的であった。そして,それぞれのテレビコマーシャルの中に含まれるトリックについて意見を出し合わせる。
 最後に先生が「テレビコマーシャルは人々に与える影響が大きいですね。トリックの技術が含まれています。」といったまとめを行った。

 小学校3年生の授業としては,かなりレベルの高いものであった。テレビコマーシャルがターゲットとしている視聴者やトリックを分析していくわけである。
 このような学習を継続的に行っていけば,テレビコマーシャルに対する見方や考え方は,かなり違っていくだろう。Therese1
Therese2

2009年4月 7日 (火)

西オーストラリア:viewingの記録4

【Attadale Primary School】
 ここでは,Vickie Acciano先生の国語の授業。小学校3年生のViewingの授業である。
 授業は前半と後半に大きく分かれる。
 前半,子どもたちは教師の前に座って,3枚の山火事の写真を見ながらどのように感じるかを全体で話し合う。1枚の絵は通常の樹木。2枚目は山火事で焼けている樹木。そして3枚目は樹木にはりついているトカゲの写真である。
 Vickie Acciano先生は,「How do you feel? (どのように感じますか?)」といった発問を行う。子どもたちから「sad(悲しい)」「unhappy(不幸)」「disappointed(失望)」といった言葉が出てくる。先生は,他にも「What do you need for fire ?(火事のためには何が必要ですか?)」といった問いを出していく。子どもたちは写真を見ながら次々に手をあげて話し合っていった。その写真から想像できることを自由に話し合っていく。RodQuin先生が行ったような映像を分析的に見る授業ではなく,情感にうったえて感じたことを話し合うような授業である。先生は,関連する雑誌などを見せて,その場にいた人などの感想などを紹介しながら授業はすすんでいく。

 後半,子どもたちはそれぞれの机に移動して,ワークシートに自分の答えを記入していく。ワークシートには次のような問いが記入されている。
○Why do you think there are three photos shown ?
 (なぜあなたは3つの写真を表示していると思いますか?)
○How did the rest of Australia react to the tragedy ?
 (オーストラリアのその他の人々はこの悲劇に対してどのように反応しましたか?)
○Can you give another example of a tragedy ?
 (あなたは悲劇の別の例を挙げることはできますか?)
○Describe the difference between the healthy and the burning tree.
 (健康な木と焼けている木との違いを描写しなさい。)
○Why do you think people around Australia donated so generously ?
 (オーストラリア周辺の人々がなぜ惜しみなく寄付をしたと思いますか?)
○Describe what you see in the "burning " picture.
 (焼けている絵に見えるものを描写しなさい。)
○Draw a series of pictures showing what happened in February.
 (二月に起きたことを一連の絵にしましょう。)
 面白いのは,この答えを2人ペアか3人グループで話し合いながら記入していくところである。したがって,子どもたちは授業の間中,絶え間なく話し合っていく。

 写真を元にしながら,子どもたちは想像したことを全体で話し合っている。そして,グループの中でも話し合いながら文章を記述していく。国語の授業としても十分に面白い授業であるし,子どもたちはしっかりと考えている。
Vickie
Vickie3

2009年4月 6日 (月)

西オーストラリア:viewingの記録3

【St Hida's Anglican School for Girls Junior School】
 ここでは授業観察ではなく,Robin McKean 先生のプレゼンテーションを見た。彼女は,いわゆる教諭ではなく,日本でいう司書の先生にあたる。しかし,WEB上のマルチメディア教材を探したり,マルチメディアプロジェクト学習のデザインをしている。その実践が半端ではない。すぐれたWEB教材を次々に見せてくれた。アニメーションや漫画について学習するサイトもあって驚いた。You Tubeの中の映像もふんだんに使っている。

 彼女が主張していたのが「The Mix」という言葉。全てを混ぜ合わせていくマルチメディア学習デザインである。その出発点として「art(美術)」を位置づけていた。「Visual Literacy(視覚的な読み書き)」というものが,全学年に国語のカリキュラムの中にあるという。

 圧巻だったのは,子どもたちが制作した映像劇であった。自分で物語を読み,その台本を書き,衣装などの役割分担を決めて,静止画に台詞を入れた映像劇を制作する学習である。子どもたちが,それぞれ物語に応じた衣装を身につけて演技をしている姿が面白い。きっと,子どもたちはわくわくしてやっていただろう。

 図書室の中に授業をできる空間があり,さらにその隣にはコンピュータ室がある。何かを調べたり話し合ったり制作したりするには理想的な環境である。

 Robin先生も,ICTを,子どもたちの学習を手助けするために創造的に使うものだと考えている。彼女が「面白くなければ,私だってしないわよ。」と語っていたのが印象的であった。どの学校に行っても感じることだが,教育は教師次第だ。Robin
Robin2

2009年4月 5日 (日)

西オーストラリア:viewingの記録2

【Perth Modern School】
 Perth Modern Schoolには,公立学校なのだが選抜試験がある。ここには,Rod Quin先生というすごい人がいる。何冊もviewingの本を書いている人である。ここでは,その先生の授業を見ることができた。中学3年生の国語の授業である。
 まず,いきなりプロジェクタで「この授業の目的:効果的に人物の性格を描くことを学ぶ」と投影する。子どもたちは,さっとノートしていく。
 その後,すぐに「答え:映画と同様のテクニック」と投影。
 そして,真っ暗な背景に不気味な笑みを浮かべる男優の写真を投影する。かなり怖い写真である。Rod先生は,まず「写真の印象」を尋ねる。子どもたちは,ノートに書き出す。
 しばらくして,Rod先生は,その答えを板書していく。
 ○怪しい   ○不機嫌な   ○臆病な
 ○神秘的な  ○うさん臭い  ○邪悪な
 ○用心深い  ○陰謀をたくらむ ○怒り
 次に,「なぜそのように感じるのか」。その根拠を写真からさがして述べるように指示する。
 ○暗いから(照明) ○表情(目,口,まゆ)
 ○衣装 ○いでたち ○動き 
 これらも板書していく。ここまでは,映像分析である。

 次に,小さいプリントを配布する。ここには,Charles Dickens(イギリスの小説家)が書いた人物描写が掲載されている。「David Copperfield」という小説の中に登場するUrian Heepという人物である。彼が不気味な悪人であることを,その出で立ちや行動などを描写することで,表現している一節である。
 生徒たちは熱心にこれを読む。

 そして,Rod先生は,「人物を描写するポイント」として以下の6つを投影する。
 1,Surrounding(背景)
 2,Clothing and appearance(服装,身なり)
 3,Facial expression(表情)
 4,Posture(出で立ち)
 5,Actions(動き)
 6,Speech - manner and matter(しゃべり方)

 生徒たちは,文章の表現について,視点に沿って自分の考えを自由に述べ合う。端的に話し合う。
 Rod先生は,次の言葉を板書。
 Cinematic Pickensign Exercise(Rod先生独自の言葉らしい)
 
 さらに,Rod先生は,「自分たちで,映画のテクニックを使って描写をしましょう。」と指示する。これは,かなり難しいと思うが,さすがにここの生徒たちは慣れているようで,ノートにどんどん書いている。

 すぐれた文章を書いた男性生徒を前に出して読ませる。また,数名の生徒の作文も紹介する。

 最後に,次の文章を投影して授業を終える。

 「あなたたちが学んだこと:人物を描写するために映画制作者や作家によって使われるテクニック。それは,あなたたちも自分の物語で使うことができる。」

 流れるようにスムーズに展開した授業であった。映像のテクニックから,いきなり自分たちで文章を書かせるところは,難しいと感じた。日本の生徒だったら,かなりハードルが高いだろう。
 「映像を見て印象を語る」→「なぜ,そのような印象をもったのか,その根拠を探す」という授業の流れは,私の図工の授業と同じである。
 文化審議会は,国語力を「考える力,感じる力,想像する力,表す力」として提言を行っている。この考え方であれば,viewingも十分に国語力の育成につながる。Perthmodernschool

2009年4月 2日 (木)

マッキントッシュ教育活用集中講座 -iPhoto09-

熊本大学教育学部情報教育研究会 4月例会のお知らせです。

授業で役立つ写真活用
マッキントッシュ教育活用集中講座 -iPhoto09-
主催:熊本大学教育学部情報教育研究会 + D-project
日時:4月11日(土)9時-11時50分
場所:附属小学校3コンピュータ室
参加費:無料

■ 今回は写真
 昨年度,好評をいただいた「マッキントッシュ教育活用集中講座」は今年度も継続して実施することになりました。今年度は,大幅にパワーアップしたiLife09の使い方にしぼって教育での活用を考えていきます。
 第一回は,デジタルカメラを有効に活用するiPhoto09についての使い方と活用法について学びます。また,マッキントッシュに標準でついているプレビューというソフトの活用についてのレクチャーもあります。この会に参加するだけで,写真の活用の幅が一気に広がります。

■ 準備物
 コンピュータの活用に興味がある方は誰でも参加いただけます。貸し出し用のマッキントッシュがありますので、気軽にご参加下さい。 デジタルカメラをケーブルといっしょにおもち下さい。音楽CDやUSBメモリがあるとさらに便利です。申し込みは以下まで。(当日参加も大歓迎です。)
 熊本大学教育学部情報教育研究会 山口修一(yamashu2jp@yahoo.co.jp)

■ オプション研究「西オーストラリアの国語科授業視察報告」
 オプションとして,12時20分より14時まで昼食をとりながらの研究会もあります。今回は,西オーストラリアの国語科の授業(写真を活用した【見ること】の授業)の視察報告を前田康裕が行います。これもどなたでも参加できます。興味のある方はどうぞ。
Mact090411

2009年4月 1日 (水)

西オーストラリア:Viewingの記録1

 一ヶ月ぶりにブログを書く。やはり、書かないと文章力がぐんと落ちてしまう。おおいに反省。
 3月26日から29日まで西オーストラリアのパースに行った。目的は、Viewing(見ること)の国語の授業を観察するためである。西オーストラリアでは国語科のカリキュラムの中に「話す・聞く」「読む」「書く」に加えて「見る」が学習の中に入っている。
 忘れないうちに、記録をしておこう。
 ちなみに、写真はインド洋。真っ青な海の色に感動した。(つづく)
 Perth

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