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2009年6月 9日 (火)

活用型学力とは何か20

【プロジェクト型の協同学習 その2】

 月曜日の校内研修はおつかれさまでした。長い説明にもかかわらず一生懸命に聞いていただいたことに感謝申し上げます。今年度の校内研の大切なキックオフだと思っています。

 さて、プロジェクト型の協同学習は単なるグループ学習ではありません。グループで活動をしても「何を学習したのか」という意識が低かったり、それぞれのかかわりあいが薄かったりした場合は「協同学習」とは言えないからです。また、他者と相互作用する中で「知識が構築されていくプロセス」が重要な活動になります。

 心理学者ヴィゴツキーは言います。

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 共同の中では、子どもは自分一人でする作業のときよりも強力になり、有能になる。
 かれは、自分が解く知的難問の水準を高く引き上げる。

         ヴィゴツキー著・柴田義松訳「思考と言語」

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 新聞に掲載する写真を選ぶ活動を想定してみましょう。「写真を選ぶ」という作業は、「伝える目的」「見せる相手」「写真の構図」「記事との整合性」などを考えなくてはならなりません。簡単そうですが、かなり知的な活動となります。

 この活動をグループで行う場合、子どもたちはそれぞれに「選んだ理由」を言葉にして言わざるをえなくなります。「こちらの写真の方が校舎の大きさが分かるよ。」「先生の表情は、こちらの笑顔の写真の方が見た感じがいいよ。」といった仲間への説得を試みるような会話がなされるはずです。子どもたちは、グループの仲間のこのような「考え方」や「やり方」を見て学び、模倣することで、できないことができるようになっていくわけです。
 したがって、ここでは「写真を選ぶこと」そのものに価値があるのではなく、「写真を選ぶために考えたことを言葉にして交わし合うこと」に価値があるわけです。
だから、
教師は活動の前にその意義を説明しなくてはならなりません。たとえば、次のように語るべきです。


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 写真を選ぼうとすれば、自分の考えを「言葉」にして仲間に伝えなくてはなりません。そうすると考える力を高めることになります。だから、「写真を選べばよい」ということではなく、仲間と真剣に話し合うということが「学習」になるのです。そう考えると、自分の考えを言わずに黙っていたり、一人ばかりでしゃべって決めたりすることは、「学習」とは言えなくなります。それぞれが協力して、写真を選ぶための考えを互いに出し合えるようにしなさい。そのことが「学習する」ということなのです。

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 つまり、「各々が言葉にする」という活動の意義を、子どもも教師も意識していなければならないわけです。
子どもの学年が上がるにしたがって、このような学習の意義をよく理解できるようになります。
「写真を選ぶ」という行為を教師が、「目的」として捉えているか、「方法」として捉えているかでは、指導も評価も異なってきます。だから、教師が活動の意義を理解していないと、形だけの協同学習になってしまう危険性があります。「新聞をグループで制作すればよい」というわけではないのです。(つづく)


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