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2010年10月

2010年10月30日 (土)

文章を絵や図にするという学習活動について 2

 国語科の授業において、文章を「絵」にすることは基本的には難しいと考える。前述したように、形や位置を考えさせるための方法としての「図」は可能だが、イメージを豊かにするために「絵」にするという作業は、むしろイメージが陳腐化してしまう危険性が強い。

 たとえば、清少納言の「枕草子」について考えてみる。

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 春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく、山ぎは少し明りて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。

 夏は、夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。雨など降るも、をかし。

 秋は、夕暮れ。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音(ね)など、はた言ふべきにあらず。

 冬は、つとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も白き灰がちになりて、わろし。

(清少納言「枕草子」)

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 私は、夜と朝の中間である「明け方」の光景に、夜空の「藍色」と朝日の「紅色」が混じり合って、雲がうっすらと「紫」に光輝く光景をイメージしてしまった。このイメージを「絵」にすることは私には不可能である。どう描いても頭の中のイメージ以上のものを絵にすることはできない。
 かりに授業で、子どもたちに「絵」を描かせたとしたら、子どもたちは出来上がった「絵」そのものの巧拙を評価することになるだろう。「○○君の絵は山の感じがうまい」「○○さんの絵は色がきれいだ」ということになってしまう。そうなると、子どもたちが考える対象とすべき「言葉」から離れてしまうことにもなりかねない。

 私がもし小学校6年生に「枕草子」を授業するとすれば、図や絵を描かせることはしないだろう。現代語訳を示したりもしない。そこで、次のような授業設計を考えてみた。

第1時
1)音読練習
2)発問「春と夏を現代の文章になおしましょう。」
 おそらく、子どもたちは「えーっ!」と叫ぶだろう。ハードルを一気にあげるから面白い、春と夏に限定するから考えやすい。
 はじめの5分は一人で考えさせる。それから4人程度の少人数のグループにして話し合わせる。
 子どもたちはまず分かる部分からかたっぱしから訳していくはずだ。教師は、黒板に原文を板書して、その横に子どもたちが訳した文章を書いていく。問題になるのは、「あけぼの」と「をかし」の意味だろう。
 夏の文章からすると、「夏は夜がいい」と言っているのが分かるので、春の「あけぼの」が「ある時間帯」を指していることが分かる。そうすると、「山際が白くなる」「紫がかった雲」という言葉から、「明け方」という答えを導き出すだろう。問題は「をかし」の意味だ。蛍が一つ二つ、ほのかに光りながら行く光景」「夏の夜の光景」から、「をかし」の意味を考え討論するだろう。6年生の実態から「趣がある」という言葉は出にくいだろうから余計面白い。子どもたちは、知っている限りの語彙を総動員させて話し合うだろう。

第2時
1)音読練習
2)発問「秋と冬を現代の文章になおしましょう。」
 「火桶」は名詞であり、今では使われないものなので、写真を見せて意味を教える。前時と同様、はじめの5分は一人で考えさせる。それから4人程度の少人数のグループにして話し合わせる。
 子どもたちは、すでに「をかし」が分かっているので、「あはれ」と「わろし」の意味を探ることになるはずだ。「烏が飛び急ぐ様子」と「雁が連なって小さく見える様子」の違いが話題になるだろう。場合によっては「写真」を見せるのはよいかもしれない。「烏」「雁」が飛んでいる様子を見たこともない子どももいるからである。「昼になって、火桶の火が灰になる様子」を想像させて、「わろし」の意味を探らせる。
3)発問「清少納言は、どのような人だと思いますか。」
 ここは、自由にグループで話し合わせる。彼女の感性のすばらしさについて話が出ればよしとする。
4)発問「今回の学習で学んだことを書きましょう。」
 これは文章にしていく作業となる。

 小学生には難しいかもしれないが、協同で学習する場合はハードルをあげてやることが重要だと考える。その上で、読む、話す・聞く、書く、という活動が「現代語に訳する」という課題を考えていく中で有機的につながっていくことが必要だ。文脈を考えることで、子どもたちは情景を想像するはずである。絵や図にするよりも、イメージは広がると思うのだが、どうだろう。

2010年10月27日 (水)

文章を絵や図にするという学習活動について 1

 図工美術の鑑賞の学習において絵画作品を批評する学習活動は一般化してきている。これは「絵」を「言葉」にしていく作業だと言えよう。
 では、逆はどうだろう。「言葉」を「絵」にしていく営みである。

 以前から詩の授業などで、話者の視点を問うために「図」を描かせるというものは提案されていた。場所や描き方を限定して、話者の立ち位置を「目玉」という「図」にするという手法がとられていることもある。(有名なものでは向山洋一氏の「春」の授業があるが、ここでは割愛する。)

 ここで「絵」と「図」の違いを明らかにしておこう。
 日本語大辞典(講談社)によると次のように記されている。

【絵】
 物や考えを形や色などで平面上にかきあらわしたもの
【図】
 点や線で形や位置を示したもの

 もっとも明確な区別はつけられないだろうが、絵の構成要素が「形」と「色」であるのに対して、図の構成要素が「点」と「線」であり、その示す対象が「形」と「位置」であることは興味深い。したがって、前述した「話者の位置」を考えさせるための「目玉」は「図」なのである。

 授業について言えば、「形」や「位置」を考えさせるためには「図」を学習活動に用いることができるということである。これは算数の授業などで図を描いて考えさせたりすることからも納得できる。目的が限定されていれば「図」は有効な働きをするのである。

 一方、「絵」は示す対象が規定されない。「形」や「位置」を示すことはできるが、それ以外のことも示すこともできる。(逆に「色」や「模様」といった別な要素が入ることによって、「形」や「位置」が見えなくなってしまうこともあり得る。)その意味では、「図」よりも「絵」の方が概念的には広い。

 さて、詩や随筆などの短い文章を「絵」もしくは「図」にする学習活動を考えてみよう。
 前述したように「形」や「位置」を考えさせるために、条件設定をして「図」にする活動は可能であろう。
 しかし、「絵」にするとなると異なってくる。読者がイメージした詩や随筆の世界を「形」や「色」などで平面上でかきあらわすとなると、様々な要素が混じってくる。たとえば、宮沢賢治の「やまなし」の次の一説を「絵」にすると考えてみよう。

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 にわかにぱっと明るくなり、日光の黄金は、夢のように水の中に降ってきました。
 波から来る光のあみが、底の白い岩の上で、美しくゆらゆらのびたり縮んだりしました。あわや小さなごみからは、まっすぐなかげの棒が、ななめに水の中に並んで立ちました。
 魚が、今度はそこらじゅうの黄金の光をまるっきりくちゃくちゃにして、おまけに自分は鉄色に変に底光りして、また上の方へ上りました。

                               (宮沢賢治「やまなし」)

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 読者が頭の中でイメージしている幻想的な光景が、「絵」にした瞬間に陳腐なものになってしまわないだろうか。ましてや、時間的な経過のある文章全体を一枚の「絵」に描き表すことは不可能である。

「絵」は示す対象が規定されない分、自由な表現ができてしまう。自由な表現ができるということは、絵の表現上の巧拙が問われるということでもある。その点では、「図」は表現上の巧拙は問われにくい。「形」や「位置」が示されていればよいからである。この違いは大きい。(つづく)

2010年10月26日 (火)

電子黒板と情報 2

 電子黒板での提示の仕方は大きく二つに分けられる。

 何かを説明するための提示と子どもに考えさせるための提示である。
 前者を学習者が「なるほど!そうか!」という思いで映像を見るので「なるほど型提示」とし、後者を「おや?何だろう?」という多いで映像を見るので「何だろう型提示」とよぶことにする。

 なるほど型提示では、学習内容そのものが映像として提示される。たとえば、理科における火山の噴火の様子や宇宙の映像などがそうだ。実物投影機の映像やいわゆるフラッシュ型教材なども含まれる。これは比較的簡単な使い方であろう。

 何だろう型提示では、その映像を通して考えたり話し合ったりさせることで学習が深まるような提示である。たとえば、図工美術においてピカソの「ゲルニカ」を見せてその意味を考えさせたり、社会の学習で輸出入のグラフを見せてその意味を話し合わせたりするといった使い方である。

 もっとも、同じ映像であってもなるほど型にも使えるし何だろう型にも使える。「ゲルニカ」を説明してもよいし、考えさせてもよいのである。授業のねらいによって映像も使い分けられる。
 問題は、 なるほど型と何だろう型では、条件が違ってくるということだ。(つづく)

2010年10月25日 (月)

電子黒板と情報 1

 電子黒板を使った授業を何度か見た。
 このような機器が導入された場合、教師が最初に行うのは実物の投影だろう。子どもたちが使うワークシートやノートを投影できれば、作業をする場所が的確に示すことができる。また、家庭科の裁縫や図工科の筆使いといった細かな作業を示す場合にも効果的である。まさに日常的な使い方としては必要であろう。
 また、教科書や資料集の拡大投影も便利である。M社が出している国語科デジタル教科書は教科書本文をそのまま拡大投影できるので、本文中から根拠を指し示したりする場面では極めて有効に働く。また、挿絵だけを拡大投影したり、新出漢字を筆順の動画入りで示したりできるのもありがたい。
 私自身も、パワーポイントで新出漢字の読み方だけを一学期分を一度に指導したことがある。フラッシュカード式で次々と示すことで、子どもたちは集中して音読して覚えることができた。このような反復繰り返しをする学習にも使える。
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 ただ、活用場面を見れば見るほど、黒板の横に置いてあるこの新しい機器が、もっと可能性を秘めているようにも思えてきた。
 黒板ではできない活用がもっとありそうだ。(つづく)

2010年10月22日 (金)

書籍から学ぶ 8

苅谷剛彦著
「教育改革の幻想」
ちくま書房 756円

 2002年の書籍だが、「ゆとり教育」に対する批判は傾聴に値する。
 また、いわゆる「子ども中心主義」教育の幻想を論じていて面白い。「子どもと一緒に考えよう」「子どもとともに学んでいこう」という言葉は聞こえはよい。しかし、現場におりたときは、様々な課題も発生する。教育政策に対する教育社会学者としての著者の物の見方を学ぶためにも必読の本だと思う。
*評価「5」
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2010年10月20日 (水)

書籍から学ぶ7

ガー・レイノルズ著
「プレゼンテーションzen」
ピアソン・エデュケーション 2300円

 プレゼンテーション関連の本はいくつも出版されているが、この本だけは別格。そもそもプレゼンテーションとは何かといったことから語っている。考えてみれば、教育関係の研究会のプレゼンテーションは文字がぎっしりで写真が小さくて暗いものが多い。しかも、語りは原稿読み上げタイプ。これでは、聞かされている方は退屈でたまらない。
 この本では、主張をしぼりこんで、簡素な画面でプレゼンを行うことを推奨している。よい例がスティーブ・ジョブズのプレゼンテーションである。本を読んだ後に、自分のプレゼンを見直してみると、反省することが多く見つかった。
 単なるプレゼンの技術書というよりは、ビジュアルコミュニケーションとは何かということを考えさせてくれる良書である。
*評価「5」

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 関連してもう一冊。

ガー・レイノルズ著
「プレゼンテーションzen デザイン」
ピアソン・エデュケーション 2400円

 前作と組み合わせるとさらによく理解できる。プレゼンテーションのデザインのための原則とテクニックがつまっている。
*評価「4」

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2010年10月19日 (火)

書籍から学ぶ6

山田奨治著
「情報のみかた」
弘文堂1800円

 「情報」といえば、すぐにコンピュータやインターネットを連想してしまう人も多いが、この本は純粋に「情報のみかた」を平易な文章で語った本である。「ゆうれいの顔はなぜこわいのか」という問いかけに、絵を分析的に見る手法で答えている。内容は高度なのだが、小中学生が読んでも分かる書き方になっているところがすばらしい。教師であれば読んでおきたい一冊だと思う。
*評価「5」
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2010年10月17日 (日)

国語教育と情報教育 3

 中央教育審議会答申からの抜粋も引用しておこう。
 今まで示したきた三つの資料に共通する言葉は以下である。

 「情報」「収集」「編集」「表現」

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国語科と情報活用能力に関する資料3
〜中央教育審議会答申2007より抜粋〜
「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」

(4) 思考力・判断力・表現力等の育成
○ 3.で示した子どもたちの学力に関する各種の調査の結果は、いずれも知識・技能の活用など思考力・判断力・表現力等に課題があることを示している。今回の改訂においては、各学校で子どもたちの思考力・判断力・表現力等を確実にはぐくむために、まず、各教科の指導の中で、基礎的・基本的な知識・技能の習得とともに、観察・実験やレポートの作成、論述といったそれぞれの教科の知識・技能を活用する学習活動を充実させることを重視する必要がある。各教科におけるこのような取組があってこそ総合的な学習の時間における教科等を横断した課題解決的な学習や探究的な活動も充実するし、各教科の知識・技能の確実な定着にも結び付く。このように、各教科での習得や活用と総合的な学習の時間を中心とした探究は、決して一つの方向で進むだけではなく、例えば、知識・技能の活用や探究がその習得を促進するなど、相互に関連し合って力を伸ばしていくものである。
○ 現在の各教科の内容、PISA調査の読解力や数学的リテラシー、科学的リテラシーの評価の枠組みなどを参考にしつつ、言語に関する専門家などの知見も得て検討した結果、知識・技能の活用など思考力・判断力・表現力等をはぐくむためには、例えば、以下のような学習活動が重要であると考えた。このような活動を各教科において行うことが、思考力・判断力・表現力等の育成にとって不可欠である。
① 体験から感じ取ったことを表現する
(例) ・日常生活や体験的な学習活動の中で感じ取ったことを言葉や歌、絵、身体などを用いて表現する
② 事実を正確に理解し伝達する
(例) ・身近な動植物の観察や地域の公共施設等の見学の結果を記述・報告する
③ 概念・法則・意図などを解釈し、説明したり活用したりする
(例) ・需要、供給などの概念で価格の変動をとらえて生産活動や消費活動に生かす
       ・衣食住や健康・安全に関する知識を活用して自分の生活を管理する
④ 情報を分析・評価し、論述する
(例) ・学習や生活上の課題について、事柄を比較する、分類する、関連付けるなど考えるための技法を活用し、課題を整理する
・文章や資料を読んだ上で、自分の知識や経験に照らし合わせて、自分なりの考えをまとめて、A4・1枚(1000字程度)といった所与の条件の中で表現する
・自然事象や社会的事象に関する様々な情報や意見をグラフや図表などから読み取ったり、これらを用いて分かりやすく表現したりする
・自国や他国の歴史・文化・社会などについて調べ、分析したことを論述する
⑤ 課題について、構想を立て実践し、評価・改善する
(例) ・理科の調査研究において、仮説を立てて、観察・実験を行い、その結果を整理し、考察し、まとめ、表現したり改善したりする
・芸術表現やものづくり等において、構想を練り、創作活動を行い、その結果を評価し、工夫・改善する
⑥ 互いの考えを伝え合い、自らの考えや集団の考えを発展させる
(例) ・予想や仮説の検証方法を考察する場面で、予想や仮説と検証方法を討論しながら考えを深め合う
・将来の予測に関する問題などにおいて、問答やディベートの形式を用いて議論を深め、より高次の解決策に至る経験をさせる
○ これらの学習活動の基盤となるものは、数式などを含む広い意味での言語であり、その中心となるのは国語である。しかし、だからといってすべてが国語科の役割というものではない。それぞれに例示した具体の学習活動から分かるとおり、理科の観察・実験レポートや社会科の社会見学レポートの作成や推敲、発表・討論などすべての教科で取り組まれるべきものであり、そのことによって子どもたちの言語に関する能力は高められ、思考力・判断力・表現力等の育成が効果的に図られる。
 このため、学習指導要領上、各教科の教育内容として、これらの記録、要約、説明、論述といった学習活動に取り組む必要があることを明示すべきと考える。

(7) 社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事項
(情報教育)
○ 急速に進展する社会の情報化により、ICTを活用して誰でも膨大な情報を収集する
ことが可能となるとともに、様々な情報の編集や表現、発信などが容易にできるように
なった。学校においては、ICTは調べ学習や発表など多様な学習のための重要な手段
の一つとして活用されている。学習のためにICTを効果的に活用することの重要性を
理解させるとともに、情報教育が目指している情報活用能力をはぐくむことは、基礎的・
基本的な知識・技能の確実な定着とともに、発表、記録、要約、報告といった知識・技
能を活用して行う言語活動の基盤となるものである。(中略)
○ このような観点から、情報教育について、その課題も踏まえた上で、子どもたちの
発達の段階に応じた改善を図る必要がある。特に、小学校の低学年段階からこれらを確
実に身に付けさせるため、情報モラル等を中心に、文部科学省が情報教育に関する指導
の手引きや指導資料を作成することも考えられる。
・小学校段階では、各教科等において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの
積極的な活用を通じて、その基本的な操作の習得や、情報モラル等にかかわる指導
の充実を図る。
 特に、総合的な学習の時間において、情報に関する学習を行う際には、問題解決的
な学習や探究活動を通して、情報を受信し、収集・整理・発信したり、情報が日常生
活や社会に与える影響を考えたりするなどの学習活動が行われるよう配慮することと
する。また、道徳においても、その指導に当たって、発達の段階に応じて情報モラル
を取り扱うよう配慮する。

2010年10月16日 (土)

書籍から学ぶ5

佐藤可士和著
「佐藤可士和の超整理術」
日本経済新聞出版社

 今回は、教育関連書籍ではなく、ビジネス書から選ぶことにした。
 この本は、通常の「整理術」の本ではない。面白いのは、「空間の整理」「情報の整理」「思考の整理」という視点で整理を試みているところだ。特に、「思考の整理」の章で「まず、考えを言語化することから始める」という主張には賛同する。
 「本質を捉えなければ、いい結果は生み出せない」という著者の意見は、彼の仕事ぶりを見ると納得できる。
 評価「5」
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2010年10月15日 (金)

国語教育と情報教育 2

 文部科学省が出している「教育の情報化に関する手引き」には、情報活用能力を身に付けさせるための学習活動が掲載されている。
 今回は、その記述から国語科の学習に関連する部分を抜粋する。

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国語科と情報活用能力に関する資料2
〜「教育の情報化に関する手引き」(文部科学省平成21年3月)より〜

第3節 情報活用能力を身に付けさせるための学習活動
1. 各教科等における情報活用能力の育成
(1) 小学校段階
A 情報活用の実践力
1) 課題や目的に応じた情報手段の適切な活用
 コンピュータや情報通信ネットワークなどのICTの活用に当たっては,小学校段階では,それらに慣れ親しませるところから始め,各教科等の学習活動の中で児童に積極的にICTを活用させたり,ICTの操作について特別に時間を設けたりするなどにより,基本的な操作を確実に身に付けられるように段階的に指導していくことが必要である。 ICTに慣れ親しませる段階では,コンピュータやソフトウェアを起動し,キーボードやマウス等に触れ,文字や図形が表示される動作などを体験したり,インターネット閲覧ソフト(ブラウザ)を使って指定されたウェブサイトを見たり,デジタルカメラを使って写真を撮影したりすることなどが考えられる。
 各教科等の指導の中で,ICTに慣れ親しませることができるが,例えば,以下のような学習活動を通して行うことが考えられる。

【指導例】
・国語科の「出来事の説明や調査の報告をしたり,それらを聞いて意見を述べたりする」学習の際に,デジタルカメラを積極的に活用することを通して,ICTに慣れ親しませるようにする。 
 そして,上記のような段階から,徐々に,文字の入力,電子ファイルの保存・整理,インターネットの閲覧,電子メールの送受信などのICTの基本的な操作を身に付けられるように指導していく必要がある。また,その際,課題や目的に応じ,児童が自ら,コンピュータやソフトウェアを起動し,適切に終了できるまでを,一連の操作として身に付けさせるようにする。コンピュータやネットワークにアクセスするためのID・パスワードの大切さについても,こうした中で指導する。以下,基本的な操作のそれぞれについて,児童生徒に身に付けさせていくための指導について解説する。

○文字の入力
 ローマ字表記を学習する頃から,ローマ字による文字入力や,必要に応じて漢字変換等を,キーボード上の正しい位置に指を置きながら行えるようにし,時間当たりに入力できる文字数の目標を設定することも考えられる。なお,目標とする文字数については,中学校との接続も考慮して,学校や学年で適切に設定することが望まれる。
 各教科等の指導の中で,文章の編集や図表の作成,まとめなどの学習活動を通して,文字を入力する操作を身に付けさせることができるが,例えば,以下のような学習活動を通して身に付けさせるようにする。

【指導例】
・国語科の「児童が情報機器を活用する機会を設けるなどして,指導の効果を高める」ことに関連して,コンピュータによる発表資料等の活動を通して,文字を入力する能力を身に付けさせるようにする。
・国語科の「日常使われている簡単な単語について,ローマ字で表記されたものを読み,また,ローマ字で書く」学習の際に,コンピュータのキーボードを使って入力することを通して,ローマ字で文字を入力する能力を身に付けさせるようにする。

○電子ファイルの保存・整理
 キーボードやマウスに触れることに慣れてきた段階から,電子ファイルに名前を付け,目的に応じてフォルダを作り,適切に整理して保存できるようにする。
 各教科等の指導の中で,文章の編集や図表の作成,まとめなどの学習活動を通して,電子ファイルを保存・整理する能力を身に付けさせることができるが,例えば,以下のような学習活動を通して身に付けさせるようにする。

【指導例】
・国語科の「日常使われている簡単な単語について,ローマ字で表記されたものを読み,また,ローマ字で書く」学習の際に,ローマ字で適切なファイル名やフォルダ名を付けて,電子ファイルを整理・保存できる能力を身に付けさせるようにする。

2) 必要な情報の主体的な収集・判断・表現・処理・創造
 小学校段階では,必要な情報の収集・判断・表現・処理・創造に関し,様々な方法で文字や画像などの情報を収集して調べたり比較したり,文章を編集したり図形や表,グラフ,イラストなどを作成したり,調べたものをまとめたり発表したりする能力を身に付けさせるようにする。各教科等の指導の中で,こうした能力を身に付けさせることができるが,例えば,以下のような学習活動を通して身に付けさせるようにする。 

【教科全体に関わる指導例】
・国語科の「児童が情報機器を活用する機会を設けるなどして,指導の効果を高める」ことに関連して,インターネット,電子辞書等の活用,コンピュータによる発表資料の作成とプロジェクタによる提示等を通して,必要な情報を収集・判断・表現・処理・創造する能力を身に付けさせるようにする。

【個々の内容に応じた指導例】
・国語科の「目的や意図に応じて,書く事柄を収集し,全体を見通して事柄を整理する」学習の際に,インターネットで必要な情報を検索したり,文章の構成や記述に役立つように整理することを通して,インターネットで情報を収集したり,判断してまとめたりする能力を身に付けさせるようにする。

3) 受け手の状況などを踏まえた発信・伝達
 小学校段階では,情報の発信・伝達に関し,受け手の状況などを踏まえて,調べたものをまとめたり発表したり,電子メールやウェブサイトなどICTを使って交流したりする能力を身に付けさせるようにする。各教科等の指導の中で,こうした能力を身に付けさせることができるが,例えば,以下のような学習活動を通して身に付けさせるようにする。
【教科全体に関わる指導例】
・国語科の「児童が情報機器を活用する機会を設けるなどして,指導の効果を高める」ことに関連して,コンピュータによる発表資料の作成とプロジェクタによる提示等の活動を通して,受け手に配慮しながらまとめたり発表したりする能力を身に付けさせるようにする。

2010年10月14日 (木)

国語教育と情報教育 1

 国語教育と情報教育は、重なる部分が非常に多い。
 情報活用能力を育てるという意味では、国語教育の果たす役割は大きいと言えるだろう。ここでは、学習指導要領解説の中から情報活用能力に関する部分を抜粋してみる。

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国語科と情報活用能力に関する資料1
〜学習指導要領解説 国語科編より〜

中学年

「B書くこと」 言語活動例

 イ疑問に思ったことを調べて,報告する文章を書いたり,学級新聞などに表したりすること。

 

調べたことを基に報告する文章を書いたり,それを学級新聞などの記事として生かしながら編集したりする言語活動である。
「疑問に思ったことを調べ」るとは,例えば,自分の経験したことの中から不思議に思ったことや,身の回りの事柄や学習した事柄について疑問に思っていることなどを調べることである。調べた結果を友達に説明するなど,書く相手や目的を明確にもつことのできる場面の設定が必要となる。
 設定した相手,目的や場面に応じて,書く材料の収集や選択の仕方,まとめ方などを様々に工夫することになる。その際,報告する文章や学級新聞などの特徴に基づいて書くことが必要となる。例えば,調査を報告する文章では,調査の目的や方法,調査の結果とそこから考えたことを明確に書くことになる。学級新聞では,複数の種類の文章を集めて編集し,見出しを付けたり記事を書いたり,割り付けをしたりすることになる。

 ウ収集した資料を効果的に使い,説明する文章などを書く言語活動

 資料を使い,説明する文章などを書く言語活動である。
「収集した資料を効果的に使い」とは,説明する相手や目的に応じて,本や文章,図表,絵画,写真,具体物などの資料を収集し,考えを高めることと,構成や記述のためにこれらの資料を活用することとである。書くべき「説明する文章など」には,文章だけでなく,図鑑や小冊子などの形も考えられる。ここでは,例えば文章を図解する資料となっていることや,写真やグラフなどを具体的に解説した文章となっていることなど,文章と図表などの資料とが相互に密接な関連をもつものであることを意識できるようにすることが大切となる。

 エ目的に合わせて依頼状,案内状,礼状などの手紙を書く言語活動

 実用的な文章としての手紙を書く言語活動である。
 ここでは,地域での体験学習の指導を依頼する手紙,学校行事について案内をする手紙,地域の方にお世話になったことへのお礼の手紙などを書くことが考えられる。その際,表書きに宛て名や住所などを正しく書くことや,後付けにおける署名と宛て名の位置関係といった基本的な形式なども押さえることが求められる。

高学年

「B書くこと」 言語活動例

イ自分の課題について調べ,意見を記述した文章や活動を報告した文章などを書いたり編集したりする言語活動

 児童一人一人が課題をもち,その課題について調べ,意見を記述した文章や活動を報告した文章などを書いたり,それらの文章を活用して編集したりする言語活動である。
「自分の課題について調べ」るとは,一人一人の児童が課題を設定し,それについて調べて知識や情報を得ることである。課題は,自分自身の経験に基づいて設定する場合,資料などを読んで更に調べたいと思って設定する場合,交流を通して設定する場合,自分がこれまでに書いたものを読み返して設定する場合などが考えられる。
「意見を記述した文章や活動を報告した文章など」を書く場合には,課題に応じてどのような種類の文章を用いるのかを明確に意識する必要がある。意見を記述した文章や活動を報告した文章のほかに,例えば,調査や研究を報告する文章,解説したり提案をしたりする文章などが考えられる。
 これらを「書いたり編集したりする」こととは,一つの文章を書くことに加え,複数の文章を一定の目的の基に組み合わせて表現することである。例えば,意見や活動の報告文集,本や新聞,リーフレットやパンフレットなどを編集することなどが考えられる。その際,目的や意図に応じた編集として章立てや節などを工夫するとともに,題名や前書き,目次,後書き,奥付などを付け,実際の本や新聞,雑誌などの編集に合わせるようにすることが大切である。

ウ事物のよさを多くの人に伝えるための文章を書く言語活動

 自分が他の人に薦めたいと思う事物を取り上げ,そのよさを多くの人に伝わるように,様々な形式の中から適切なものを選んで書く言語活動である。
 具体的には,推薦書や宣伝文,紹介のためのポスター,案内のための小冊子などが考えられる。推薦したり宣伝したりするためには,その事物についてよく認識する必要がある。確かな理由や根拠に裏付けられていることや,他のものと比較してのよさなどをとらえることができるよう指導する必要がある。相手は,特定の人だけでなく不特定の人の場合もあるので,それぞれに応じて工夫することが大切である。また,書いたものを実際に多くの人に読んでもらう場を設定することを通して指導の効果を高めることが重要である。

2010年10月13日 (水)

書籍から学ぶ4

ジョージ・ジェイコブズ、マイケル・パワー、ロー・ワン・イン著
伏野久美子、木村春美翻訳
関田和彦監訳
「先生のためのアイディアブックー協同学習の基本原則とテクニック」
ナカニシヤ書房 2100円

 協同学習の考え方や具体的な技法について、極めてやさしく書かれた本。実際の学習場面に即した方法が紹介されているので、多くの教師に役立つ内容になっている。教師であれば、ぜひ読んでおきたい本である。
 *評価「5」
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2010年10月12日 (火)

書籍から学ぶ3

前述した二冊と異なり以下の三冊は、「流行」の書。

田原総一朗著
「デジタル教育は日本を滅ぼす
ポプラ社 1470円

 田原総一朗氏の教育観には賛同するが、なぜ「デジタル教育が日本を滅ぼす」という主張につながるのが全く分からない。田原氏は「(デジタル教科書を使うと)問題を解く、正解を出すという作業が自己完結してしまうのである。(p47)」と述べているのだが、そもそもそのような機器を教育機器として学校に導入するだろうか。田原氏は、まず「デジタル教育」「デジタル教科書」といった言葉の定義を行うべきだ。説得力の著しく欠けた内容になっているのが残念。
*評価「2」
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中村伊知哉・石戸奈々子著
「デジタル教科書革命」
ソフトバンククリエイティブ 1600円

 中村氏は、現状をよく理解した上で主張をしているので、説得力があった。現場で使われているサイトやソフトを熟知している。少なくとも、教育の情報化に何らかの関わりをもつ人は読んでおくべき本だと思う。できれば、デジタル教科書に関する批判的な考察も欲しかった。
*評価「3」
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矢野耕平著
「iPadで教育が変わる」
毎日コミュニケーションズ 780円

 矢野氏の主張には賛同できるところが多い。特に「『出力型学習』が連結することで初めてひとつの知識を体得することができる。(p60)」という主張に賛成する。
 また、デジタル教科書礼讃ではなく、問題点も指摘しているところである。問題点を乗り越えることでより良い教育機器の開発は可能となる。さらに、実際にiPadを使った実験授業を行っている点も評価できる。iPadを使った子どもたちが「ノートを使って書く作業の重要性」を述べているところも頷ける。
*評価「4」
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2010年10月11日 (月)

日本教育方法学会

 10月9日(土)と10日(土)、日本教育方法学会に参加した。
 初参加だった。私自身、教育工学会、外国語メディア教育学会、教育メディア学会と参加してきたが、どの学会もスタイルが違っていて面白い。

 日本教育方法学会は、教育工学会と違って細かなデータが出てこないところが逆に新鮮に思えた。しかし、現場の教師が少ないのはなぜだろう。教育方法の研究団体であったら、もっと現場教師が多くてもよいはずだ。

 圧巻だったのは、最終日のラウンドテーブル。
 テーマは「大学研究者は授業研究にどのように関わっているのか」。
 話題提供者が以下のメンバー。贅沢な顔ぶれである。
 秋田喜代美(東京大学)
 木原俊行(大阪教育大学)
 小林宏己(早稲田大学)
 田上哲(九州大学)
 鹿毛雅治(慶應義塾大学)

 現場教師から見ると、「現場の教育研究に助言を与えて下さるありがたい先生方」だと思っていたのだが、今回のラウンドテーブルを見て感じたのは、当の本人たちからするとその関わり方で色々と悩みもあるということだ。
 自分の立ち位置をたとえると、客席から舞台俳優を見ていた立場から、ステージ横で舞台俳優さんを見る立場に変わった感覚。飛行機の時間の都合で中座してしまったが、もっと聞きたいところだった。

 「柴田義松全集」が販売してあったので、思わず購入してしまった。

2010年10月 8日 (金)

書籍から学ぶ2

池上嘉彦著
「記号論への招待」
岩波新書 780円

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 テクスト、コンテクスト、コードといったコミュニケーションの基本となる概念を分かりやすく解説した本である。
 教材をテクストと考えると、それが文章であっても絵画や写真、表やグラフであっても、解読や解釈の学習は同じことをやっていることになる。

 教師が読解の授業設計を行う場合でも、子どもたちが表現の学習を行う場合でも、記号論の考え方は必ず役立つものになる。

2010年10月 7日 (木)

書籍から学ぶ1

 書籍から学ぶことも多い。書籍によって教育観が変化していくから面白い。
 そこで、「自分自身の教育観の核にあるもの」を明確にしたいので、しばらく、書籍の紹介を試みたい。

柴田義松著
「ヴィゴツキー入門」
寺子屋新書800円

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 なぜ、協同的な学習が必要なのかということが分かる本である。
 ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」の理論や「心理的道具としての言葉の役割」といったことが分かりやすく書かれている。
 ヴィゴツキーを最初に学ぶには最適な本だと思う。

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