無料ブログはココログ

« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »

2010年12月

2010年12月29日 (水)

国語科デジタル教科書 6

【テキストの分割と編集


 ICTの特性として,テキストを構成する情報がデジタルであるが故に,それらを容易に分割したり編集したりできる点が挙げられる.

 教科書では,文章だけではなく挿絵や写真といった非言語情報も同時にレイアウトされていることが多い.学習者は,無意識にこれらのテキストを組み合わせて読んでいることになる.そこで,授業者が,テキストの分割を行えば,挿絵や写真だけ取り出したり,文章の一部を取り出したりして,学習者に思考させることができるようになる.たとえば,本文中のグラフのみを提示して,そこから読み取れることを言語化していくといった学習活動ができる.学習者は,それぞれのテキストを焦点化して読むことになり,テキストの関係性に注目することが可能となる.

 また,小学校学習指導要領(2008)では,言語活動の例として「リーフレットやパンフレットなどの編集」を挙げている.それらのテキストの編集には,文章だけではなく写真などの非言語情報も含まれる.撮影者が現実を意味づけして,映像として表現したものが写真である.これらに文章を付加することは,まさに非言語情報を言語化することであり,分析力を高めることになる.そのような単元では,学習者がデジタルカメラやコンピュータを活用することで,試行錯誤を伴った編集が可能となり,思考力を高めることができる.

 このように,授業者がテキストを分割して思考させることや,学習者がテキストを思考しながら編集していくことが,「思考力を高めるためのICT活用方略」の一つだと考える.

2010年12月21日 (火)

国語科デジタル教科書 5

【非言語情報を含んだテキスト


 国語科は,テクスト(text)の読解と生成の過程において,学習者の思考を促していく教科であると言えよう.従来,テクストは,人文科学・社会科学の文脈では,読解の対象となる文章を指す言葉であった.しかし,PISA調査における読解力では,文章などの「言語情報(連続型テクスト)」だけではなく,図表やグラフといった「非言語情報(非連続型テクスト)」を含めて対象としている.平成23年度から実施される小学校学習指導要領(2008)の国語科においても,文章だけではなく図表や絵や写真などの非言語情報も読解の対象となっている.このことからも,今後,非言語情報をテクストとして扱う単元も増えていくと予想される.

 また,文化審議会は答申「これからの時代に求められる国語力について」の中で「考える力」を次のように定義している.

 「【考える力】とは,分析力,論理構築力などを含む,論理的思考力である.分析力は,言語情報に含まれる『事実』や『根拠の明確でない推測』などを正確に見極め,さらに,内在している論理や構造などを的確にとらえていける能力である.また,自分や相手の置かれている状況を的確にとらえる能力でもあり,知覚(五感)を通して入ってくる非言語情報を言語化する能力でもある.論理構築力は,相手や場面に応じた分かりやすく筋道の通った発言や文章を組み立てていける能力である.」

 思考の対象が非言語情報であっても,言語化することによって,国語力は高められると考えられている.これは,他教科でも推進されている言語活動にもつながるものである.

 以上のことから,「思考力を高めるためのICT活用方略」の一つとして,「非言語情報を含んだテクストの読解と生成」という方法を提案したい.その視点で教材を選択し,思考力を高める方略を考えていきたい.

2010年12月15日 (水)

国語科デジタル教科書 4

【テクストへの問いかけ】

 文学教材の授業の流れは大まかに言えば、解読から解釈に向かう。解読を行うためには知識が必要であるし、解釈を行うためには文脈を考えなければならない。
 この文脈を考えながら解釈を行う活動が、まさに国語科授業の本質とも言える部分であろう。

 ICT を使っていかに「大きくて分かりやすい教科書本文」を提示できたとしても、子どもたちが思考を働かせなければ授業とは言えない。
 ICTを教科の本質に向かわせるためには、教師は問わなければならない。子どもたちに思考を働かせて、目の前にあるテクストを読ませる活動を仕組んでいく必要がある。(つづく)

2010年12月13日 (月)

国語科デジタル教科書 3

【テクストの分割】

 国語科デジタル教科書には、様々なコンテンツが含まれている。その中には「見れば分かるもの」もある。たとえば、「新出漢字の筆順指導」「映像による具体例(点字が使われている場面、ユニバーサルデザインの原則など)」などがそうである。はじめて見ると「これは提示するだけなので分かりやすいな」と思ってしまう。しかし、「見れば分かるもの」は、使い方を誤ると「見ている方は考えなくてもすむもの」にもなる。

 国語科の大きな目標の一つである「思考力の育成」のためには、子どもたちを考える場に放り込まなければならない。逆に言えば、「一見よく分からないもの」の方が教材として優れていることも多い。

 国語科デジタル教科書の大きなメリットは、教科書に含まれているテキストを分割できることである。たとえば、本文中の一部分や一段落だけを焦点化して見せることができる。5年生の単元「言葉って、おもしろな」という単元の資料として「宇宙人からのメッセージ」という教材文がある。日本語が上手に使えない宇宙人が関西なまりのあるメッセージを書くというものだ。本文中では、主人公が少しずつ修正していくことになっている。デジタル教科書では、本文中にある「メッセージ」の部分だけを切り取って拡大提示することができる。すると、子どもたちは「何だろう」という目でメッセージを読むことになる。「何だかおかしな文章」だということで思考が働いていくことになる。

 このような「テクストの分割」によって、子どもたちはより焦点化されたテクストの読みを行うようになる。これは、文章だけではなくて、写真や図表と組み合わされたテクストも同様だ。(つづく)

2010年12月11日 (土)

国語科デジタル教科書 2

【撮影とは何か】

 写真は「現実」を表現しているようで「現実」そのものではない。撮影者が意図的に現実を切り取ったものである。撮影とは、 辞書的には「映像を記録する行為」といえるが、その行為の中で人は何を考えているのだろう。
 現実を注視する間に、何かしらの意図や目的に応じてシャッターを切り、それを映像化しているはずだ。それは一瞬の出来事であるがゆえに「撮影」という一つの言葉にまとめられるのであるが、以下のことを行っているはずである。

(1)現実を注視する・・・情報を収集する
(2)シャッターを切る・・必要な情報を判断する
(3)映像化する・・・・・情報の発信を行う

 つまり、情報の収集から発信までを瞬時に行っている行為と言えるのだろう。
 そう考えると、写真には情報の送り手である撮影者の意図がこめられているはずである。(つづく)

2010年12月10日 (金)

国語科デジタル教科書 1

 国語科のデジタル教科書には様々なメリットがある。本文を大きく提示して書き込めたり、新出漢字の筆順を示す動画が入っていたり、戦時中の爆撃機の音が入っていたり、従来の掛け図とは大きく異なる部分が多い。
 そのようなメリットの中でも、私が面白いと感じている部分は、教材文と教材文、教材文と図表・挿絵・写真などを切り離して提示できることである。
 たとえば、5年生の国語の単元に「物語を作ろう」というものがある。写真を見ながら自由に物語を作るのであるが、いきなり複数の写真を見せて個別に物語を考えさせることは困難である。
 そこで一枚だけ写真を選んで拡大提示して、子どもたちに「どんな写真なのか考えてごらん」と問う。最初の子どもは「兄弟が旅に向かっているところです。」と答える。私は「どうして、そう思ったの?」と問うと、「着ている服がおそろいだからです。」とその子は答える。そこで、今度は別の子どもに「その兄弟は今から何をするの?」と問う。すると、「おじいちゃんおばあちゃんが住んでいる田舎に向かうところです。」という答えが返ってきた。私は、すかさず「どうして?」と問い直すと、その子は「向こうに新幹線が見えるので、新幹線に乗って遠くの場所へ行くと思ったからです。」と答えた。
 このような流れで、一枚の写真を使って次々に物語を作っていく活動は面白い。様々な発想が生まれやすいからである。
 従来の掛け図であれば、複数の中の一枚をその場で拡大して提示することは難しかった。デジタル教科書ならでは使い方だ。

 そこで、ちょっと考えてみる。写真を言葉にしていく活動は、どうして盛り上がるのだろうか。(つづく)

2010年12月 3日 (金)

研究について思うこと 6

 「記述」と「説明」を区別して考えることは重要なことだ。

 学校の研究紀要をあらためて読んでみると、圧倒的に「記述」が多い。たとえば、一学期当初の児童の実態調査が「記述」され、授業を含む様々な実践が「記述」がされ、最後に二学期末の児童の実態調査が「記述」されるといった流れである。児童が変容した様子は数値的には分かる。教師の「指導の工夫」によって、児童が学習に興味・関心をもったり、学力が高まったりしたという「結果」が、グラフや表によって示されるからである。

 しかし、「なぜ」そのようになったのかという「説明」がなされていない。「指導の工夫」がどのような理由によって興味・関心を高めたのが論理的に述べられていない。だから、教師が行った様々な実践しか伝わってこない。

 一般的な学校の研究発表がこのような流れになっているので、教師側も「教育研究とは、うまくいった実践を発表することだ」と思いこんでしまっているのではないだろうか。もっとも、実践を行うことが教師の役割なので当然と言えば当然なのだが、その実践のプロセスでは、小さな仮説と検証を繰り返したはずだ。「こうやってみたが、うまくいかなった。だから、こうしてみた」といった具体的な試行錯誤があったはずである。そのことを記録しておくことが「説明」につながると思う。(つづく)

2010年12月 2日 (木)

研究について思うこと 5

 ある学級で「うまくいった方法」が、別の学級でもうまくいくとは限らない。教育研究の場合、自然科学の研究のように完全に数値化できない場合が多いからである。
 だから、研究の内容を文章で語ることがどうしても必要になってくる。ここで問題になることは、何をどう語るかということだ。
 そこで、次の言葉がキーワードになる。

 「記述」と「説明」

 高根正昭氏は著書「創造の方法学」(講談社現代新書)で次のように述べている。
********************************************

 記述とは
「事実を正確に観察して記録すること」
 説明とは
「『結果』として扱われる現象と、その『原因』となる現象とを、論理的に関係させること」

********************************************

 そう考えると、多くの教育研究の文章が「記述」で終わっているものが多いことに気づく。

 以前、「ICTの活用で、子どもたちの思考力・表現力を伸ばす」というテーマで研究をしていたことがある。具体的な実践として「身の回りで問題になるようなものをデジタルカメラで撮影して、それをもとにしてスピーチやスライドショーなどで表現する」という学習を行った。たとえば、「段差のある公衆トイレ」や「手すりのない階段」といったものである。
 この学習において、子どもたちは積極的に活動を行った。スピーチもスライドショーもスムーズに行うことができた。授業後の評価も数値的に極めて高いものとなった。

 しかし、これをそのまま書いてしまっては「記述」の段階でとどまってしまう。なぜ、うまくいったのかということを「説明」しなくてはならないのである。
 ある同僚は、「デジタルカメラを操作するのが楽しかったからだ」と述べていたが、私は納得いかなかった。それでは、「スピーチやスライドショーがスムーズに行えた理由」にはならないからである。また、子どもたちはデジタルカメラの操作にはすぐに慣れてしまう。操作に興味をもつのは初期の段階だ。
 そんなときに、ある大学教授が私の実践を見て「撮影することで、ある視点で現実を切り取ることができるからだ」と「説明」してくださった。つまり、子どもたちは撮影の段階で、どの場面を切り取るのかということで思考しているので、映像に自分の言葉をつけることがスムーズにできたのである。
 このような「説明」があると、「結果」と「原因」がつながる。(つづく)

2010年12月 1日 (水)

研究について思うこと 4

 そもそも「仮説」という言葉が分かるようで分からない。

 簡単に言えば、「○○すれば□□になる。」という「原因」と「結果」をむすびつけて、その関係性を述べること。これが「仮説」だと言えよう。
 そう考えると、われわれは日常的に「仮説」を立てて行動している。
 たとえば、「西の山が雲で隠れているので、今日は雨が降る。」と考え、「傘をもっていく」というようなことはけっこう多い。

 一方、教育研究の仮説は、やたらと大きいものが多い。「興味関心を高める指導過程の工夫を行えば、子どもたちの自ら学ぶ力が育つだろう。」などは、その顕著な例であろう。その「結果」になるような「工夫」を行うわけなので、当然と言えば当然の文脈となる。「ごはんをたくさん食べれば、おなか一杯になるだろう。」と言っているようなものである。
 だから、「仮説の検証」の段階になれば、そのほとんどが「検証された」ということになり、子どもたちは見事に「自ら学ぶ力が育った」ということになる。
 教育研究のような社会科学においては、授業一つとってみても、教師の指導技術・子どもの人間関係・学級経営・教室環境などの様々な要因があって、簡単に「検証」はできないはずだ。

 そう考えると、教育研究においても、対象を焦点化し具体的な仮説にしなければ、「研究」にはならないのではないだろうか。(つづく)

« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30