ICTは学力向上に役立っているのか? その1
今年もあと一ヶ月足らずとなった。この一年間に学会を含めて様々なICT活用に関連する研究会に参加した。そこで感じたことを書いておきたい。
ICT活用研究会では、以下のような発表を聞いたり読んだりすることが多い。
○実物投影機で○○を大きく映し出すと、子どもたちの集中力が高まりました。
○電子黒板で動画を見せて、子どもたちの理解を促しました。
つまり、授業のある局面での事例紹介である。「ICTを使うと、こうなりました。」といった文脈になる。たしかに、ICTを普及させるのが目的であれば、そのような発表でもよいだろう。
しかし、教室の中にデジタルテレビや電子黒板、実物投影機が入ってきている昨今、ICTを使うことは前提として考えるべきではないか。
だから、研究の成果として「ICTを使用しなかった授業」と「ICTを使用した授業」の比較をしてもあまり意味がない。
むしろ使用することを前提として、どのように効果的に使うかということを授業全体の中に位置付けるべきだ。
だから、次のような発表が増えてもよいのではないか。
○学習履歴を残すために電子黒板と黒板との役割分担をこのように行いました。
○実物投影機で子どもの思考を共有化するための課題とワークシートを開発しました。
つまり、授業のねらいを達成するためにICT機器と他の要素(教科書、黒板、学習課題、発問、ワークシート、ノート、授業の流れ等)を関連させながら授業全体を設計するための研究である。
そうしないと、「ICTは使ったけれど、学力向上にはあまり効果がありませんでした。」という結果になってしまうのではないだろうか。(つづく)
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