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2011年12月10日 (土)

ICTは学力向上に役立っているのか? その3

 私は自転車に乗れるようになるためにかなり時間がかかった。自動車が通らない早朝に母から起こされて、自宅の前の路上で練習した。何度も倒れて、膝をすりむいた。毎日やっても乗りこなすことができずに、そのうちに自転車に乗ることをあきらめてしまった。それが、いつの頃からだろう。ひょいっと乗れるようになってしまったのだ。そう、ある日突然だ。もっとも、それまでの練習があったからこそ、その「突然」がきたのだろう。
 一度自転車に乗れるようになると、生活は一変した。放課後は、毎日自転車に乗った。つまり、面白いから自転車に乗るようになったのだ。
 そのうちに自転車は生活の一部になる。友達の家に行く、買い物に行く、といった目的が先行するようになる。そして今でも私の通勤手段となっている。

 このように、道具というものは初期の段階では使うことが「目的」となる。「使えるようになるために使う」「使うことが面白いから使う」といった段階である。
 ICTも使えるようになるためにはまずは使わないとならない。私の場合は、それはコンピュータであった。自分でCGを作ったり、パソコン通信をなどもやったりした。そのうちに、面白さを感じるようになっていた。自分が面白いと感じるようになった段階で学校にコンピュータが導入された。子どもたちにも使わせたいと考えるようになったのはむしろ当然のことだったのかもしれない。
 しかし、そんな私の目を覚ますような出来事が起きた。もう15年以上も前のことである。社会科の時間に、子どもたちが調べたことをコンピュータでまとめるという学習を行った。授業参観で公開した。当時としてはめずらしい授業だったと思う。得意満面で授業をしていた私に、ある保護者が「この授業の目的は何ですか?」と質問してきた。私はうまく答えられなかったのである。頭を殴られるくらいショッキングな出来事だった。コンピュータを使っている自分の子どもを見て保護者は喜んでくれると予想していたからだ。いつのまにか、私は授業の目的を忘れていたのである。

 ICTは道具にしかすぎないということは以前から言われてきたことである。だから、初期の段階では「道具を使うこと」が目的であってもかまわないと思う。様々な試行錯誤を繰り返さないと使いこなせるようにはならない。そういう時期が必要なのである。
 しかし、道具が主役になることはない。ICTを導入すると授業が激変するというようなことはない。そもそも「どんな授業が良いのか」といった授業観が土台にないと道具は威力を発揮しない。料理人が「美味しい料理そのもの」を知らなければ、どんなに便利な道具が増えたところで、料理は一向に良くならないのである。(つづく)

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