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2011年12月

2011年12月28日 (水)

「情報教育」は行われているのか?その6

【情報教育を推進するために】

 今まで問題点を述べてきた。
 そこで、改善策を述べたい。

(1)基礎的な技能の習得の単元を確定する
 学習指導要領ではタイピングは基礎的な技能として位置付けられている。当然のことだが、3年生の段階でローマ字を学習する際に、タイピングの指導もしなければならない。学校として必達項目の一つとして計画するべきだ。
 しかも「○年生の○○の単元で、タイピングの指導を行う。」というところまで決めておかないと、学級によって差が出てしまうことになる。同様に、インターネットによる検索の方法やデジタルカメラの使い方なども単元の中に位置付けておく必要がある。
 単元を確定しておくことが極めて重要だ。

(2)図書資料の冊数を確保する。
 情報担当者は、コンピュータの管理ばかりではなく、司書教員と相談しながら、どの単元でどのような図書が必要になるのかを把握しておく。図書主任は、学級全体での調べ活動に使えるような冊数を確保しておく。たとえば、農業について調べる単元では、農業についての本が4、5種類あっても実際には使えない。調べ学習に適した本を厳選して、同じ本を数冊準備することも考えられるだろう。
 たとえば、32人の学級において1グループ4人の編成をしたら8グループができる。一つのグループに最低2冊の図書が必要だと考えると、単純に16冊の図書資料が必要になるはずだ。厳選した4種類の本を4冊ずつ購入することも考えられるし、8種類の本を2冊ずつ購入することも考えられる。いずれにしても、調べる学習を想定した冊数が必要である。

(3)情報機器の環境を整える。
 学校によっても状況は異なるのだが、図書室とコンピュータ室が離れている場合は同時に使うことが困難になる。むしろ、ノートパソコンをグループの数だけ図書室に持ってきた方が効率的であろう。
 また、一次情報の収集のためのデジタルカメラなどもグループの数だけ必要になってくる。そう考えると、学校でそろえる情報機器は、パソコンではなく、むしろiPad2のようなタブレット型情報端末の方が都合がいいのではないだろうか。なぜならば、iPad2ではインターネット検索はもちろん、デジタルカメラとしてもビデオカメラとしてもICレコーダーとしても使える。
 タブレット型情報端末は、電子教科書的な使い方が注目されがちなのだが、むしろ複合型情報機器として考えた方が現実的だ。
(つづく)

2011年12月27日 (火)

D-project九州+熊大情報研一日講座のお知らせ

D-project九州+熊本大学教育学部情報教育研究会
定員30名!

iPad一日講座

Mact120128a

iPadと教育をつなごう

 iPadに代表されるタブレット型情報端末が教育現場にも広がっています。しかし、iPadを買ってはみたものの上手に使いこなせない人もいるのではないでしょうか。また、使ってみようかどうか迷っている人も多いようです。まずは、みんなで集まって楽しく使ってみることから始めませんか。きっと、授業が楽しくなると思います。
 今回の一日講座は「児童生徒のiPad活用」「iPadプレゼン大会」「iPadを使った情報教育ワークショップ」と、もりだくさんの内容です。また、夕方の懇親会(希望参加)では、「iPadを使ったゲーム」「役立つiPadのアプリ紹介コーナー」など、まさに、朝から晩まで「iPadづくし」の一日講座です。どなたでも参加できます。

内容:
・レポート「児童生徒がiPadを活用した授業」
・ iPadプレゼン大会「教師のための写真活用術」
・ iPadを使った情報教育ワークショップ


日付:2012年1月28日(土)
場所:熊本大学くすの木会館(附属小ではありません。)
時間:午前9時〜午後4時30分 
主催:D-project(デジタル表現研究会)九州
     熊本大学教育学部情報教育研究会
会費:200円(茶菓子代)
懇親会:午後6時〜午後9時(会費:4000円)
準備物:
*もっている方はiPadをおもちください。
*お弁当(500円)も注文可能です。
参加申込み:
メールで山口修一副会長まで。iPad所有かiPad2所有か、あるいは所有してないかをお知らせください。懇親会参加不参加もお知らせ下さい。 
30名限定の会ですので、定員になり次第締め切らせていただきます。
  yamashu2jp@yahoo.co.jp

チラシが必要な方は以下からダウンロードしてください。

二種類ありますが、写真が違うだけで内容は同じです。

Aは、上記のものでBは下記のものです。
「Mac-T120128A.pdf」をダウンロード
「Mac-T120128B.pdf」をダウンロード

Mact120128b_2

2011年12月21日 (水)

「情報教育」は行われているのか?その5

(前回からのつづき)

(4)学校図書館とコンピュータ室の場所の問題
 子どもたちは個別に調べるよりもグループで調べることが多くなるだろう。そうなると、学級全員が一度に学校図書館に行くのではなく、グループの数名は図書を調べたり、他の数名はコンピュータで調べたりするのが理想的だ。
 そのような活動をやろうとすれば、子どもたちは、学校図書館とコンピュータ室を行ったり来たりすることになる。以前訪問したオーストラリアの学校では学校図書館とコンピュータ室は同じ場所にあったので、そんなことが自由にできた。しかし、日本の学校ではどうなのだろう。少なくとも私が以前勤務していた学校では、学校図書館とコンピュータ室は遠く離れていた。そうなると、教師の目が行き届かなくなり、指導も難しくなる。

(5)情報の確かさの問題
 図書の問題点は、情報が古くなってしまう恐れがあるということだ。特に産業の話題は日進月歩である。10年前と現在とでは、情報産業もまるで変わってきている。教師は、図書が出版された年を確かめることを指導しなければならない。
 また、図書資料と比較すると、ネット情報の信頼性は著しく乏しい。誰もが自由に情報を発信できるからこそ、その信憑性を確かめなくてはならない。そのことについての指導も必要となる。
 いずれにしても、これらの資料はあくまでも二次情報であることを、子どもたちが理解していないとならない。

(6)論述することの不足
 資料を集めてそのまま発表するという活動になりがちではないだろうか。たとえば、グラフや図表をそのまま書き写して伝えるという学習だ。集めた情報から「読み取って考える」という学習がなされていないのである。
 本来は、ここが一番重要なのだが、単純に「調べて発表」になっており、自分の解釈が全く入っていない。PISA調査の読解力が低い原因はここにあると思う。
 あらためて、学習指導要領の小学校社会科改訂の趣旨を引用する。

「地図や統計など各種の資料から必要な情報を集めて読み取ること,社会的事象の意味,意義を解釈すること,事象の特色や事象間の関連を説明すること,自分の考えを論述することを一層重視する方向で改善を図る。」

(つづく)

2011年12月19日 (月)

「情報教育」は行われているのか?その4

 学校図書館(図書室)やコンピュータを活用して情報を収集する活動は、簡単そうで難しい。実際にそのような授業をやってみると以下のような問題が生じる。

(1)課題設定の難しさ
 「何を何の目的で調べるのか」ということを子どもたちが十分に理解していないと情報の収集は難しい。あるいは情報収集のみで終始してしまうことが多い。たとえば「情報産業について調べよう」ではあまりに問題が大きすぎる。かといって、教師側が一方的に「時間帯によるテレビ番組の内容の違い」「テレビ局によるニュースの伝え方の近い」など細かく設定しすぎると、子どもたちが自分で課題を設定する力が育たない。まずは子どもたちが課題を出し合って、その後に教師と一緒にしぼりこんだ課題にするのが望ましいだろう。

(2)コンピュータで調べ方を指導する難しさ
 「コンピュータから得られる情報」は玉石混淆である。そしてその多くは「大人向け」に書かれたものなので、学年が下がるにつれて読むのが難しくなる。教師としては、検索の方法だけではなく、信頼性が高くなおかつ小中学生に役立つサイトをある程度調べておく必要がある。そうしないと、無駄に「調べる時間」だけがすぎていく。また、良いサイトを見つけたとして、それを子どもたちがどの程度書き留めるのかも問題となる。サイトをプリントアウトするだけで、内容を読まないで「調べたつもり」にもなる危険性がある。

(3)図書資料の数
 学校図書館に一度に子どもたちを連れて行って困るのが図書資料の数である。40人全員が一つの課題について調べることは不可能だ。たとえば、情報産業について調べるとしても、図書資料の数は多くてもせいぜい4冊から5冊といったところだろう。40人が一度に閲覧できるわけではない。だから、教師は課題を設定する際に、その学校の図書資料の数と種類を十分に把握しておく必要がある。私は事前に司書に相談して近隣の学校から一週間ほど借りるようにしておいたが、そのようなことができない学校もあるだろう。「調べる課題」は実は図書資料の数によって大きく規定されるのである。(つづく)

2011年12月17日 (土)

「情報教育」は行われているのか?その3

 小学校社会科改訂の趣旨には次のように記されている。

 社会的事象に関する基礎的・基本的な知識,概念や技能を確実に習得させ,それらを活用する力や課題を探究する力を育成する観点から,各学校段階の特質に応じて,習得すべき知識,概念の明確化を図るとともに,コンピュータなども活用しながら,地図や統計など各種の資料から必要な情報を集めて読み取ること社会的事象の意味,意義を解釈すること,事象の特色や事象間の関連を説明すること,自分の考えを論述することを一層重視する方向で改善を図る。

 指導計画作成上の配慮事項で具体的に見てみたい。

(3) 学校図書館や公共図書館,コンピュータなどを活用して,資料の収集・活用・整理などを行うようにすること。また,第4学年以降においては,教科用図書「地図」を活用すること。

 これは,指導計画の作成に当たって,学校図書館や公立図書館,コンピュータ,教科用図書「地図」(地図帳)などの学習環境や教材・教具を活用するように配慮することを示したものである。
 社会科の授業においては,これまでと同様に,社会の変化に自ら対応する能力や態度の育成を図る観点から,
学び方や調べ方を大切にし児童の主体的な学習を一層重視することが必要である。すなわち,児童一人一人が自らの問題意識をもち,学習問題に対して解決の見通しを立て,それに従って必要な情報を収集し,それらを活用・整理して問題を解決していく学習活動を構成することが大切である。このような学習活動を実現していく上で,学校図書館や公共図書館,コンピュータなどの果たす役割は極めて大きい。その主な理由は,次の三つに整理することができる。

 その一つは,学校図書館や公共図書館,コンピュータなどを活用して,児童が学習問題の解決に必要な
情報を検索し収集することができることである。社会科の学習においては,実物を観察したり,地域の様々な事象や人々の働きを見学・調査したりするなど,社会的事象に直接かかわり,触れ合いながら学ぶことが大切である。一方,県の様子,我が国の産業や歴史などの学習では,観察や調査・見学などの体験的な活動が困難な場合が多く,学校図書館や公共図書館などに備えられた図鑑や読み物,事典(辞典),参考書などの図書やコンピュータなどから得られる様々な情報が重要な学習の資料となる。

 その二つは,学校図書館や公共図書館,コンピュータなどの活用を通して,
情報活用能力を育てることができることである。児童一人一人が学習問題などを解決するために図書館やコンピュータなどを活用する過程で,必要な資料を検索・収集する能力分析・選択する能力検討・吟味する能力,加工・整理する能力などを習得することができる。

 その三つは,特にコンピュータなどの情報手段の活用を通して,
多様な表現方法を身に付け,調べたことや考えたことを分かりやすく伝える発信能力を育てることができることである。例えば,インターネット,電子メールなどの様々な情報手段により,自ら情報を発信し,国内ばかりでなく,例えば日本人学校など海外の人々ともかかわりをもつことにより,一人一人の表現力も一層豊かになるものと思われる。このような学習を実現していくには,学校図書館などの施設の整備を進めていくことが大切である。特に学校図書館がもつ読書センターとしての機能に加え,児童の学習活動を支援する学習・情報センターとしての機能をもつようにしていく必要がある。

 まとめると以下のようになるだろう。

*********************************

 基礎的・基本的な知識・技能を習得させ、活用する力、探求する力を育成する。
 そのために、資料からの収集、読解、解釈、表現の学習活動を重視する。
 そのような学習活動を実現するためには、図書館やコンピュータの果たす役割は大きい。
 その主な理由は以下の3点である。
(1)図書資料やコンピュータからの情報は重要な学習の資料となる。
(2)図書館やコンピュータなどの活用を通して情報活用能力を育てることができる。
(3)情報手段の活用を通して情報発信能力を育てることで、表現力を豊かにすることができる。

*********************************

 これだけ図書館やコンピュータの活用が示されているのだが、学校の現場でこれを指導するとなると様々な困難が生じる。(つづく) 

2011年12月16日 (金)

「情報教育」は行われているのか?その2

【小学校社会科5年】

 学習指導要領小学校社会科の「内容の改善」には次のように示されている。

 我が国の情報産業などの様子と国民生活との関連に関する内容については,これまでの「我が国の通信などの産業」を「我が国の情報産業や情報化した社会の様子」とし,「これらの産業(は国民の生活に大きな影響を及ぼしている)」を「情報化の進展(は国民の生活に大きな影響を及ぼしている)」と改めた。 また,これまでの「これらの産業に従事している人々の工夫や努力」を「情報化した社会の様子と国民生活とのかかわり」と改めた。なお,内容の取扱いにおいては,これまでの「放送,新聞,電信電話などの中から一つを取り上げるものとする」を「放送,新聞などの中から選択して取り上げること」と改めるとともに,情報化した社会の様子と国民生活とのかかわりについての事例の取り上げ方として,新たに「情報ネットワークを有効に活用して公共サービスの向上に努めている教育,福祉,医療,防災などの中から選択して取り上げること」を加えた。

 以下のように学習内容に「情報産業や情報化社会」として位置付けられたことになる。

(4) 我が国の情報産業情報化した社会の様子について,次のことを調査したり 資料を活用したりして調べ,情報化の進展は国民の生活に大きな影響を及ぼしていることや情報の有効な活用が大切であることを考えるようにする。

 したがって学習内容は次の2点に大きく分けられる。

ア 放送,新聞などの産業と国民生活とのかかわり
イ 情報化した社会の様子と国民生活とのかかわり

 その視点で新しい教科書を見て見ると、明らかに変化している。
 日本文教出版の「小学生の社会5下」では、「わたしたちのくらしと情報」として、情報産業として新聞、ネットワーク社会の様子も示されている。面白いのは、調べたことをまとめる方法として、「校内ニュース」や「インターネットについての討論会」が紹介されているところだ。
 同じく「小学社会5年下」では、「情報を伝えるテレビ」、情報化社会の中の医療やコンビニが紹介されている。最後は「ルールをまとめよう」という活動が紹介されている。
 光村図書の「社会5」では「情報とわたしたちのくらし」として、情報産業としての新聞、コンピュータやネットワークを活用したコンビニの様子なども示されている。まとめる方法としては、取材をして新聞をつくる活動が紹介されている。
 教育出版の「小学社会5下」では、「くらしを支える情報」として、情報産業としての放送(テレビ)、図書館やインターネットなども盛り込まれている。最後は学習したことを「パソコンレポートを作ろう」という活動でまとめられている。
 東京書籍の「新しい社会5下」では、「情報化した社会とわたしたちの生活」として、情報産業としての「テレビの情報」をとりあげてメデイアの特長などにも言及している。情報ネットワークを生かした医療やコンビニなども示されている。最後は「ホームページをつくろう」といった活動だ。

 問題は、これらの学習が「調査したり、資料を活用したりして調べて」行われているかどうかということだ。教科書を読んで意見を述べてノートにまとめるような活動で終わっているとしたら、学習指導要領の趣旨から外れることになる。
 新しい学習指導要領では、調べる方法としてのコンピュータの活用にも言及しているのである。(つづく)

2011年12月15日 (木)

「情報教育」は行われているのか?その1

 新教育過程では、やたらと「言語活動」ばかりが注目されているのだが、小学校学習指導要領総則の解説編では配慮事項として以下の四つを示している。

① 児童の言語活動の充実

② 見通しを立てたり,振り返ったりする学習活動の重視

③ 障害のある児童の指導

④ 情報教育の充実

 ②などは、メタ認知力を高めるためにも必須の事項なのだと思うのだが、どのように行われているのだろう。③もまた重要だ。 
 そして、④の情報教育の充実に関しては以下のように示されている。

 小学校における各教科等の指導に当たっては,コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作や情報モラルを身に付け,適切に活用できるようにするための学習活動を充実することを示した。

 新教育課程においては、どのような「情報教育」が行われているのだろうか。(つづく)

2011年12月13日 (火)

ポスター制作ワークショップ 番外編

 ワークショップ当日に欠席していたメンバーが、自宅でポスターを制作してくれた。
 以下の3作品である。
Nishio1
 写真のよさもあるが、カラーとモノトーンによって印象的にしているところが上手い。
Nishio2
 キャッチコピーと写真が合っている。
 表情が見えそうで見えない。だから、iPadの画面に目が向いてしまう。
 背景のぼけ具合もすばらしい。
Nishio3
 人物がきいているなあ。
 「iPad Day 冬の陣」って何? という感じ。

 ワークショップを欠席しても、ちゃんと作品をつくるところが、すごいところだ。
 メディア創造を楽しむことは、教師にとっては重要な資質なのだと思う。

2011年12月11日 (日)

ICTは学力向上に役立っているのか? その4

 熊本市教育センターの「先輩から学ぶ教育技術」が更新されている。
「板書の文字入門」である。黒板にチョークで美しい文字を書くという教育技術が23のコンテンツとともに紹介されている。

「黒板とチョーク」というと電子黒板の対局にあるような「古くさい教育技術」のように思われるかもしれないが、今だからこそ「黒板とチョーク」なのだと思う。

 ここ最近、ICTを活用した授業の中で、すばらしいと感じたものがある。まず教師は電子黒板にデジタル教科書の本文や挿絵を提示しながら子どもたちに根拠を探させる。そして、子どもたちは、その根拠を示しながら言葉によって主張していく。さらに、子どもたちの意見は、教師によって「黒板」に「チョーク」を用いて記録され、学習の足跡となって残っていった。まさに、電子黒板と黒板の絶妙な組み合わせがすばらしく、電子黒板が生きて働いていた。

 このようにICTを有効に活用するためには、様々な教師が開発し受け継がれてきた「優れた教育技術」と組み合わせる必要がある。ICTの良さを生かすためには、ICTではできないことも知らないとならないからである。それは、板書だけではなく、発問やワークシートなども含むはずだ。

2011年12月10日 (土)

ICTは学力向上に役立っているのか? その3

 私は自転車に乗れるようになるためにかなり時間がかかった。自動車が通らない早朝に母から起こされて、自宅の前の路上で練習した。何度も倒れて、膝をすりむいた。毎日やっても乗りこなすことができずに、そのうちに自転車に乗ることをあきらめてしまった。それが、いつの頃からだろう。ひょいっと乗れるようになってしまったのだ。そう、ある日突然だ。もっとも、それまでの練習があったからこそ、その「突然」がきたのだろう。
 一度自転車に乗れるようになると、生活は一変した。放課後は、毎日自転車に乗った。つまり、面白いから自転車に乗るようになったのだ。
 そのうちに自転車は生活の一部になる。友達の家に行く、買い物に行く、といった目的が先行するようになる。そして今でも私の通勤手段となっている。

 このように、道具というものは初期の段階では使うことが「目的」となる。「使えるようになるために使う」「使うことが面白いから使う」といった段階である。
 ICTも使えるようになるためにはまずは使わないとならない。私の場合は、それはコンピュータであった。自分でCGを作ったり、パソコン通信をなどもやったりした。そのうちに、面白さを感じるようになっていた。自分が面白いと感じるようになった段階で学校にコンピュータが導入された。子どもたちにも使わせたいと考えるようになったのはむしろ当然のことだったのかもしれない。
 しかし、そんな私の目を覚ますような出来事が起きた。もう15年以上も前のことである。社会科の時間に、子どもたちが調べたことをコンピュータでまとめるという学習を行った。授業参観で公開した。当時としてはめずらしい授業だったと思う。得意満面で授業をしていた私に、ある保護者が「この授業の目的は何ですか?」と質問してきた。私はうまく答えられなかったのである。頭を殴られるくらいショッキングな出来事だった。コンピュータを使っている自分の子どもを見て保護者は喜んでくれると予想していたからだ。いつのまにか、私は授業の目的を忘れていたのである。

 ICTは道具にしかすぎないということは以前から言われてきたことである。だから、初期の段階では「道具を使うこと」が目的であってもかまわないと思う。様々な試行錯誤を繰り返さないと使いこなせるようにはならない。そういう時期が必要なのである。
 しかし、道具が主役になることはない。ICTを導入すると授業が激変するというようなことはない。そもそも「どんな授業が良いのか」といった授業観が土台にないと道具は威力を発揮しない。料理人が「美味しい料理そのもの」を知らなければ、どんなに便利な道具が増えたところで、料理は一向に良くならないのである。(つづく)

2011年12月 9日 (金)

ポスター制作ワークショップ その5

 グループCは、こだわりのある人の集まりだ。
 まず、一番目はこれ。
D_watanabe2
 シンプルだけどやりたいことは伝わってくる。
 イベントの内容は理解できる。
 実は、この作品には前バージョンがある。次がそれだ。
D_watanabe1
 写真が小さいというだけでインパクトは極端に弱くなってしまう。
 街角で見かけるポスターの多くが写真を大きく使っているのはそのためだろう。
 作者がこだわったおかげで、ビフォーアフターが比較できた。

D_takabayashi
 インパクトがあって、なおかつイベントの内容も分かりやすい。
 写真を加工するというこだわりが、良い作品を生む。

D_fujimoto
 前面にiPadの画面を見せるという斬新さがすばらしい。
 また、左下の指が効果的だ。指が入るだけで動きが想像できる。このこだわりが見事!
 これは塚本会長も高く評価していた。
 街角に実際に掲示されていても違和感がない。

 というわけで、iPadだけで、たった1時間程度の時間で個性あふれるポスターが完成した。授業で行う場合は、完成させて終わりではなく、作品を見ながら色々と話し合うことで、学びが広がっていくだろう。(授業でもやりたくなるなあ。)

 1月28日の一日講座が楽しみになってきた。

2011年12月 8日 (木)

ポスター制作ワークショップ その4

 グループCは、濃いメンバーの集まりなので作品も濃い。(^_^;)
C_takagi1
 インパクトという面で秀でている作品だ。
 赤の白文字というのも効果的だ。
C_takagi2
 一番目の作者の別の作品。
 これはデザイン的に優れている。
 写真をシンメトリーに加工してできた黒い面を上手に使っている。
 微妙にグラデーションになっているところもうまい。
 作者のセンスの良さが光っている。
C_takenouchi
 これはなんというか・・・インパクトの強さでは今回のワークショップでは一番だ。
 こんなポスターが張られていたら、多くの人は「何だ?」と思って見るだろう。
 さすが、「九州四天王」のお一人の作品だ。
 メッセージが上手く伝わるかどうかは不明だが・・・。
(ちなみに、「九州四天王」というのは、私が密かに命名している四人の人物のこと。鹿児島、大分、佐賀、熊本とそれぞれ県は異なる。本当にすごい人たち!!。)
C_yamaguchi
 昔の東宝の怪獣映画のようなレイアウトになっている。
 「ゴジラ対○○」みたいな・・・。うーん。
 総帥って何?四天王って何?・・・だ。
 もう一人の四天王の作品なだけに、どうコメントしていいやら分からない。(^_^;)
C_yamaguchi2
 四番目の作者の別の作品。
 こっちの方が断然いい。
 人物の表情には賛否両論あるだろうが、やはり「顔」が与えるインパクトは大きい。

 こうやって並べてみると、作品には作者の個性が反映されることが分かる。
 iPadだけでも、これだけ色々なことができるのが面白い。(つづく)

2011年12月 7日 (水)

ポスター制作ワークショップ その3

 グループBの作品を見てみよう。
B_fujita

 文字のインパクトがポスターを効果的にしている。
 右側の人物とiPadの中の人物の表情で明るさを出している。
 人物が二人配置されていることで、協同で学ぶ楽しさのようなものも伝わる。

B_shimada

 一番目の作品と比較すると面白い。
 同じように「iPadを使う後ろ向きの人物」がポスターの中心になっているにもかかわらず印象はかなり異なる。
 まず、色の違い。暖色系と寒色系ではかなりイメージが変わる。
 また、写真の大きさも重要だ。全体に対する写真が占める割合はことさら重要に感じる。
 人物の顔が見えているかどうかも大きい。
 この作品の面白いところは、顔が見えないので自然にiPadの中の画面に関心が向いてしまうところだ。これは作戦として使えそうだ。写真はさらに大きく配置して、iPadの画面を面白いものにしてみると、さらによくなりそうだ。

B_maruno

 今度は、人物が前を向いているので、表情が伝わりやすい。
 楽しい雰囲気を伝えるのには、人物の表情が重要な要素を占める。
 被写体が若い女性なので、研究会の内容にも新鮮さを感じさせる。

 Bグループの作品を比較してみて、次のようなことを考えた。
 まず、写真が全体に対してどれくらいの割合を占めるべきかということを考えるべきだろう。写真が多ければ、その分他の情報が文字として入らない。そう考えると、ポスターでは可能な限り写真の占める割合を大きくした方がいい。逆にチラシでは、情報を入れるだけのスペースが必要だ。
 また、全体の色のトーンがメッセージを大きく左右する。暖色系と寒色系では与える印象が違ってくるからだ。
 また、人物の表情は極めて重要な要素だ。街角で見かける多くのポスターには人物が入っていることが多い。人は「顔」に注目する傾向があるからだろう。だとすれば、意図的に人物を配置して、その人物にメッセージに沿った表情をしてもらうのも一つの方法だろう。(つづく)

2011年12月 6日 (火)

ポスター制作ワークショップ その2

 完成作品を見ていこう。
 まずは、企画者本人のもの。
Maeda

 むっ!よく見ると開催期日が間違っている。正しくは1月28日だ。
 オーソドックスなつくりになっているが、インパクトに欠けるな。
 まわりの青い枠の有無で、印象が大きく異なるだろう。

 次はグループAの「三部作」。
A_izuno

 人物が入ると、雰囲気がかなり異なってくる。やはり表情が与える効果は大だ。
 「あそべる」と写真が合っている。
A_ookubo

 今度は、人物が入っていない。感情は伝えられないが、何が主役になるかは分かりやすい。また、色が赤であることも強い印象を生み出す。

A_tokunaga

 「まなべる」と写真が合っている。人物の表情が明るければ、もっと良くなるだろう。
 この三部作は、ならべて掲示してあるとさらに効果的になるのだろう。

 こうやって完成作品を比較すると、様々なことに気づくので面白い。
 特に写真の内容は極めて重要だ。
 たとえば、以下のようなことがポイントになってくる。

 人物を入れるか入れないか。
 入れるとすれば、どの人物を使うか。
 その人物は何をしているのか。
 その人物はどんな表情をしているのか。
 その人物をどこから撮影するか。

 写真だけでも様々な要素が絡み合ってくる。それに加えて、全体のトーンや色。キャッチコピーとの兼ね合いなどなど、考えることは多い。ワークショップ参加者は、まさに「思考・判断・表現」のプロセスを体験していると言えるだろう。(つづく)

2011年12月 5日 (月)

ポスター制作ワークショップ その1

 12月3日(土)、月に一度の情報教育研究会の例会があった。
 今回のワークショップは、ポスターの制作である。
 まず、二つの写真を見せた。一つは、ポスターが掲示されている写真である。
Poster
 次に見せたのが、チラシが置かれている写真。
Flier

 そこで、「ポスターとチラシはどう違いますか?」と参加者に問う。参加者はグループで、しばらく話し合って次のように答えた。

○ポスターは大きくて分かりやすい。インパクトがある。
○チラシは細かい情報が書かれている。
○ポスターは、歩いている人を立ち止まらせる。
○ポスターは、キャッチコピーやイメージで右脳にうったえる。
○チラシは左脳にうったえる。
○ポスターは情報量が少ない。
○チラシは裏も使ってある。情報量が多い。

 このように、ポスターとチラシといった 「似て異なるもの」を比較することで、そのものの本質的な部分に気づくことができる。(ちなみに、ICTは、このような「発問」との組み合わせによって効果を発揮するものだと思う。)
 制作の前に「ポスターっていったい何なのだろう。」ということを考えることに価値がある。それが分からないままに、いきなりポスターの制作をしてみても、出来上がるものは「ポスターもどき」であって、ポスターにはなりえない。

 この後は、課題を提示した。
 ポスターで伝えるべきものは、1月の研究会のお知らせ。以下の内容である。

1、内容:iPad一日講座
  午前:iPadワークショップ 午後:iPadプレゼン大会
  懇親会前編:iPadゲーム大会 懇親会後編:iPadアプリ紹介
2、いつ:平成24年1月28日(土)
3、どこで:熊本大学くすの木会館

 朝の9時から夜の10時までiPad一色という常軌を逸した研究会である。
 このポスターをiPadで作るわけである。与えられた時間は1時間10分。
 参加者は三人で3枚を作る。一人1枚を作るわけなのだが、3人で話し合いながら練り上げてもらうことが条件である。しかも、完成作品はこのブログで紹介される。(つづく)

2011年12月 3日 (土)

ICTは学力向上に役立っているのか? その2

 学校研究でよくありがちなことに「方法の目的化」ということが挙げられる。
 本来「方法」として掲げられたことが、いつのまにか「目的」となってしまうようなことだ。
 たとえば、「言語活動の充実」。
 そもそも、「言語活動の充実」は、以下の学力の3要素向上のための方法論として提案されたものである。

(1)基礎的・基本的な知識・技能の習得させる


(2)知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等を育む

(3)主体的に学習に取り組む態度を養う

 「言語活動の充実」は、平成19年の中央教育審議会で報告された「言語力の育成方策」がベースとなっている。
 ちなみに言語力とは以下の能力を指す。

「知識と経験,論理的思考,感性・情緒等を基盤として,自らの考えを深め,他者とコミュニケーションを行うために言語を運用するのに必要な能力」

 本来、言語力を育成するための「言語活動の充実」であったものが、学校の授業研究段階では「言語活動の充実」が目的となってしまうことが起こってくる。
 授業を見ると、単純にグループでの話し合い活動が多くなっているだけだったりすることも多い。肝心の「学力は高められたのか?」という答えにはなっていないのである。

 同じようなことがICTにも言えるのではないだろうか。つまり「ICTの活用」が目的化してしまっているようなことだ。(つづく)

2011年12月 2日 (金)

ICTは学力向上に役立っているのか? その1

 今年もあと一ヶ月足らずとなった。この一年間に学会を含めて様々なICT活用に関連する研究会に参加した。そこで感じたことを書いておきたい。

 ICT活用研究会では、以下のような発表を聞いたり読んだりすることが多い。

○実物投影機で○○を大きく映し出すと、子どもたちの集中力が高まりました。
○電子黒板で動画を見せて、子どもたちの理解を促しました。

 つまり、授業のある局面での事例紹介である。「ICTを使うと、こうなりました。」といった文脈になる。たしかに、ICTを普及させるのが目的であれば、そのような発表でもよいだろう。

 しかし、教室の中にデジタルテレビや電子黒板、実物投影機が入ってきている昨今、ICTを使うことは前提として考えるべきではないか。
 だから、研究の成果として「ICTを使用しなかった授業」と「ICTを使用した授業」の比較をしてもあまり意味がない。
 むしろ使用することを前提として、どのように効果的に使うかということを授業全体の中に位置付けるべきだ。

 だから、次のような発表が増えてもよいのではないか。

○学習履歴を残すために電子黒板と黒板との役割分担をこのように行いました。
○実物投影機で子どもの思考を共有化するための課題とワークシートを開発しました。

 つまり、授業のねらいを達成するためにICT機器と他の要素(教科書、黒板、学習課題、発問、ワークシート、ノート、授業の流れ等)を関連させながら授業全体を設計するための研究である。
 そうしないと、「ICTは使ったけれど、学力向上にはあまり効果がありませんでした。」という結果になってしまうのではないだろうか。(つづく)

2011年12月 1日 (木)

国語科学習におけるICTの活用その7

 本研究会の参加メンバーは、プレゼンの準備をわずか1時間程度でやってしまう。しかも、極めて質の高いプレゼンだ。そのプレゼンを見ながら、説得力を高めるための「力」を学んだ。
 そのいくつかを紹介したい。

1、統計の力
 いくつかのグループは、統計資料を紹介していた。
Mact1119e
 統計資料は一般的にはあまり知られていないので、それだけでも説得力をもつ。プレゼンに「信頼性」が増す。

2、ニュースの力
 ブータンと日本の生活満足度を比較したグループがあった。
Mact1119j_2
 ブータン国王訪日の報道が多かった時期なので、ニュースとしての力があった。新しい情報というだけでも「意外性」が増す。

3、映像の力
 写真が極めて効果的に使用されていた。
Mact1119f
 それは、どの写真を選ぶかによってメッセージが大きく異なってくることを意味する。「感情に訴える」ことがいかに重要であるかが実感できた。

4、単純の力
 たった一つの言葉でも使い方によっては効果的になっていた。
Mact1119g
 4枚のスライド全部に写真を入れるよりは、いくつかのスライドは「言葉」だけにした方が、写真の効果が相対的に向上する。「単純明快」だからこそ、強調できる。

5、共感の力
 子どもたちが発する「気になる言葉」を「現状の問題点」として示したグループもあった。
Mact1119h
 これは極めて「具体性」が高く、しかも身近な問題として参加者が経験していることなので共感できる。いわゆる「ある ある」というやつだ。

 まだ他にも、「表情の力」「語りの力」「人物の力」など、挙げればきりがない。同じスライドであっても、誰がどんな言葉で言うかでメッセージは異なる。文字と写真、スライドの順番、表情や語り方等、プレゼンの善し悪しを決定する要因は多岐にわたる。

 このような「願いの漢字をプレゼンする」といった活動を国語科学習として成立させるには、教師側にかなりのプレゼン力が要求されるだろう。実際の学校現場ではどのような授業が展開されるのだろう。

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