無料ブログはココログ

« 2012年4月 | トップページ | 2012年6月 »

2012年5月

2012年5月31日 (木)

教師のための時間術 11

【「忙しい」を言わない】

 「忙しい」とさかんに言う人がいる。
 「現場は忙しい」「学校は多忙化している」という具合である。もちろん,忙しいのは分かっている。問題は,それを言うことが「何かをしない理由」になってしまっていることだ。
 たとえば,こんな感じである。
 「学校は多忙化しているので,校内研修ができない。(→だからやらない)」
 「現場は忙しいので,研究授業は負担になっている。(→だからやらない)」
 「私はこんなに仕事を抱えています。大変なんです。(→だからやらない)」
 「忙しい」のは自分の外に責任があるという考え方なのだろう。
 だから,私はあえて「忙しい」ということを口に出さないことにしている。「お忙しいでしょ。」と言われたら,わざと「いえいえ。ひまでひまでしかたがありません。」と冗談交じりに答えることにしている。仕事を依頼されたら,可能な限り,その時点でスタートする。本当にできないときは,理由を述べて断る。
 「忙しいから仕事をやらない」のではなく「忙しいから効率的な方法を考える」ほうが,よほど自分の人生に役立つ。「私って忙しいんです。大変なんです。私に仕事を頼まないでください。」とアピールしている人にはいつまでたっても進化は起こらないだろう。

2012年5月30日 (水)

教師のための時間術 10

【細切れ時間にやることを決めておく】

 細切れ時間とは,数分,数十秒の短い時間を言う。
 こんな時間は山ほどあるだろう。たとえば,バスや電車,飛行機などを待っている時間や電話の相手が出るまでに待っている時間などがそうである。こんな時間でも最初からやることを決めておくと時間を効率的に使える。
 バスや電車を待っている間は,必ず読書をする。飛行機を待っている間は,コンピュータのファイルの整理をする。最初から決めているので,すぐに作業を始められる。特にコンピュータのファイル整理は,数分間でもやっておくと,かなり使いやすくなる。
 電話の相手が出るまでには,メールのチェックをしたりWEBサイトのチェックをしたりしておく。特に学校の教師に電話をかける場合は,教師が電話から離れている場所にいることが多いので待たされることが多い。数十秒でも案外と長く感じられるものだ。その時間がもったいない。

 このように書くと,余裕のない生活のように感じられるが,実際は逆である。読書をするためにバスや電車を待つ,メールのチェックをするために電話をかける,と考えればよい。

2012年5月29日 (火)

教師のための時間術 9

【仕組みをつくる】
 私は怠け者である。
 自分自身の「努力」や「根性」というものを一切信用していない。医者から「脂肪肝になっているから適度な運動をしなさい」と言われて,ちょっとだけジョギングしたが長続きしない。先輩から「筋トレは大切だよ」などと言われて,ちょっとだけダンベルトレーニングをしたが,やはり長続きしない。忙しいと,ついつい運動は後回しになるものだ。

 そこで,運動をする「仕組み」を取り入れることにした。努力や根性とは無関係に,運動をせざるをえない「仕組み」をつくるのである。たとえば,通勤は,自動車を一切使わなくして,自転車通勤に変更した。そうすると,1時間以上は運動せざるをえなくなる。また,ダンベルトレーニングビデオを10分の動画にしてコンピュータで再生できるようにした。そして,午前6時からテレビのニュース番組を見ながらトレーニングする。そうすると,情報収集と筋トレが一度にできる。このコンピュータを使ったトレーニングは想像以上に簡単なので,別の10分間筋トレ動画を作成して入浴前に実行している。それが終わらないと入浴できない「仕組み」だ。
 そんなことでも続けていくと,不思議なもので「習慣化」されていく。毎日,自転車に乗ったり,筋トレをやったりしないと,なんだか落ち着かなくなってしまう。歯を磨かないと気持ちが悪いのと同じだ。結局,2年間で体脂肪率は正常値になった。

 多忙だと不健康な状態に陥りやすい。健康な状態を保つためには,適度な運動をするしかない。その時間を生み出す「仕組み」をつくることも,重要な時間術だと思う。(つづく)

2012年5月28日 (月)

教師のための仕事術 8

【朝型人間になる】

 いつの頃からだろう,完全に朝型人間になっている。起床は午前2時50分。顔を洗って,軽い食べ物を用意して書斎に入るのが午前3時ちょうどである。それから3時間はまるまる自由に使える。
 テレビも電話もないので集中して仕事ができる。もっとも,教材研究にしても読書にしても半分は趣味のようなものだから「仕事」という意識はさらさらない。
 朝型の良い点は,時間が限られているところだ。午前6時までにあらゆることを仕上げなくてはならない。以前,毎日,英語活動の指導案とそのためのピクチャーカードを作成したことがあった。毎日の指導案作成だけでも頭を使う作業であったが,ピクチャーカードのためのイラストを描くのも手間暇のかかる作業であった。しかし,朝の限られた時間であったがゆえに「締切効果」があらわれてなんとか,その日に使う分は作成することができた。最終的には,指導案が140枚完成した。すべて実証的に授業で使用されて改良されたものだ。また,ピクチャーカードは600枚できた。このような仕事は朝だったから可能であったのだろう。夜型だったらとてもできなかった。
 朝は,十分眠って脳もすっきりしているので,思考力もよく働く。子どもが小さいうちは,子どもと一緒に寝て,自分だけ早起きすれば良い。朝は知的生産に適している。(つづく)

2012年5月27日 (日)

教師のための時間術 7

【教材研究は自宅で行う】

 これは賛否両論あるだろうが,基本的には教材研究は自宅で行うことに決めていた。「学校で行うこと」は,「学校でしか行えないこと」に限る。たとえば,教室設営や同僚との打ち合わせ,体育や図工などの用具の確認といったことである。
 国語や算数の教材研究といった「自宅でも行えること」は,徹底して自宅で行う。自宅でやった方が効率が良いからである。なおかつ資料も豊富にあるし,電話もかからずに静かである。集中して教材を読み込んだり,指示・発問を考えたりすることができる。そして何よりも「授業の振り返り」ができる点が最大のメリットだ。授業をやってみて学んだことは,わずかながらもブログに記録していった。そのことが常に授業の改善を行うという態度を培っていったと思う。(蛇足だが,そのブログのアクセス数を調べてみると,日曜日に読まれていることが多いことが分かった。教材研究に熱心な教師は日曜日に自宅でまとめて教材研究をしているのだろう。)
 放課後の職員室に残って教材研究をやっていると,どうしても「明日の授業の準備」に追われてしまいがちになる。教材研究とは「授業の準備」だけではない。「授業の反省」も含めて教材研究なのである。(つづく)

2012年5月24日 (木)

教師のための時間術 6

【15分を1ユニットと考える】

 ある程度まとまったことをやるためには,15分程度は必要だろう。たとえば,このブログのようなちょっとした文章を書いたり,本を読んだりすることだ。逆に言えば,15分もあれば,色々とできる。
 教師の場合,読まなくてはならない本というものもある。いわゆる理論書や専門書というものである。ハードカバーでけっこう厚かったりするので,読破するのにはそれなりに時間がかかる。難解な語句も多いので,すぐには理解できなかったりする。そういう本などは,毎日15分ずつ読むことにしている。15分たったら読むのをやめて,また別の本を読む。疲れる前に頭を切り換えるのである。やってみると分かるのだが,15分あれば,かなり読むことができる。
 このように15分を一つの仕事の単位として考えると,15分が長く感じられる。
 そんなことを感じていたときに,次の本に出会った。
 齋藤孝著「15分あれば,喫茶店に入りなさい」(幻冬舎)1300円
 蟹瀬誠一「1日15分が一生を変える!」(三笠書房)571円
 特に蟹瀬誠一氏の著書は,時間術だけでなく,仕事術や生き方まで学べる本としてコストパフォーマンスが高い。(つづく)

2012年5月23日 (水)

教師のための時間術 5

【やらないことを決める】

 やることが多くなれば当然時間は足りなくなる。やりたいことをやる時間を確保するためには,やらないことをあらかじめ決めておいた方がよい。いわゆる「NOT TO DO」である。だらだらと時間を浪費してしまうようなことである。たとえば,テレビやネットサーフィン。見始めるとついつい時間がすぎてしまう。
 私の場合はテレビは,ほぼニュースしか見ないことにした。食事中にテレビがついていることもあるが,基本的には見ない。どうしても見たい番組は録画して後から見ることにしている。
 ネットサーフィンは基本的に行わないが,フェイスブックのニュースフィードは15分間だけ見ることにしている。15分以上は見ない。
 要は不必要なことに時間をかけないことだ。お金でいえば「無駄遣い」である。知的生産の量が多い人は,ほぼ例外なく「無駄遣い」がない。時間が資源であるからだ。(つづく)

2012年5月22日 (火)

教師のための時間術 4

【記録すること】

 人は誰しも移動にかかる時間は覚えているものだ。たとえば,郵便局までは歩いて10分程度かかる,といったことは把握している。
 しかし,何かを行うのにかかった時間は案外と覚えていない。たとえば,メールをチェックする時間や電話にかかる時間,打ち合わせにかかる時間,通信や書類を書くのにかかる時間といったものだ。
 何かをした後にどの程度の時間がかかったかを,ちらっと時計を見ながら記録しておくと,「かかった時間」が把握できる。たとえば,このブログを書くのに10分かかったとしたら,「ブログ10分」と書いておく。
 このような記録をやっておくと,「その仕事にどの程度の時間がかかるか」を事前に把握することが可能になる。小さなことでもかまわない。たとえば,職員室から自分の教室までにかかった時間,職員室からトイレに行ってもどってくる時間,昼食を食べるのにかかった時間,といったことである。このような小さな時間を大切にすることで,重要な時間にかける時間が確保できる。ちょっとした仕事なら,数分のうちにいくつも片付けることが可能だ。

 われわれは,預金通帳の残高は気になる。食事代や光熱費にどの程度かかったかは気になる。お金の話になると非常に関心が高くなるのに,時間になるといいかげんになってしまうのではないだろうか。時間もお金と同じ感覚で大切に「使う」ことが必要なのである。(つづく)

2012年5月18日 (金)

教師のための時間術 3

【書くこと】

 一般的にやられていることなのかもしれないが、私は朝起きたら、今日やらなければならないことを手帳に書き出すことにしている。いわゆる「TO DO」リストである。(あまりにも当然のことなので、ここに紹介するのもはばかられるが・・・。)そのためには、前日に終了していなかった仕事を確認することになる。終了しなかった理由も考えておく必要がある。終わったら、必ずチェックを入れて「終了」したことを確認する。チェックを入れていくことで達成感がある。
 小さなことでも書いておくことが重要だ。たとえば、手紙をポストに入れる、銀行に送金する、といったことも記入している。案外と小さなことを忘れてしまうことが多いからである。
 「TO DO」リストを書いた後は、「段取り」を考えることになる。優先順位を決めたり、仕事の時間帯を決めたりすることである。教師の場合、ある程度毎日決まったスケジュールになるので、「段取り」を考えることが少ないかもしれない。だから、放課後に仕事が山積み状態になってしまうのではないだろうか。
 段取りを考えるためには、その仕事にどの程度の時間が必要なのかということを意識しておかなければならない。つまり、「仕事にかかる時間」の把握である。(つづく)

2012年5月17日 (木)

教師のための時間術 2

【まず始めること】

 仕事を効率的に行うためには、時間を資本として捉えることである。ドラッカーは「成果をあげる者は、仕事からスタートしない。時間から出発する。」と述べている。これは、時間をマネジメントすることに他ならない。
 「忙しい」を連発している人ほど、むだな時間が多いのではないだろうか。たくさんの仕事をこなしている人ほど「忙しい」とは言わない。「もっと効率的に時間を使えないか」と考えているはずである。

 時間を効率的に使うためには、仕事が生じたら「まず始める」ことだ。単純なことなのだが、まず始めなければ仕事はすすまない。
 たとえば、5月に学校全体の研究計画を立てる段階で、自分が11月に研究授業を行うことになったとしよう。その場合、その時点ですぐに指導案を考える始めることである。とにもかくにも、その単元を考えたり、教材を検討したり、資料を収集しはじめることが重要だ。まだ、あと半年もあるから大丈夫、夏休みにじっくり考えて9月になったら本格的に準備しようなどと考えると失敗する。9月には9月の「仕事」が生じるからである。
 実際に始めてみると、その仕事にどの程度の時間が必要なのかといった見通しが立てられる。仮に一学期に別の仕事をしなくてはならなくても、見通しが立てられるので、時間の調整が可能になる。

 この「まず始める」ということは、小さな仕事にでも適用できる。掲示物の貼り替えや部屋の整理といった小さなものでも、気付いたらまず始めることである。原稿なども依頼された段階で、まず思いついたことを書き留めておくことだ。時間があるときにやっておこうと考えると、あらゆることが「先延ばし」になってしまう。

 私自身も、過去を思い起こせば、「まず始めること」ができていなかったがために、あらゆることが締め切りをすぎてしまっていた。そして、多忙感だけが増大していたのを多い出す。(つづく)

2012年5月16日 (水)

教師のための時間術 1

 先日、研究会の中で「先生方が夜の10時くらいまで残って仕事をしている。」ということを耳にした。
 この話を聞いて、「先生方はがんばっているな」と感じる人もいるだろうし、「そんなに遅くまで残って大丈夫かな」と感じる人もいるだろう。
 私は「それはまずい」と感じた。夜遅くまで残って仕事をやると、「遅くまで仕事をがんばった」という自己満足に陥りやすいからである。
 重要なのは、仕事の時間の長さではない。仕事の質の向上である。
 仕事の質の向上のためには、インプットの時間を確保しなければならない。具体的には、専門書を読んだり、資料を調べたりする時間である。また、その日の授業を静かに振り返って考察し記録する時間(省察)も必要である。
 夜遅くまで仕事をしていると、そのような時間が確保できなくなる。

 では、どうすればよいか。
 単純に考えれば、仕事の量を減らすか、仕事の効率を高めるしかない。
 仕事の量を減らすのはなかなか難しいだろう。ましてや、部活動を担当していると夕方の貴重な時間がそれに奪われることになる。(実際、教員が負担に感じている仕事のダントツトップが部活動の指導である。)
 となると、仕事の効率を高めるしかない。つまり、時間を効率的に使うための「時間術」を身につけることである。実際、書店のビジネス書コーナーには「時間術」の本は山ほどある。

2012年5月14日 (月)

教師のための思考術 39

【研究のための思考術7】

 最後に「効果的に表現する力」について述べたい。それは「問題を解決するために、分かりやすい文章、図、グラフ、映像等を駆使して、効果的に表現していく力」である。

 研究を問題解決に寄与できるようにするためには、その成果を他者に分かち伝えられるように表現しなければならない。分かりにくい研究ではその価値は半減する。よい研究紀要や教育論文は分かりやすくて役に立つ。

 しかし、長く学校の研究だけをやっていると「研究発表会」や「研究紀要の作成」を研究のゴールと考えてしまうことがある。これらは、問題解決のための「手段」にしかすぎない。
  研究の目的は、あくまでも問題の解決である。たとえば、「児童生徒のコミュニケーション力の向上」が研究テーマであるならば、研究の目的は「児童生徒のコ ミュニケーション力を向上させること」そのものなのである。その成果を分かち伝えて他者と共有できるようにする手段として「研究発表会」や「研究紀要」が ある。だから、その手段は様々にあってもよいはずだ。効果的な授業の様子を「動画」に編集して見せることもできれば、授業のポイントを「ハンドブック」と してまとめることも「効果的な表現」だと言えよう。
 したがって、端的で分かりやすい文章表現力はもちろんだが、信頼性を高めるための図、グラフ、映像での表現力を高めていく必要がある。また、スピーチやプレゼンテーションの技能も求められる。

2012年5月13日 (日)

教師のための思考術 38

【研究のための思考術 6】

 さらに、「論理的に思考する力」について述べたい。これは、 「なぜ」という疑問を発して、「結果」として扱われる現象と、その「原因」となる現象とを論理的に関係させる力である。((参考文献:高橋正昭著「創造の方法学」(講談社現代新書))

 たとえば、研究紀要などでは次のような文が書かれていることが多い。

 「子どもたちはデジタルカメラで撮影したので、意欲的に写真の説明を行うことができた。」

 この文は

 「子どもたちはデジタルカメラで撮影した」

という事実と

 「子どもたちは意欲的に写真の説明を行うことができた」

という事実を単純に並べただけである。

 結果と原因を論理的に関係させたわけではないので、「なぜ学習者は写真の説明を意欲的に行うことができたのか?」という結果に対して、原因を論理的に関係させたわけではない。

 だから、次のように「説明」をしなくてはならない。

「子どもたちが自分が撮影した写真について意欲的に説明を行うことができたのは、撮影することによって現実が子どもによって意味づけられたからである。」

 この場合デジタルカメラという要素は重要ではない。「撮影」という行為こそが、子どもたちを意欲的に説明できるようにさせた「結果」に対する「原因」であるということを主張する必要がある。

 ちなみに、事実を述べただけの「記述」で終わっている研究紀要の文が多い。だから、学校の研究は考察が不足しがちで、実践報告で終始してしまっている。(つづく)

2012年5月11日 (金)

教師のための思考術 37

【研究のための思考術 5】

 次に「計画的に記録する力」について述べる。
 これは、「一過性のものではなく、問題解決のために計画的・継続的に、数値、文章、映像等で記録をしていく力」である。
 たとえば、「情報活用能力の育成」のための評価規準を作成し、それに基づいた授業実践を行った場合に、それが効果的であったかどうかを検証しなければならない。そのためには、学習者の技能、認知、情意等を数値化したり、授業者自身が授業の省察を行い文章化したりしていく力が求められる。しかも、それらが継続的に行われるようにするために、効率的に実行される「仕組み」をつくる必要がある。
 「仕組み」については、もっと具体的に述べてみよう。たとえば、毎時間毎に児童生徒が記入する自己評価カードに「やる気をもって学習しましたか?」「グループ内でよく意見を交わしましたか?」「自分の考えをしっかりもちましたか?」といった評価項目をもうけることによって、「学習意欲」「協同思考」「個人思考」の毎時間毎の変化の記録ができるようになる。当然、統計的なデータにもなる。また、こまめにビデオカメラ等で学習の様子を撮影しておくと、具体的な児童生徒の姿を映像として残すことができる。さらに、授業が終わったら、その日のうちに教師の視点で省察し個人のノートやブログに文章化して残すといったことも効果的である。その時の「気付き」が後々の考察に役立つからである。
 とかく学校現場は忙しいので「授業のやりっぱなし」になりがちだ。「仕組み」をつくることで、計画的・継続的な記録が可能になる。(つづく)

2012年5月10日 (木)

教師のための思考術 36

【研究のための思考術 4】

 研究を推進するためには、「研究授業」だけの提案ではなく、「問題解決のために調べたり考えたりして明らかにした事実」を含めて提案していく必要がある。
 そのような提案をしていくためには、授業力とは別に「研究に関する力」が求められるのではないだろうか。
 そこで、それを「研究の基本力」と名付け、具体的に以下の4つを示すことにする。

【研究の基本力】
1、本質的に問題を捉える力
2、計画的に記録する力
3、論理的に思考する力
4、効果的に表現する力

 今回は、まず「本質的に問題を捉える力」について述べてみたい。
 それは、「問題をそのままテーマにするのではなく、その問題の原因となることを掘り下げて考える力」である。
 たとえば、「情報活用能力の育成」といった課題をそのまま研究テーマにして研究授業を行うのではなく、「そもそも情報活用能力とは何か。」といった本質を考え、その力の育成を阻害している原因を調査することから出発する。学校カリキュラムの問題なのか、あるいは評価規準の有無の問題なのか、効果的な授業方法の問題なのかといった具体的な課題に掘り下げて、問題解決の道筋を捉えていく力である。

2012年5月 9日 (水)

教師のための思考術 35

【研究のための思考術 3】

 そもそも、何のために研究をやっているのか、ということをあらためて考えなくてはならない。目の前にいる子どもたちの学力を高める研究であるとするならば、以下のようなことをまずはやらなけらばならない。
 ○ そもそも、その学力とは何なのか? → その学力の定義を文献等で明らかにする。
 ○ なぜ、力がついていないといえるのか? → 実態調査等で根拠を明らかにする。
 ○ その力はどうやれば高まるのか? → 先行研究を調べる。
 ○ その力が高まったということをどのように検証するのか? → 先行研究を調べる。
 このようなことを、研究のスタート時にやっておく必要があるだろう。
 学校の研究の場合、目的が「教師の授業力の向上」を兼ねていることが多いので、上記の部分が曖昧になってしまうことが多い。だから、研究授業の後の授業研究会では「児童生徒の学力向上」の論議よりも「教師の指導技術の善し悪し」を論議することが多くなってしまう。
 では、どうすればよいか。(つづく)

2012年5月 8日 (火)

教師のための思考術 34

【研究のための思考術 2】

 研究主任が、研究紀要のような「研究のまとめ」を書く段階になって、「主題設定の理由」を書くことがある。そのほとんどが、「現代社会は知識基盤社会とよばれる。・・・」などといった中教審答申や学習指導要領総則に書いてあるような文言から始まり、「前年度までの研究から」や「本校の目指す児童像から」といった文章が並ぶ。本当に研究主任は、そのようなことを理由に研究主題を設定したのだろうか。
 そもそも、研究主題を設定するのは、そこに「問題」があったからだ。「問題」が焦点化されていないので、「主題設定の理由」が後付けされることになってしまう。
 研究を「物事を深く調べたり考えたりして、事実を明らかにすること」だと捉えるのであれば、深く調べたり考えたりする「目的」があるからだろう。それが「問題解決」ということになるはずだ。
 だから、今、目の前にいる子どもたちのどこが問題であり、その原因は何なのかといったことを研究の最初の段階でとことん考えてみる必要がある。たとえば、「情報活用能力の育成」が研究テーマであるならば、「そもそも情報活用能力とは何か」「その能力は子どもたちに身に付いていないのか」「いないとすれば、それは何が原因なのか」「その原因はどのような方略によって取り除くことができるのか」といったことを掘り下げて考えてなくてはならない。それが「主題設定の理由」ということになるはずだ。(つづく)

2012年5月 7日 (月)

教師のための思考術 33

【研究のための思考術 1】

 学校の研究というのは、ある意味で形式化しているのではないだろうか。
 まず、研究主任は「研究テーマ」を提案する。「思考・判断・表現力の育成」とか「たしかな学力」といったものである。場合によっては、サブテーマをもうけているところもある。「〜言語活動を通して〜」とか「〜国語科を中心に〜」といったものだ。
 その後に、「研究の仮説」と言われるものを設定するだろう。たとえば、「豊かな言語活動の場を工夫することによって、子どもたちの思考・判断・表現の力が育つのではないか。」といったものだ。(「研究の仮説」については、言いたいこともあるがここでは深入りしない。)
 そして、「研究の構想図」と言われるものがくるだろう。たとえば、下の方に配置された「子どもたちの実態」が、「言語活動の工夫」といった横の方からの方略によって、子どもたちがスパイラルに向上していき、「目指す子ども像」に近づくといったものである。
 そこで、それぞれの教師の出番になる。通常は、年に一回は研究テーマに沿った研究授業を行うことになる。各教師は、「仮説に沿うために、言語活動を取り入れなくては・・・」と思ってしまうので、研究授業の中で小グループによる話し合いの場を増やしたり、振り返りの場を設けたりする。授業研究会では、その言語活動が効果的であったかどうかが協議されて、授業の善し悪しが評価されることになる。研究授業を行った教師にとっては「やれやれ、自分の研究授業は終わった。役目は果たしたぞ。」ということで終わってしまう。
 そうやって、研究授業が繰り返された後、冬休みあたりに、研究主任が中心になって「研究のまとめ」を行うことになる。このあたりになって、研究主任は、成果をどうやって文章にまとめればよいかと悩んでしまうことになってしまう。(つづく)

2012年5月 6日 (日)

教師のための思考術 32

【カテゴリー3 自律的に活動する能力】

 このコンピテンシーも三つに分類される。
********************************

コンピテンシー3A:大きな展望の中で活動する能力
 このキー・コンピテンシーが個人に求めるのは、自分の行為や決定をいっそう広い文脈で理解し考える力である。つまり、自分たちが他のものとどのように関係しているかを考慮すること、たとえば社会的なルールや社会的、経済的な組織、そして過去に起こった出来事との関係を考えることが求められる。人は、自分自身の行為や決定がこうした広い図のどこにどのようにあてはまるかを知る必要がある。
 (中略)

コンピテンシー3B:人生計画や個人的プロジェクトを設計し実行する能力
 このコンピテンシーは個人の活動計画を考えるために役立つ。自分の実践をまとまった物語と見なし、バラバラになりがちな人生について、変化する環境の中でそこに意味と目的を与えることが求められる。
 (中略)

コンピテンシー3C:自らの権利、利害、限界やニーズを表明する能力
 このコンピテンシーは、高度に制度化された法的な事項から、個人的な利害の主張を含む日常的な事例にいたるまでの広い状況で重要となる。多くの権利や要求は法律や契約が作られ擁護されているが、他の人々のものと同じように個人がその権利や要求、利益を知って自ら評価し、また積極的に主張して守るのは、最終的には個人次第である。(中略)

「キー・コンピテンシーの定義と選択【概要】」(ドミニク・S・ライチェン ローラ・H・サルガニク編著 立田慶裕監訳「キー・コンピテンシー」(明石書店)より)
********************************

 自分が社会の中にどのように関係しているのかをよく理解し、人生のプロジェクトを設計し実行していく力を指すのだろう。その場合、個人の権利や要求、利益の評価を行いながら主張していくことも求められる。
 教師の場合、「教師としてどう生きるか」と捉えてもよいし、もっと幅広く「自分は人生のゴールをどう定めて生きるか」と捉えてもよい。要は、漫然と生きるのではなく、「自分の人生の目的」を見つけて実行していく力だと考えるとよいだろう。

2012年5月 5日 (土)

教師のための思考術 31

【自律的に活動する能力Act autonomously】

 キーコンピテンシーを一つ一つ詳細に読んでいくと、DeSeCoプロジェクトは、なかなか良いことを言っているように思えてくる。
 さて、キーコンピテンシーの三つのカテゴリーの三つ目は、「自律的に活動する能力(Act autonomously)である。「autonomou(英)」は、「自治の」「自治権のある」「(・・・から)独立した」「自律的な」という意味がある。
 DeSeCoプロジェクトは以下のように主張する。

************************
カテゴリー3 自律的に活動する。 
 自律的に活動するとは、社会的に孤立して働くことを意味するのではない。反対に、個人が、自分の社会的な関係や自分が果たしている役割と果たしたい役割といった自分の環境に気づくことが求められる。自分の生活と労働条件にわたる調整を行いながら自分の生活を意味あるものにして責任をもつ仕方で管理できるような力をもつことが人に求められるのである。社会の発展に効果的に参加し、職場や家庭生活、社会生活を含む生活のそれぞれの面でよりよく働くためにも、個人は自律的に活動しなければならない。その理由は、大勢に従うだけではなく、人は自分の価値と活動について考えようとする。
 (中略)
 一般に、自律性が要求されるのは、自分が果たしている役割と果たしたい役割、そして社会的関係といった自分の環境への気づきと将来への方向性である。しっかりした自己概念を持ち、意志を持った行為、つまり決定や選択、そして実際の活動に欲求や要求を置き換える能力を、この自律性は前提としている。
「キー・コンピテンシーの定義と選択【概要】」(ドミニク・S・ライチェン ローラ・H・サルガニク編著 立田慶裕監訳「キー・コンピテンシー」(明石書店)より)
************************
 「自分が果たしている役割と果たしたい役割」、「自分の環境への気づきと将来への方向性」といった概念は、「自己の生き方」に深く関わる。(つづく)

2012年5月 4日 (金)

熊大情報研+D-project 5月例会のお知らせ

 熊大情報研5月例会のお知らせです。
 5月12日(土)の午前9時から午後3時。
 場所は熊本大学教育学部附属小学校です。
 午前中は、iPadやMacintosh、映像等の活用連続講座。
 午後は、フェイスブック入門です。フェイスブック初心者の方でも基本的な操作ができるようになる講座です。
 どなたでも参加できます。
 「mact120512.pdf」をダウンロード

Mact120512_2

2012年5月 3日 (木)

教師のための思考術 30

【カテゴリー2 異質な人々と相互に関わり合う能力】

 このコンピンテンシーも三つに分類される。

*******************************
コンピテンシー2A:他人といい関係を作る能力
 このコンピテンシーが仮定しているのは、人が自分がよいと感じる環境を創り出すためには他の人の価値観、信念、文化や歴史を尊敬し評価できるだけなく、それらを取り入れて成長するということである。

コンピテンシー2B:協力する能力
 協力に必要なのは、個々人が一定の資質をもつことである。その個々人に求められるのは、自分自身の優先順序の中でグループの目標とグループへの関わりとを調整できることであり、リーダーシップを分け合い他者を支援することができなければならない。

コンピテンシー2C:争いを処理し、解決する能力
 建設的な方法で争いに取り組む鍵は、争いを否定しようとするよりも、何かを行うための一つのプロセスとして争いを認識することである。そのために必要とされるのは、他方のニーズと利害を考慮しながら両方が利益を得られるような解決策の工夫である。

「キー・コンピテンシーの定義と選択【概要】」(ドミニク・S・ライチェン ローラ・H・サルガニク編著 立田慶裕監訳「キー・コンピテンシー」(明石書店)より)
*******************************

 このような力がつけられる環境に自分自身を置いてみることが重要だと思う。たとえば、他人の仕事にも積極的に知恵を出して一緒に考えてみたり、他人の考え方を尊重してそこから学んだりすることだ。 そのためには、可能な限りコミュニケーションをとることが必要になる。直接的なコミュニケーションだけではなくネットワーク上のコミュニケーションも活用するべきだろう。
 そのように行動しようすると、「それは自分の仕事じゃないから」と妙に遠慮したり、「あんなやり方じゃダメだ」と他人を批判したりすることもなくなる。むしろ、積極的に他人にお願いしたり、他人の要請に対して協力したりするようになる。なんといっても、協力し合える仲間の存在そのものに感謝できるはずだ。(つづく)

2012年5月 1日 (火)

教師のための思考術 29

【カテゴリー2 異質な人々と相互に関わり合う能力】

 キーコンピテンシーの三つのカテゴリーの二つ目は、「異質な人々と相互に関わり合う能力(Interact in heterogeneous groups)である。「heterogeneous(英)」は、「異種の」「異質の」「混成の」「雑多な」という意味。「interact(英)」は前述したように、「相互に影響を及ぼし合うこと」という意味だ。
 知識基盤社会においては、一人の人物だけが優れたアイデアを創出することは不可能である。なぜならば、ハードもソフトも高度に専門化された知識が集積されなければ質の高いものが生み出せないからである。逆に言えば、高度に専門家された集団が力を合わせれば質の高いものが生み出せるということでもある。その意味では、チームの力を最大限に発揮することがこれからの社会においては必須の条件になるのかもしれない。

 DeSeCoプロジェクトは以下のように主張する。

*********************
カテゴリー2 異質な集団で交流する。 
 人生を通じて、人間は、物質的・心理的に生存するためにも、そして社会的なアイデンティティの獲得という面でも、他の人々とのつながりに依存している。社会がいろいろな点でいっそう断片化し、多様化するようになってきている時に、個人間の人間関係をうまく管理することは、個人の利益からも新しい形の協力関係を作る上でもいっそう重要になってきている。既存の社会的な絆が弱められつつある時、強い絆を形作る能力をもつ人々が新しい絆を作りだすように、人間関係のような社会的資本の構築が重要なのである。
 将来における不公平な資本配分の一つの可能性は、社会関係を作りそこから利益を得る能力がいろいろなグループで異なることだろう。
 このカテゴリーのキー・コンピテンシーは、他の人々と共に学び、生活し、働くことを個人に求める。「社会的能力」、「ソーシャルスキル」、「異文化間能力」、「柔軟な能力」といった用語と関係した多くの特徴はこのキー・コンピテンシーは当てはまる。
「キー・コンピテンシーの定義と選択【概要】」(ドミニク・S・ライチェン ローラ・H・サルガニク編著 立田慶裕監訳「キー・コンピテンシー」(明石書店)より)
*********************

 ちなみに、小室淑恵著「なぜ、あの部門は『残業なし』で『好成績』なのか? 6時に帰るチーム術」(日本能率協会マネジメントセンター)という本は、なかなか面白かった。時間を効率的に使うためのビジネス書は山ほどあるが、それを「チーム術」という視点で語った本はなかったからだ。(つづく)

« 2012年4月 | トップページ | 2012年6月 »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31