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2012年6月

2012年6月29日 (金)

言語活動とは何か 7

 ドラッカーは言う。

 「知識労働者とは新種の資本家である。なぜならば、知識こそが知識社会と知識経済における主たる生産手段、すなわち資本だからである。」

 ここでいう知識とは、アイデアやプログラム、芸術(文学、美術、音楽等)などの知的生産物やそれを生み出すための技能を指す。
 必要とされる力は、新たな知識を生み出せる力だ。そうなると、教育の役割はかなり大きくなる。

 ドラッカーは次のように言う。

 「知識労働者の特質は、自らを労働者でなく専門家と見なすことにある。(中略)
 したがって、知識労働者には二つのものが不可欠である。その一つが、知識労働者としての知識を身につけるための学校教育である。もう一つが、その知識労働者としての知識を最新に保つための継続教育である。」

2012年6月28日 (木)

言語活動とは何か 6

【知識基盤社会】

 「知識基盤社会」は、中央教育審議会が答申で使用した言葉である。そこでは、「新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す社会」と定義している。
 英語ではknowledge-based society。
 この言葉は、よく教育論文などでも使用されているのだが、分かったような分からないような言葉に感じる。

 ドラッカーは、著書「ネクスト・ソサエティ」(ダイヤモンド社)の中で次のように述べている。 

「ネクスト・ソサエティは知識社会である。知識が中核の資源となり、知識労働者が中核の働き手となる。」

 ここでいう知識労働者とは、医師や弁護士などの高度の教育と知識をもつ一部の人たちだけではなく、コンピュータ技術者やソフト設計者などの膨大なテクノロジスト(技能技術者)も含まれる。

 また、ドラッカーは、次のようにも述べる。

 「今日、製造業が農業に似た道をたどりつつある。」

 これは、過去に農業労働者の割合が減少してきたように、製造業労働者の割合も減少していくことを示しており、現にそうなってきている。あらゆる経済大国の中で、製造業労働者の割合が最低の国がアメリカである。(つづく)

2012年6月24日 (日)

熊大情報研6月例会の反省と改善案

6月23日(土)の熊大情報研のワークショップは常軌を完全に逸していた。

 今回のワークショップはfacebookを使って、課題を解決しようというものだ。30名ほどの集団を6名ほどの5つのグループに分け「秘密のグループ」を作り、その掲示板のやりとりの中で課題を解決していくというものである。ほかのグループのやりとりは見えないので、ファシリテータ3名が全てのグループに入れるということにした。

 課題は以下のようにした。
*****************************************

【全体の課題】

 今から秋に向けて、研究発表会や実践報告会などで、プレゼンを実施する機会が増えると思います。そこで、グループ内で話し合って、教育用プレゼンに役立つ写真を集めてください。
 
 画像のサイズは、1024×768程度とします。

 iPhotoで描き出す場合は、「大」でいいと思います。

 グループ内だったら公開しても他にはもれません。

 撮影してもよいし、著作権フリーの画像をネットから集めてきてもよいです。

 各グループごとにベスト3を発表してもらいます。(これはプレゼンです。)

 最後に塚本会長から、グランプリを決めてもらいます。

 なお、質問は、この情報研でコメントしてください。

*****************************************

 例になる写真を示そうかどうかは迷ったが、あえて例となる写真を提示しなかった。なぜならば、あまり考えずに例と似たような写真を集めてしまう危険性もあるからである。
 また、「教育用プレゼンに役立つ写真」や「制限時間」などについては、あえて具体的に示さないことにした。それは、全体の掲示板に出題者に質問をすれば解決することだからである。だから、最後に「なお、質問は、この情報研でコメントしてください。」という一文を入れてみた。
 部屋の中では、課題解決に直接つながる話し合いをしないことにした。すべて掲示板によるやりとりである。
 だから、30名全員が、黙々とパソコンの画面に向かって作業するという恐ろしい状況を生み出していた。

Jouhouken120623_2

 私の予想とは大きく異なることがあったので、まずはそれについて述べる。

 自分だったら、まず課題に対して疑問点を出し合うだろう。そもそも、「教育用プレゼンに役立つ写真」とは何か?ということである。しかも、「集めてください」ということになると、「みんなにとって役立つ」ということが前提になる。だから、ある特定のテーマにしか使えない写真を集めてしまっては、それこそ「役立たない」ということになるはずだ。だから、大前提になることを話し合ったり、出題者に確かめたりすることが必要になる。
 次に、ゴールの設定と役割分担を決める。締切時間を確認したら、それから逆算する。2時30分までがゴールとすれば、2時20分までに検討を終了するという見通しをつける。私は、参加者が撮影するだろうと予想していたので、自分のパソコンに入っている写真を使うことは考えていなかった。課題に「撮影してもよいし、著作権フリーの画像をネットから集めてきてもよいです。」としたのはそのためだ。だから、「撮影する役とネットから探す役」に大まかに分けて仕事を割り振っていくだろうと予想していた。1時50分までに集めて、残りの時間は相互検討をする時間にする。そうすると、「課題把握」「情報の収集」「採用すべき写真の判断」「表現方法の検討」という流れが出来る。

 しかし、実際には予想とは異なって、「自分のパソコンから写真を選んで、アップするという作業」がメインになってしまった。だから、自分のパソコンから選ぶという時間に多くの時間が費やされて、それぞれの写真に対してコメントがつかないということになってしまった。
 これは、ワークショップを設計する側の責任である。はじめてのタイプのワークショップであったので、参加者も活動の見通しがもてなかったのだと思う。実際、面と向かって話し合ってやるときは、例を示し合ったり、言葉や表情の微妙なニュアンスでコミュニケーションしたりできる。掲示板でやると、言葉だけのやりとりになるので、微妙なニュアンスが伝わらなくなってしまう。ネットワークを使ったワークショップには、ある程度の道筋を示す必要があるのだと感じた。参加してくださった皆さん方の苦労に報いるためにも改善案を考えたい。

 以下、改善案。
**************************************

(1)課題は可能な限り具体的に示す。
 たとえば、以下のようなものにする。
 「教育用プレゼンとしてみんなが使える汎用性の高い写真を集めます。」
 「条件としては、文字を記入できるスペースがあり、肖像権や著作権をクリアしているものです。」

(2)解決の道筋を示す。
 たとえば、以下のようなものにする。
 「課題解決のために以下のような方法をとってください。」
  ・課題について深く考えたり質問したりする。(課題の把握)
  ・ゴールを見据えて逆算して作業内容を決めてください。(解決への見通し)
  ・課題解決に必要な情報を集めてください。(情報の収集)
  ・集めた情報の中から解決できるものを検討してください。(情報の判断)

  ・検討されたものの表現方法を決めてください。(情報発信の表現)

************************************

 反省点も非常に多かったが、私はそれによって多くのことを学んだ。参加してくださった皆様方にはあらためて感謝したい。

 なお、今回のようなソーシャルネットワークを介したワークショップはメリットもあることも感じた。いくつか示したい。

(1)ソーシャルネットワークに不慣れな人には絶好の学ぶ場となる。
 ソーシャルネットワークによるコミュニケーションは基本的に自宅で一人でやることが多いだろう。そうなると、そのような習慣や方法が身に付いていない人にとっては、いつまでたっても学ぶ場がない。結局、ずっとやらないことになるだろう。今回はじめて画像のアップの仕方やfacebookによるやりとりの方法を知った人もいるはずだ。

(2)ネットワーク特有のコミュニケーションの特性を知ることができる。
 たとえば、疑問が生じた場合、「○○について分かりません。」と書いてしまうと、「質問」なのか「不満」なのかが相手には伝わりにくい。「○○について分からないので、もう少し説明してもらえますか。」と書くと、相手は「質問」だということが理解できる。このような経験は、実際にやりとりをしないと分からない。

(3)未来型の仕事のやり方を経験できる。
 知識基盤社会とは、高度に専門化された社会であり、年齢・性別・国籍は大きな問題ではなくなる。それは、現在教員をやっている我々であっても無関係ではない。60歳を過ぎて「次の仕事」を見出すときに、ソーシャルネットワークは大きく役立つだろう。60歳までの「役職」は何の意味もなさない。ちょっとがんばれば取得できる「資格」もそう役立たないだろう。必要になってくるのは知識や技能だ。そのためには、60歳をすぎても学習し続けるための「道具」と「仲間」をもっていることである。

 ちなみに、ソーシャルネットワークとは無関係だが、最後の塚本会長からの「写真」に対するコメントが非常に印象に残った。

 「まだ捨て切れていないようです。『捨てる』ということをしないと、いい作品はできない。ぐっとしぼって強調することが必要だと思います。」

 以下に紹介するのは、塚本会長が2年前の9月に撮影した写真である。私はプレゼン用の写真としてよく使わせていただいている。
Th_dsc_0032

Th_dsc_0183

2012年6月21日 (木)

言語活動とは何か 5

 そもそも、なぜ「言語活動の充実」が必要なのだろう。
 文部科学省「言語活動の充実に関する基本的な考え方」には、大きく三つの理由が書いてある。

(1)知識基盤社会の到来、グローバル化の進展=変化に対応していく能力の育成
(2)国内外の学力調査の結果→思考力・判断力・表現力等に課題
(3)教育基本法改正等により教育の理念が明確になるとともに、学校教育法改正により学力の重要な要素が規定

 

(1)の「知識基盤社会」とは何だろう。
 学習指導要領総則の最初の文で登場する言葉である。

「21世紀は,新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す,いわゆる「知識基盤社会」の時代であると言われている。このような知識基盤社会化やグローバル化は,アイディアなど知識そのものや人材をめぐる国際競争を加速させる一方で,異なる文化や文明との共存や国際協力の必要性を増大させている。」

 これでも漠然としているので、長くなるが中央教育審議会最終答申も引用してみよう。

「すなわち、平成17年の中央教育審議会答申(「我が国の高等教育の将来像」)が指摘するとおり、21世紀は、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、いわゆる「知識基盤社会」(knowledge-based society)の時代であると言われている。
「知識基盤社会」の特質としては、例えば、①知識には国境がなく、グローバル化が一層進む、②知識は日進月歩であり、競争と技術革新が絶え間なく生まれる、③知識の進展は旧来のパラダイムの転換を伴うことが多く、幅広い知識と柔軟な思考力に基づく判断が一層重要になる、④性別や年齢を問わず参画することが促進される、などを挙げることができる。
○ このような知識基盤社会化やグローバル化は、アイディアなどの知識そのものや人材をめぐる国際競争を加速させるとともに、異なる文化・文明との共存や国際協力の必要性を増大させている。
「競争」の観点からは、事前規制社会から事後チェック社会への転換が行われており、金融の自由化、労働法制の弾力化など社会経済の各分野での規制緩和や司法制度改革などの制度改革が進んでいる。このような社会において、自己責任を果たし、他者と切磋琢磨しつつ一定の役割を果たすためには、基礎的・基本的な知識・技能の習得やそれらを活用して課題を見いだし、解決するための思考力・判断力・表現力等が必要である。しかも、知識・技能は、陳腐化しないよう常に更新する必要がある。生涯にわたって学ぶことがめられており、学校教育はそのための重要な基盤である。
 他方、同時に、「共存・協力」も必要である。国や社会の間を情報や人材が行き交い、相互に密接・複雑に関連する中で、世界や我が国社会が持続可能な発展を遂げるためには、環境問題や少子・高齢化といった課題に協力しながら積極的に対応することが求められる。このような社会では、自己との対話を重ねつつ、他者や社会、自然や環境と共に生きる、積極的な「開かれた個」であることが求められる。
 また、グローバル化の中で、自分とは異なる文化や歴史に立脚する人々と共存していくためには、自らの国や地域の伝統や文化についての理解を深め、尊重する態度を身に付けることが重要になっている。
○ もちろん、知識基盤社会化やグローバル化の時代だからこそ、身近な地域社会の課題の解決にその一員として主体的に参画し、地域社会の発展に貢献しようとする意識や態度をはぐくむこともますます必要となっている。
○ このように個人は他者や社会などとのかかわりの中で生きるものであるが、一人一人の個人には興味や関心、持ち味に違いがある。さらに、変化の激しい社会の中では、困難に直面することも少なくないことや高齢化社会での長い生涯を見通した時、他者や社会の中で切磋琢磨しつつも、他方で、読書などを通して自己と対話しながら、自分自身を深めることも大切である。」

 納得できるまで、「知識基盤社会」についてもう少し掘り下げて考えてみたい。

2012年6月13日 (水)

熊大情報研+D-project 6月例会のお知らせ

 熊大情報研+D-project 6月例会のお知らせです。
 平成24年6月23日(土)の午前9時からです。

 今年度は、iPadやMacintoshの話題も豊富ですが、それ以上にfacebookのようなソーシャルネットワークの使い方に焦点をあてています。今、テレビなどのマスメディアの視聴率は相対的に低くなり、ソーシャルメディアの視聴率が高くなってきています。教育研究においても、ソーシャルメディアの活用が進んでいます。
 今回は、大好評の連続講座に加えて、ソーシャルネットワークを活用した課題解決ワークショップも企画しております。
 どなたでも参加できます。
Mact120623

「Mac-T120623.pdf」をダウンロード

2012年6月 6日 (水)

言語活動とは何か 4

【言語活動とは何か 4】

 そもそも「言語活動」とは何だろう。
 また、「言語活動」がなぜ必要なのだろう。
 2011年2月のブログで、私は次のように書いている。
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 最近の学校の研究テーマは、圧倒的に「言語活動」が多い。どこに行っても「言語活動」。
 新しい学習指導要領において「言語活動の充実」ということが示されているからであろう。
 しかし、「言語活動の充実」は方法論であって、目的ではない。よくあることだが、方法が目的になってしまうことがある。とにかく、授業中に話し合わせよう、自己評価カードに何か書かせよう、ということになりがちだ。
 何のための言語活動なのか。

 

言語活動の充実に関する指導事例集【小学校版】

 まずは、上記の文科省の資料を読んでおかねばならない。
*****************************

 文科省の資料の中の以下のものも読むべきだ。

 

言語力の育成方策について(報告書案)

 言語力育成の必要性などが述べられている。

*****************************
 言語力育成協力者会議では、「知的活動に関すること」として以下の3点を挙げている。


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    

 知的活動に関すること

 
 (1) 事実を正確に理解し、的確に分かりやすく伝える技能を伸ばす。

 (2) 自らの考えを深めることで、解釈や説明、評価や論述をする力を伸ばす。

 (3) 考えを伝え合うことで、自らの考えや集団の考えを発展させる力を伸ばす。



 「言語力の育成方策について(報告書案)【修正案・反映版】」より
 

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 「言語力の充実」とは、単純に「話す」「聞く」「書く」「読み」の活動そのものを増やすことではない。子どもたちに、考える場を与えながら力を伸ばすことを意味する。
 そう考えると、「言語力の充実が図れたかどうか」を評価するためには、「話す・聞く・書く・読む、の活動が増えたかどうか」ということではなく、「考える場があったのか」「力が伸びたのか」ということを指標にするべきである。

2012年6月 5日 (火)

教師のための時間術 13

【思考する時間を確保する】

 静かにじっくりと思考する時間は極めて重要である。
 文章を書くことで、それが可能になる。
 文章を書いていて面白いのは、新しい発見があることである。今までなんとなく考えていたことが、文章にしていくうちに明確になっていく。書いた後に、「自分はこんなことを考えていたのか。」と驚くことが多い。
 文章を書くことは、まさに思考することそのものである。

 しかし、学校にいる間は、この作業ができない。
 だから、学校にいる時間は極力少なくした方がよい。
 かといって、自宅で文章を書くことができるかといえば、そうでもない。テレビや電話の音、人の話し声といった雑音が入っていては集中できない。
 そこで、朝の静かな時間の中で「思考する時間」を確保するのである。

2012年6月 2日 (土)

教師のための時間術 12

【相手の時間を大切にする】

 話が長い人がいる。
 スピーチが長い人。
 打ち合わせの時間がやたらに長い人。
 電話でのおしゃべりが長い人。
 このような人たちは、相手の時間を奪っていることに気がつかないのだろう。
 以前、あるパネルディスカッションで、一人10分と決められていたにも関わらず、15分もしゃべったパネリストがいた。その結果、次のパネリストは5分しかしゃべることができなかった。このような「話の長い人たち」と一緒に仕事をするとリズムが狂ってしまう。

 だから、自分がそうならないように、極力相手の時間を意識して話すようにしている。スピーチは決められた時間に終わるように事前に何度か時間を計っておく。打ち合わせの時間は最初に伝えておく。短くてよければ5分で済むこともあるし、長くても15分くらいで終わらせるようにする。電話は要件のみを伝える。
 大切なのは自分の時間だけではない。相手の時間も同様に大切なのである。

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