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2012年6月24日 (日)

熊大情報研6月例会の反省と改善案

6月23日(土)の熊大情報研のワークショップは常軌を完全に逸していた。

 今回のワークショップはfacebookを使って、課題を解決しようというものだ。30名ほどの集団を6名ほどの5つのグループに分け「秘密のグループ」を作り、その掲示板のやりとりの中で課題を解決していくというものである。ほかのグループのやりとりは見えないので、ファシリテータ3名が全てのグループに入れるということにした。

 課題は以下のようにした。
*****************************************

【全体の課題】

 今から秋に向けて、研究発表会や実践報告会などで、プレゼンを実施する機会が増えると思います。そこで、グループ内で話し合って、教育用プレゼンに役立つ写真を集めてください。
 
 画像のサイズは、1024×768程度とします。

 iPhotoで描き出す場合は、「大」でいいと思います。

 グループ内だったら公開しても他にはもれません。

 撮影してもよいし、著作権フリーの画像をネットから集めてきてもよいです。

 各グループごとにベスト3を発表してもらいます。(これはプレゼンです。)

 最後に塚本会長から、グランプリを決めてもらいます。

 なお、質問は、この情報研でコメントしてください。

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 例になる写真を示そうかどうかは迷ったが、あえて例となる写真を提示しなかった。なぜならば、あまり考えずに例と似たような写真を集めてしまう危険性もあるからである。
 また、「教育用プレゼンに役立つ写真」や「制限時間」などについては、あえて具体的に示さないことにした。それは、全体の掲示板に出題者に質問をすれば解決することだからである。だから、最後に「なお、質問は、この情報研でコメントしてください。」という一文を入れてみた。
 部屋の中では、課題解決に直接つながる話し合いをしないことにした。すべて掲示板によるやりとりである。
 だから、30名全員が、黙々とパソコンの画面に向かって作業するという恐ろしい状況を生み出していた。

Jouhouken120623_2

 私の予想とは大きく異なることがあったので、まずはそれについて述べる。

 自分だったら、まず課題に対して疑問点を出し合うだろう。そもそも、「教育用プレゼンに役立つ写真」とは何か?ということである。しかも、「集めてください」ということになると、「みんなにとって役立つ」ということが前提になる。だから、ある特定のテーマにしか使えない写真を集めてしまっては、それこそ「役立たない」ということになるはずだ。だから、大前提になることを話し合ったり、出題者に確かめたりすることが必要になる。
 次に、ゴールの設定と役割分担を決める。締切時間を確認したら、それから逆算する。2時30分までがゴールとすれば、2時20分までに検討を終了するという見通しをつける。私は、参加者が撮影するだろうと予想していたので、自分のパソコンに入っている写真を使うことは考えていなかった。課題に「撮影してもよいし、著作権フリーの画像をネットから集めてきてもよいです。」としたのはそのためだ。だから、「撮影する役とネットから探す役」に大まかに分けて仕事を割り振っていくだろうと予想していた。1時50分までに集めて、残りの時間は相互検討をする時間にする。そうすると、「課題把握」「情報の収集」「採用すべき写真の判断」「表現方法の検討」という流れが出来る。

 しかし、実際には予想とは異なって、「自分のパソコンから写真を選んで、アップするという作業」がメインになってしまった。だから、自分のパソコンから選ぶという時間に多くの時間が費やされて、それぞれの写真に対してコメントがつかないということになってしまった。
 これは、ワークショップを設計する側の責任である。はじめてのタイプのワークショップであったので、参加者も活動の見通しがもてなかったのだと思う。実際、面と向かって話し合ってやるときは、例を示し合ったり、言葉や表情の微妙なニュアンスでコミュニケーションしたりできる。掲示板でやると、言葉だけのやりとりになるので、微妙なニュアンスが伝わらなくなってしまう。ネットワークを使ったワークショップには、ある程度の道筋を示す必要があるのだと感じた。参加してくださった皆さん方の苦労に報いるためにも改善案を考えたい。

 以下、改善案。
**************************************

(1)課題は可能な限り具体的に示す。
 たとえば、以下のようなものにする。
 「教育用プレゼンとしてみんなが使える汎用性の高い写真を集めます。」
 「条件としては、文字を記入できるスペースがあり、肖像権や著作権をクリアしているものです。」

(2)解決の道筋を示す。
 たとえば、以下のようなものにする。
 「課題解決のために以下のような方法をとってください。」
  ・課題について深く考えたり質問したりする。(課題の把握)
  ・ゴールを見据えて逆算して作業内容を決めてください。(解決への見通し)
  ・課題解決に必要な情報を集めてください。(情報の収集)
  ・集めた情報の中から解決できるものを検討してください。(情報の判断)

  ・検討されたものの表現方法を決めてください。(情報発信の表現)

************************************

 反省点も非常に多かったが、私はそれによって多くのことを学んだ。参加してくださった皆様方にはあらためて感謝したい。

 なお、今回のようなソーシャルネットワークを介したワークショップはメリットもあることも感じた。いくつか示したい。

(1)ソーシャルネットワークに不慣れな人には絶好の学ぶ場となる。
 ソーシャルネットワークによるコミュニケーションは基本的に自宅で一人でやることが多いだろう。そうなると、そのような習慣や方法が身に付いていない人にとっては、いつまでたっても学ぶ場がない。結局、ずっとやらないことになるだろう。今回はじめて画像のアップの仕方やfacebookによるやりとりの方法を知った人もいるはずだ。

(2)ネットワーク特有のコミュニケーションの特性を知ることができる。
 たとえば、疑問が生じた場合、「○○について分かりません。」と書いてしまうと、「質問」なのか「不満」なのかが相手には伝わりにくい。「○○について分からないので、もう少し説明してもらえますか。」と書くと、相手は「質問」だということが理解できる。このような経験は、実際にやりとりをしないと分からない。

(3)未来型の仕事のやり方を経験できる。
 知識基盤社会とは、高度に専門化された社会であり、年齢・性別・国籍は大きな問題ではなくなる。それは、現在教員をやっている我々であっても無関係ではない。60歳を過ぎて「次の仕事」を見出すときに、ソーシャルネットワークは大きく役立つだろう。60歳までの「役職」は何の意味もなさない。ちょっとがんばれば取得できる「資格」もそう役立たないだろう。必要になってくるのは知識や技能だ。そのためには、60歳をすぎても学習し続けるための「道具」と「仲間」をもっていることである。

 ちなみに、ソーシャルネットワークとは無関係だが、最後の塚本会長からの「写真」に対するコメントが非常に印象に残った。

 「まだ捨て切れていないようです。『捨てる』ということをしないと、いい作品はできない。ぐっとしぼって強調することが必要だと思います。」

 以下に紹介するのは、塚本会長が2年前の9月に撮影した写真である。私はプレゼン用の写真としてよく使わせていただいている。
Th_dsc_0032

Th_dsc_0183

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コメント

お世話になりました。
午後も、素晴らしい研修だったようで、参加できなくて、残念でした。来月は、ぜひと思っております。ぜひ次回は、体感したいと思います。

上妻先生、ありがとうございます。ワークショップに参加した側も企画した側もとも学び合いました。中村先生からもご紹介があった言葉「他人とのつながりをテコのように活用して、自分の限界を超えて成長できる空間」を作り出そうというものです。

前田先生、ありがとうございました。
私には「『そもそも』を問う意識」が全く足りていない事がよくわかりました。
時間だけは気になったので質問しましたが、やはり「そもそも」を考える事が必要でした。
他ではまず味わえない緊張感と楽しさを同時に味わわせていただきました。いつもの事ですが、とても勉強になりました。ありがとうございました。

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