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2013年6月

2013年6月27日 (木)

実践研究入門 14

【仮説を検証するための証拠】

 学校の研究では、この「証拠」を示すのが難しい。
 よく見られるものとして、学習者の意識調査を1学期と2学期で比較したグラフがある。
 たとえば、「みんなで話し合う学習は好きですか。」といった問いに対して、「『大好き』『好き』と答えた児童が6月は46%だったのに対して、11月では53%になっていた。」といったものだ。研究の仮説を検証するための証拠になっていれば問題はないが、そうでない場合は、説得力に欠けるものになる。

 伊丹敬之氏は「三つの証拠」として次のものを示している。

 ○データという証拠
 ○厚い記述という証拠
 ○論理という証拠

      伊丹敬之著「創造的論文の書き方」(有斐閣)

2013年6月26日 (水)

実践研究入門 13

【現実を説明するための論理】

 学校の研究で足りないものの一つに「現実を説明するための論理」がある。
 論理を作るための方法としては、現実が起きたその原因を深く考えることだ。
 伊丹敬之氏は次のように述べる。

 「深く」とは、別な言葉で言えば、「なぜを三回、問うてみる」と言えるだろう。
       伊丹敬之著「創造的論文の書き方」(有斐閣)

 たとえば、次のような現実があったとしよう。

 国語の新聞制作の時間に子どもたちはデジタルカメラを使用して意欲的に活動した。

 (これをそのまま記述してある論文も多い。)

 まず、「なぜ、デジタルカメラを使用して意欲的に活動したのか」と自分に問いかけて、答えを考える。

 (1) 写真があると、子どもたちは文章をスムーズに書けるから。

 次に、「なぜ、写真があると子どもたちはスムーズに書けるのか」と自分に問いかけて、答えを考える。

 (2) 撮影した段階で子どもたちは、書く内容を考えていたから。

 さらに、「なぜ、子どもたちは書く内容を考えていたのか」と問いかけて、答えを考える。

 (3) 撮影するという行為によって、子どもたちは現実に意味付けをしているから。

 このように、「なぜ」を3回繰り返すと現実の説明らしいものが見えてくる。

2013年6月24日 (月)

実践研究入門 12

【基本仮説と作業仮説】
 一般的な学校の研究において「研究の仮説」として設定しているものを、あらためて見つめ直してみよう。

 西田雄行氏は次のように述べる。

 基本仮説は疑問や研究問題から抽出されてくる仮説のことである。作業仮説は基本仮説から推論によって出てくる仮説のことである。したがって、この作業仮説を設定することによって、次の段階である検証計画が立つのである。もし、作業仮説を検証する技術や道具がないとすれば、作業仮説はもちろんのこと、基本仮説も検証できず、この研究問題に対し、イエスもノーも答えられないのである。
        西田雄行著「学校現場における実証的な教育研究の進め方と論文の書き方」(東洋館出版)

 たとえば、学習者のPISA型読解力が低いという問題について仮説を考えてみる。
【観察】 学習者のPISA型読解力が低い。
【リサーチクエスチョン】 学習者のPISA型読解力を高めるにはどうしたらよいか。
【基本仮説】 協同的な学習を効果的に取り入れることで、様々な考える視点が身につきPISA型読解力を高めることができるだろう。
【作業仮説】 PISA型読解力の向上を授業前の授業後のグラフの読み取り調査で検証する。
 以下の取組を授業に取り入れることによって、授業後のグラフの読み取り能力が高まるだろう。
 (1)学習者が協同しなくては解決できないような課題の設定
 (2)学習者が協同して活動できるような場の設定

2013年6月19日 (水)

実践研究入門 11

【作業仮説】

 「作業仮説」とは,抽象的な仮説を立証するための具体的な仮説を言う。
 したがって,検証できることが前提となる。

 学校の研究においても,「作業仮説」レベルのものが必要となるのだろう。

2013年6月18日 (火)

実践研究入門 10

【仮説・証拠・論理】

 学校の研究で足りないのは,以下の2点ではないだろうか。

(1)仮説を検証するための証拠
(2)現実を説明するための論理

 この2点がないと,「こんなこともやりました。」「あんなこともやりました。」「○○タイムもやりました。」「すっごくがんばりました。」という「がんばった実践報告」になってしまう。 
 結果として,その研究の仮説が正しかったのかどうかがよく分からない。また,なぜ正しいのかも分からない。

 しかし,この2点を加えるとなると,かなり努力を要することになる。

2013年6月14日 (金)

実践研究入門 9

【研究の仮説】

 多くの学校の校内研究では「研究の仮説」が存在する。
 その多くは仮説らしくはないのだが,必要ないかといえばそうでもない。
 それがないと,校内研で何をやりたいのかが分かりにくいからだ。
 そう考えてみると,前回に示した「研究の仮説」は,校内研の「研究の方針」または「研究の戦略」と捉えてみてはどうだろう。

 たとえば以下のように修正してみる。

 ○子どもたちが生き生きと学習できるようにするために,子どもたちの学習意欲を高める教材や発問の工夫を行おう。

 ○子どもの思考力・判断力・表現力を高めるために,子どもたちの思いを生かす指導の工夫を行おう。

 こう書き換えた方が,よほどすっきりする。
 そして,その「工夫」の具体例を示していく。「研究の戦術」とも言えるだろう。
 たとえば,「インタラクティブなデジタル教材」「本文の解釈を促す発問」といったものである。

 そうすることによって,校内研の方針が明確になり,個々の教師が知恵を出し合いながら取り組むべき事柄も焦点化される。

2013年6月13日 (木)

実践研究入門 8

【研究の仮説】

 たとえば,次のような「研究の仮説」。

○子どもたちの学習意欲を高める教材や発問の工夫を行えば,子どもたちは生き生きと学習するであろう。

○子どもたちの思いを生かす指導の工夫を行えば,子どもの思考力・判断力・表現力を高めることができるであろう。

 その結果になる「工夫」を行うのだから,その結果になるのは必然だろう。
 「子どもたちがごはんをいっぱいに食べられる工夫を行えば,子どもたちは満腹になるだろう。」と主張しているようなものである。反証の可能性は皆無に等しい。

 かといって,「研究の仮説」が必要ないわけではない。
 反証の可能性を考えながら,仮説が正しい(または間違っている)ということを主張するための「証拠」の蓄積が可能かどうかがポイントになるのではないか。

2013年6月12日 (水)

実践研究入門 7

【研究の仮説】

 新卒の頃から,どうも「研究の仮説」というものが腑に落ちない。
 そもそも「仮説」とは何なのか。

 自然科学その他で,一定の現象を統一的に説明しうるように設けた仮定。
 ここから理論的に導きだした結果が観察・計算・実験などで検証されると,仮説の域を脱して一定の限界内で妥当する真理となる。(広辞苑)

 自然科学の世界では,ある実際の現象について仮説を立て,次に検証のための実験や観察等を行い,その結果から仮説の成否を検証することになる。したがって,反証(その仮説が間違っていることを証明すること)の可能性があることが前提となる。

 学校の校内研究では,「研究の仮説」を立てるのが半ば常識になっているのだが,問題は,その「仮説」そのものにあるのではないか。反証の可能性がない仮説は「仮説」となりえるのか。
 このことは,このブログに限らず,何度も主張してきた。

2013年6月11日 (火)

実践研究入門 6

【先行研究を調べる】

 リサーチ・クエスチョンを設定したら,それに関する先行研究を調べてみる。
 自分の前に誰によってどのような研究がなされているのかを踏まえないと,同じことを繰り返すことになり無駄が生じる。先達の知見を生かして,それを発展させなければ実践研究とは言えないだろう。

 個人的には以下のようなことを行っている。
(1)WEBで論文を検索し手に入れる。
 WEBサイトでキーワード検索を行う。以下のサイトが有名。
 Google scholar
 CiNii

(2)WEBで書籍を検索し手に入れる。
 書籍をキーワードで検索してみる。必要と判断したら,即注文する。

(3)書店や図書館で書籍を探して手に入れる。
 関連がありそうなコーナーに行って本を探してみると,予想もしていなかったような良本に巡り会うことができる。これは,WEBではありえない。

 基本的には,論文や書籍は第三者の目を通って「出版」されているので,信頼度は高いと考えてよいだろう。ブログの類は参考にはなるが信頼度は低い。
 関連する資料を5冊ほど一気に読んでみると,概略はなんとなく把握できる。1冊ずつ読もうとするとかえって効率が悪い。

2013年6月10日 (月)

熊本大学教育学部情報教育研究会6月例会

平成25年6月9日 
熊本大学教育学部情報教育研究会
会長 塚本光夫(熊本大学教育学部教授)
教育研究会のお知らせ
タブレット型情報端末の活用を考える
Mact130629

タブレット型情報端末を
持っている人も持っていない人も、
まずは楽しく使ってみませんか。

日時:2013年6月29日(土)
            午前の部:9時〜正午  午後の部:1時〜3時30分
場所:熊本大学教育学部附属小学校3階コンピュータ室
主催:熊本大学教育学部情報教育研究会
   D-project(デジタル表現研究会)
参加費:100円(茶菓子代)

午前の部 9時〜正午

平川秀徳先生のiPad教育活用
 大分日田市立三和小学校の平川秀徳先生は,iPadの教育利用の達人です。今回は,学習環境も含めてICTの教育活用について思い切り,そのノウハウを教えていただきます。

ICT活用実践事例
 ICTを教室でいかに使うか。現在、全ての教師がICTを効果的に活用することが求められています。今月も最新の実践事例を知ることができます。

平川秀徳先生のiPadアプリ紹介
 平川秀徳先生が様々な教育用iPadアプリを紹介してくださいます。 教育活用が一気に広がる必見の講座です。 この機会をお見逃し無く。

午後の部 1時〜3時30分

iPadアプリワークショップ
 今回はiPadアプリを授業で生かすためのワークショップです。参加者の授業活用のアイデアを共有することで,楽しく学ぶことができます。
 タブレット型情報端末をお持ちの方はご持参ください。無線ルータをお持ちの方はお忘れなく。

参加申込み:事前にメールで山口修一まで 
午前のみ・午後のみの参加も可能です。
昼食が必要な方は500円で受け付けます。

「Mac-T130629.pdf」をダウンロード

2013年6月 7日 (金)

実践研究入門 5

【自分の興味・関心】

 自分の前には「問題」がたくさんあるはずだ。しかし,それらを「実践研究」の領域に組み込むためには,自分自身がその「問題」に興味・関心をもっていなければならない。そうでなければ,「おもしろい研究」にはならないからだ。おもしろくなければ続かない。自分が「おもしろくない」と思っていることを,どうして他の人に「おもしろい」と思わせることができるだろう。

 または,その問題を自分の興味・関心のある手段で解決するという戦略もある。たとえば,「漢字の習得率を高めるにはどうしたらよいか」という問題に対して,自分が興味・関心がある手段がICTであるならば,「ICTを活用して漢字の習得率を高めるためにはどうしたらよいか」というリサーチ・クエスチョンが設定できる。

 校内研究のテーマが,なんとなく「やらされ観」が漂ってしまうのは,研究テーマが悪いのでも研究主任に責任があるのでもない。研究テーマを,自分なりのリサーチ・クエスチョンに具体化できていない自分自身に責任がある。(つづく)

2013年6月 6日 (木)

実践研究入門 4

【3つのP】

 川﨑剛著「社会科学系のための『優秀論文』作成術」(勁草書房)という本がある。
 学術論文作成のために書かれた分かりやすい内容の本である。
 その中で「3つのP」について書かれている。
 「3つのP」とは以下である。

 Project(プロジェクト,計画)
 Persuasion(説得すること)
 Problem-Solving (『問題と解決』の枠組み)

 Projectは研究計画を示す。最終ゴール(本書では論文完成)を目指した時間と作業量を考えた計画である。
 Persuasionは論文の読者を説得することを示す。中心命題を指示する証拠を積み上げることである。
 そして,Problem-Solvingは,「問題」を指摘して,それを「解決」するという「型」をとることである。

 「3つのP」を知ったとき,自分にはそのいずれもが欠けていることを猛省した。計画性もなく,やったことをまとめるだけの研究になりがちであった。(つづく)

2013年6月 5日 (水)

実践研究入門 3

【リサーチ・クエスチョン】
 リサーチ・クエスチョン(Research Question)とは,自分が「わからないこと」「知りたいこと」を研究で解明できる形に整理した「問い」のことだ。
 これが最初にあるかないかでは,取り組み方がまるで違ってくる。
 リサーチ・クエスチョンは複数あってもよいし,変化してもよい。
 要は,実践研究を進めるにあたって,常に立ち戻るための「問い」が必要なのだと思う。
 ただし,研究によって解明できる形にしておくことが前提条件になる。「生き生きと学習する子どもたちの育成」などはリサーチ・クエスチョンとはいえないだろう。漠然としすぎているからである。「どうしたら子どもたちの文章を書く力を伸ばせるのか」といったものの方が解明しやすい。

 理想的なのは,校内研究のテーマと自分のリサーチ・クエスチョンの重なりを見つけることだ。
 たとえば,校内研究のテーマが「言語活動の充実」であり,自分のリサーチ・クエスチョンが「鑑賞の能力を伸ばすためにはどうしたらよいか」であったならば,「鑑賞の能力を伸ばすための言語活動とは,どのようなものか」といった新たなリサーチ・クエスチョンを設定できる。(つづく)

2013年6月 4日 (火)

実践研究入門 2

 自分の教室の中に「問題」はないのだろうか。

 「解決すべき問題」は山ほどあるのではないか。
 たとえば,「どうしたら,文章を書く力が伸ばせるのか。」「計算力が伸びないのは,なぜなのか。」といったことだ。
 あるいは,自分が興味・関心をもっていることでもよい。
 ICTに興味がある教師だったら,「走る力を伸ばすためにICTが使えないだろうか。」「プレゼンテーション力を高めるための指導はどうあるべきだろう。」といったことが「解決すべき問題」となる。
 研究の出発点は,このような「問題」から始めることだと思う。

2013年6月 3日 (月)

実践研究入門

 ひさびさにブログを再開する。

 今回は,実践研究について語りたい。

 なぜならば,教師の研究が「校内研究の命題」のままで終始してしまうことが多いからである。

 たとえば,研究主任から「言語活動の充実」と言われれば,そのまま「言語活動を充実させる授業をどうつくるか」といった話になってしまう。
 自分の研究授業が11月と決まれば,9月くらいから準備をして当日を迎え,授業研究会でその善し悪しを議論して,そのまま「終わり」ということになりがちだ。
 そこには,授業者本人の問題意識が存在しない。何の問題解決にもなっていないことが少なくない。(つづく)

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