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書籍・雑誌

2011年4月19日 (火)

活用型学力を育てる授業づくり

木原俊行著「活用型学力を育てる授業づくり」(ミネルヴァ書房)
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 サブタイトルは「思考・判断・表現力を高めるための指導と評価の工夫」となっている。
 内容が非常に濃いのに、まず驚いた。
 以下のような章立てになっている。

はじめに 活用型学力の今日的意義

第1章 活用型学力の特徴・構造とそれを育む授業のデザイン

第2章 活用型学力の育成に向けた学習参加の促進

第3章 活用型学力の育成を促し,支える教材の開発

第4章 活用型学力を高める体験的な学習

第5章 活用型学力を充実させるICT活用

第6章 活用型学力を磨くプロジェクト的な学習

第7章 活用型学力のいっそうの充実を図る学校カリキュラム

第8章 活用型学力を育てる教師たちの学び-校内研修の工夫改善-

第9章 学校を基盤とする学力向上アプローチを通じた活用型学力の育成

おわりに

 木原先生の本の特長は常に整理がなされているところだと思う。
 たとえば、第5章のICT活用の章では「ICT活用の整理表」というものが示されてあり、教育目標と活用の意義、活用の意図と方法を一覧にしてある。教師側が経験則やその場の瞬時の判断で行っていることの意味付けがなされている。
 また、学力を五角形のレーダーチャートに示してあり、代表的な5つの型を紹介してある。学力と教育力の連関についても言及してあり興味深い。
 学校の研究主任は必読の書だと思う。
 久しぶりに読み応えのある教育書に出会った。

2010年11月13日 (土)

書籍から学ぶ 9

中村東吾著
「孫正義のデジタル教育が日本を救う」
角川SSC 新書 780円

 基本的には著者の意見に賛同できる。少なくとも田原総一朗氏の「デジタル教育は日本を滅ぼす」よりもはるかに前向きで明るい。
 ただ、デジタル教育とは何なのか、具体的には教育がどのように変わるのか、授業はどう進められるのかが分からない。デジタルコンテンツに動画などのマルチメディアが豊富にクラウドから提供されるとしても、それをどのような授業の文脈にのせるのかは教師の授業の進め方にかかっている。電子教科書になれば、おそらくは授業の方法までも変わるのかもしれない。
 しかし、少なくとも旧態依然とした授業論を盾にして電子教科書を批判する方々には、一度呼んで欲しい本ではある。
*評価「4」
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2010年10月22日 (金)

書籍から学ぶ 8

苅谷剛彦著
「教育改革の幻想」
ちくま書房 756円

 2002年の書籍だが、「ゆとり教育」に対する批判は傾聴に値する。
 また、いわゆる「子ども中心主義」教育の幻想を論じていて面白い。「子どもと一緒に考えよう」「子どもとともに学んでいこう」という言葉は聞こえはよい。しかし、現場におりたときは、様々な課題も発生する。教育政策に対する教育社会学者としての著者の物の見方を学ぶためにも必読の本だと思う。
*評価「5」
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2010年10月20日 (水)

書籍から学ぶ7

ガー・レイノルズ著
「プレゼンテーションzen」
ピアソン・エデュケーション 2300円

 プレゼンテーション関連の本はいくつも出版されているが、この本だけは別格。そもそもプレゼンテーションとは何かといったことから語っている。考えてみれば、教育関係の研究会のプレゼンテーションは文字がぎっしりで写真が小さくて暗いものが多い。しかも、語りは原稿読み上げタイプ。これでは、聞かされている方は退屈でたまらない。
 この本では、主張をしぼりこんで、簡素な画面でプレゼンを行うことを推奨している。よい例がスティーブ・ジョブズのプレゼンテーションである。本を読んだ後に、自分のプレゼンを見直してみると、反省することが多く見つかった。
 単なるプレゼンの技術書というよりは、ビジュアルコミュニケーションとは何かということを考えさせてくれる良書である。
*評価「5」

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 関連してもう一冊。

ガー・レイノルズ著
「プレゼンテーションzen デザイン」
ピアソン・エデュケーション 2400円

 前作と組み合わせるとさらによく理解できる。プレゼンテーションのデザインのための原則とテクニックがつまっている。
*評価「4」

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2010年10月19日 (火)

書籍から学ぶ6

山田奨治著
「情報のみかた」
弘文堂1800円

 「情報」といえば、すぐにコンピュータやインターネットを連想してしまう人も多いが、この本は純粋に「情報のみかた」を平易な文章で語った本である。「ゆうれいの顔はなぜこわいのか」という問いかけに、絵を分析的に見る手法で答えている。内容は高度なのだが、小中学生が読んでも分かる書き方になっているところがすばらしい。教師であれば読んでおきたい一冊だと思う。
*評価「5」
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2010年10月16日 (土)

書籍から学ぶ5

佐藤可士和著
「佐藤可士和の超整理術」
日本経済新聞出版社

 今回は、教育関連書籍ではなく、ビジネス書から選ぶことにした。
 この本は、通常の「整理術」の本ではない。面白いのは、「空間の整理」「情報の整理」「思考の整理」という視点で整理を試みているところだ。特に、「思考の整理」の章で「まず、考えを言語化することから始める」という主張には賛同する。
 「本質を捉えなければ、いい結果は生み出せない」という著者の意見は、彼の仕事ぶりを見ると納得できる。
 評価「5」
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2010年10月12日 (火)

書籍から学ぶ3

前述した二冊と異なり以下の三冊は、「流行」の書。

田原総一朗著
「デジタル教育は日本を滅ぼす
ポプラ社 1470円

 田原総一朗氏の教育観には賛同するが、なぜ「デジタル教育が日本を滅ぼす」という主張につながるのが全く分からない。田原氏は「(デジタル教科書を使うと)問題を解く、正解を出すという作業が自己完結してしまうのである。(p47)」と述べているのだが、そもそもそのような機器を教育機器として学校に導入するだろうか。田原氏は、まず「デジタル教育」「デジタル教科書」といった言葉の定義を行うべきだ。説得力の著しく欠けた内容になっているのが残念。
*評価「2」
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中村伊知哉・石戸奈々子著
「デジタル教科書革命」
ソフトバンククリエイティブ 1600円

 中村氏は、現状をよく理解した上で主張をしているので、説得力があった。現場で使われているサイトやソフトを熟知している。少なくとも、教育の情報化に何らかの関わりをもつ人は読んでおくべき本だと思う。できれば、デジタル教科書に関する批判的な考察も欲しかった。
*評価「3」
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矢野耕平著
「iPadで教育が変わる」
毎日コミュニケーションズ 780円

 矢野氏の主張には賛同できるところが多い。特に「『出力型学習』が連結することで初めてひとつの知識を体得することができる。(p60)」という主張に賛成する。
 また、デジタル教科書礼讃ではなく、問題点も指摘しているところである。問題点を乗り越えることでより良い教育機器の開発は可能となる。さらに、実際にiPadを使った実験授業を行っている点も評価できる。iPadを使った子どもたちが「ノートを使って書く作業の重要性」を述べているところも頷ける。
*評価「4」
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2010年10月 8日 (金)

書籍から学ぶ2

池上嘉彦著
「記号論への招待」
岩波新書 780円

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 テクスト、コンテクスト、コードといったコミュニケーションの基本となる概念を分かりやすく解説した本である。
 教材をテクストと考えると、それが文章であっても絵画や写真、表やグラフであっても、解読や解釈の学習は同じことをやっていることになる。

 教師が読解の授業設計を行う場合でも、子どもたちが表現の学習を行う場合でも、記号論の考え方は必ず役立つものになる。

2010年10月 7日 (木)

書籍から学ぶ1

 書籍から学ぶことも多い。書籍によって教育観が変化していくから面白い。
 そこで、「自分自身の教育観の核にあるもの」を明確にしたいので、しばらく、書籍の紹介を試みたい。

柴田義松著
「ヴィゴツキー入門」
寺子屋新書800円

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 なぜ、協同的な学習が必要なのかということが分かる本である。
 ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」の理論や「心理的道具としての言葉の役割」といったことが分かりやすく書かれている。
 ヴィゴツキーを最初に学ぶには最適な本だと思う。

2010年4月 2日 (金)

教師のチカラ

 「教師のチカラ」(日本標準)という新しい雑誌が創刊されている。
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 特集は、「子どもを『育てる』」。
 教育雑誌の特集は基本的に「教え方」のノウハウが圧倒的に多いのだが、この雑誌は「育て方」に注目しているところが面白いと思った。
 教師が子どもたちに何を語るのか、何を「よし」とするのか、一つ一つの言葉が子どもたちに与える影響は甚大だ。そこには、教育の哲学が必要になるからだ。哲学があれば、ぶれない。子どもたちは教師を信頼するようになる。

 あえて、注文をつけるのであれば、付録CD-ROMの体裁だろう。WINDOWSだけしか使えないのも、その理由の一つであるが、もっと体裁にこだわってもよいはずだ。教師にとって本当に、毎日の授業に必要なコンテンツを充実させながら、改良していくことができるのであれば、更にパワーアップできるような気がする。このインターネット時代にあえてCD-ROMをつける意味は何だろう。もっとマルチメディアのコンテンツがあって然るべきではないのか。

 しかし、さすがに連載のコーナーは面白かった。今までにない教育雑誌というイメージがする。

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